アメリカの製薬会社Inotivは、ランサムウェア攻撃により一部のシステムとデータが暗号化され、同社の事業運営に影響が出ていることを明らかにしました。
米国証券取引委員会(SEC)への提出書類で、Inotivはサイバー攻撃が8月8日に発生し、被害の封じ込めのための対応を取ったと述べています。
「2025年8月8日、Inotiv, Inc.は一部のシステムおよびデータに影響を及ぼすサイバーセキュリティインシデントを認識しました」とInotivは報告しています。
「当社の初期調査によると、脅威アクターが不正にアクセスし、当社の一部システムを暗号化したことが判明しました。」
Inotivは外部のセキュリティ専門家の協力を得て調査を開始し、法執行機関にも本件を通報しました。
この攻撃はQilinランサムウェア集団によるものとされており、約162,000件、合計176GBのファイルを盗んだと主張しています。脅威アクターは自らのリークサイトでデータのサンプルも公開しています。

出典: BleepingComputer
Inotivはインディアナ州に拠点を置く受託研究機関で、医薬品開発、創薬、安全性評価、さらに生体動物研究モデルを専門としています。
同社は約2,000人の専門家を雇用し、年間収益は5億ドルを超えています。
同組織は、今回のサイバーセキュリティインシデントにより一部の事業運営に混乱が生じており、その悪影響はしばらく続く見込みであると述べています。
具体的には、今回のインシデントにより、ビジネスプロセスで使用されているデータベースや社内アプリケーションを含む一部のネットワークおよびシステムが影響を受けました。
InotivのITチームはこれらのシステムの復旧作業を進めており、影響を受けた一部の業務については、サイバー攻撃による停止の影響を軽減するためオフラインの代替手段に移行しています。
通常業務への復旧時期については、現時点で見通しは立っていません。
BleepingComputerはQilinランサムウェアの主張の真偽についてInotivにメールで問い合わせましたが、まだ回答は得られていません。