国防総省でサイバー政策を統括する高官が先月、相次いだ自殺を受け、米サイバー軍に対し、隊員の健康と福祉をより適切に守るための迅速かつ義務的な措置を講じるよう指示しました。
「サイバー部隊の長期的なレジリエンスと即応態勢を拡充・強化していくには、オペレーターを支える正式かつ積極的な体制を整える必要がある」。サイバー政策担当国防次官補で首席サイバー顧問を務めるキャサリン・サットン氏は、8月31日付の非機密覚書でこう述べ、サイバー軍司令官のジョシュア・ラッド陸軍大将に宛てて指示を出しました。
Recorded Future Newsが独占入手したこの指示は、今夏に同司令部で自殺が集中して発生したとの初期報道を受けて出されたものです。一連の事案により、軍のサイバー部門では、メンタルヘルスと健康管理への懸念が最重要課題に浮上しました。司令部の幹部や連邦議会の議員らは、こうした取り組みに追加の資源を投入する方法を模索しています。
サットン氏の覚書は、サイバー軍に対し、この問題に速やかに対処するよう求める、いわば官僚的な警告といえます。日々の業務負荷が自殺の要因だったかどうかは分かっていません。ただ、覚書からは、上級幹部がその可能性を認識していることがうかがえます。
覚書は、「現在進行中の積極的なサイバー作戦が絶え間なく高い作戦テンポで続く状況は、特有の累積的な認知的・心理的負担を強いている」と指摘します。さらに「従来の実戦部隊とは異なり、サイバーチームには、作戦の合間に回復や再編成を行うための標準化された期間がなく、これが人材の定着や長期的な分析能力に影響している」と述べています。
サットン氏は、7項目の措置を実施することで、「事後対応型の姿勢から、体系的かつ積極的な戦力保全モデルへ移行する」よう司令部に求めました。
最初の2項目は30日以内の完了が求められています。1つ目は、部隊の健康状態の基準を確立するため、4年分の「組織風土調査データと標準化された退職面談の要約」を提出することです。
もう1つは、国家安全保障局(NSA)との合意覚書の最終決定です。NSAはメリーランド州フォートミードでサイバー軍と同居しており、ラッド氏が長官を兼務しています。覚書によると、この合意に基づき、司令部の主要な実行部隊であるサイバー任務部隊(CMF)の「作戦空間」内で、メンタルヘルスおよび行動医学の専門家を共有します。これは「恒久的な支援体制が整うまでの暫定的な措置」と位置づけられています。
10月中旬までには、「部隊全体でオペレーターの健康、レジリエンス、パフォーマンスの維持を支える恒久的な仕組み」として、「サイバー職務レジリエンス・エンゲージメント枠組み」を策定しなければなりません。あわせて、CMF内で部隊運用と「ドウェル・フェージング(待機・回復期間の計画的配分)」の措置を導入し、回復の見通しを改善して累積的な作戦負荷を減らし、即応態勢を維持することも求められています。
この要請は、ラッド氏が確実に対応を進めるためのものです。国防総省は、2024会計年度の国防政策法に盛り込まれたCMFの「職務レジリエンス」に関する調査規定への対応として、この措置を講じると表明していました。
国防総省とサイバー軍の広報担当者は、記事公開時点でコメントの求めに応じていません。
職務から離れる時間を確保
サットン氏の部門で上級軍事顧問を務める空軍のダン・キム大佐は先週、軍サイバー専門家協会が毎年開催するイベント「HammerCon」の講演で、業務負荷の軽減を目指して検討中の取り組みに言及しました。
キム氏によると、国防総省は「最適化された部隊フェージング」を進めています。これにより、「大半の時間、敵対勢力と100%接触している」サイバーオペレーターが、作戦上の要請にかかわらずキーボードから離れられるようになります。
キム氏はまた、司令部が「人間を中心に据える」方針で、米特殊作戦軍の「部隊と家族の保全(Preservation of the Force and Family)」プログラムに基づく「エリートパフォーマンス・モデリング」を開発していると説明しました。
覚書でサットン氏は、サイバー軍に60日以内に、サイバーオペレーターの連続勤務方針を見直して修正案を提出するよう求めています。
「この案には、キャリアパスの機会、技術教官の任務、教育関連の配置を盛り込み、継続的な作戦ストレスを和らげる内容とすべきだ」
司令部はさらに、「ガバナンス・サイバーウェルネス作業部会」の共同責任者を任命する必要があります。この作業部会も、前回の国防政策法への対応として設置が約束されたものです。共同責任者は、ウェルネスの取り組みに関するフォートミードとサットン氏の部門の間の主要な連絡役も務めます。
最後に、司令部は国防総省および統合参謀本部と協力し、デジタル戦の作戦計画の優先順位を見直すことになっています。この計画の策定には1年の大半を要し、通常は春に始まります。見直しでは、作戦上の要請と長期的な部隊の健全性の両立を図ります。
覚書に詳しい関係者によると、詳述された基準の多くは、国防総省が司令部と部隊を刷新する「サイバー軍2.0」の実施計画に含まれていました。しかし、自殺を受けて、場合によっては数年単位で前倒しされたといいます。
この人物は、覚書について語るため匿名を条件に取材に応じました。今回の改革で新設されたサイバー人材管理組織が多くの取り組みを主導するだろうと推測する一方、同組織がまだ発展途上にあることへの懸念も示しました。
常態化した「急増対応」
一方で、軍のサイバー部門の幹部たちは、国のデジタル戦士が直面する精神面の課題をこれまで以上に強く認識していると話します。
「ある時点から、急増対応だったはずの負荷が通常のペースになってしまった」。海兵隊サイバー空間軍司令部の参謀長を務めるブライアン・オーウェン大佐は、HammerConのパネルディスカッションでこう語りました。
「自宅から戦わなければならない人たちにどう影響するのか、私たちには理解しにくい。これは大きな課題だと思う」
オーウェン氏は、同部門が従軍牧師や宗教プログラム専門官に作戦空間へ立ち入るためのバッジを要請したことも明らかにしました。
「これは大きな違いを生んだ。隊員たちが初めて『あの、少しよろしいですか』と声をかけてくるようになった。人生を変える出来事だった」
陸軍サイバー軍を率いるクリストファー・ユーバンク中将は、軍がイランと交戦して現在8カ月になる「エピック・フューリー作戦」の開始から2週間がたった頃、「人々に、空の雲を見に行け、草に触れてこいと言わなければならなかった」と振り返りました。
同氏のチームは、オペレーターにとって「趣味も仕事と変わらない」ことにも気づきました。
「夜に帰宅すると、レッドブルを飲み、VRゴーグルを着けて『コール オブ デューティ』に没頭する。そして翌日にはまた職場に戻り、同じことを繰り返していた」と、聴衆に語りました。
「実際に休養計画を導入せざるを得なかった。認知面のレジリエンスを保たせる必要があるからだ。おそらく、誰の目にも明らかなことだったはずだ」
翻訳元: https://therecord.media/cyber-command-suicide-deaths-pentagon-memo