- Ahold Delhaizeがサイバー攻撃を受けてシステムをオフラインにしたが、詳細はほとんど明らかになっていない
- 従業員向けサービスや、複数の小売ブランドの顧客向けウェブサイトに障害が発生
- 同社は事態を調査中。ランサムウェアが絡む大規模攻撃の再来が懸念されている
Ahold Delhaizeがサイバー攻撃を受け、IT ネットワークの一部をオフラインにする事態に追い込まれました。
この小売大手は2026年10月12日、簡単な声明を発表し、ネットワーク内で「セキュリティ上の問題」が発生していると明らかにしました。声明では「当社のチームは、問題の評価と軽減に向けた対応を進めています。保護のため、一部のシステムをオフラインにすることも含まれます。現時点で、店舗は営業しており、お客様へのサービスを提供しています」としています。
どの部分が影響を受けたのか、攻撃がどのように行われたのか、機密性の高い社内データや顧客データが流出したのかどうかは分かっていません。顧客に影響が出たのか、出たとすればその人数や程度も不明です。
企業がインシデントの封じ込めのためにネットワークを遮断する場合、多くはランサムウェア攻撃とそれに伴うデータ窃取が原因です。ただし、本稿執筆時点で、この攻撃について犯行声明を出した攻撃グループはなく、ダークウェブ上でもデータは確認されていません。
同社は「お客様、従業員、パートナーの皆様のために、インフラを守ることを最優先事項としています。この問題により、お客様やパートナーの皆様にご不便をおかけしている場合は、お詫び申し上げます」と締めくくっています。
Delhaizeを狙うハッカー
Ahold Delhaizeは卸売事業も手がける多国籍小売企業で、米国、欧州、インドネシアで9,400店舗以上を運営しています。
従業員は約40万人を数え、店舗とオンラインの両方で毎週約6,000万人の顧客にサービスを提供しています。BleepingComputerによると、傘下のブランドには、欧州ではDelhaize、Maxi、Mega Image、Albert、bol、Alfa Beta、Etos、Gall & Gall、Profi、米国市場ではFood Lion、Stop & Shop、Giant Food、Hannafordがあります。
残念ながら、同社はこれまでにもサイバー攻撃を何度も経験しています。2024年11月中旬の攻撃では、米国の食料品店や薬局が顧客に対して通常どおりのサービスを提供できなくなりました。このときも、Ahold Delhaizeはネットワークの一部を停止して攻撃の封じ込めを図りましたが、電話回線が使えなくなるなどの問題が生じました。その後、この攻撃は脅威アクターINC Ransomによるランサムウェア攻撃だったことが確認されています。
この攻撃でハッカーは、220万人以上の機密データを盗み出したと、同社はメイン州司法長官事務所への届け出で後に確認しました。データには、現従業員と元従業員の社内雇用記録が含まれていた可能性があるとしています。
盗まれたデータの組み合わせは人によって異なりますが、一般的には、氏名、郵便住所、メールアドレス、電話番号、生年月日、政府発行の身分証明書番号、銀行口座番号、健康情報、その他の雇用関連情報が含まれていました。
小売各社に及ぶ混乱
この攻撃は、復旧に1週間以上かかったとみられ、従業員がソーシャルメディア上で不満を訴えるほどの混乱を招きました。Stop & Shopの薬局では一時、処方薬の再調剤ができなくなりました。一方、Food Lionでは、商品の欠品や配送遅延への対応を迫られました。Instacartの注文の配達予定日も、繰り返し先送りされました。
BleepingComputerによると、米国の地域スーパーマーケットチェーンStop & Shopの従業員は、今回の攻撃の直接の影響で、勤務シフトや給与明細にアクセスできなくなっています。顧客も、オランダのAlbert Heijn、Etos、Gall & Gallの各店舗や、ベルギーのDelhaizeで、ウェブサイト、アプリ、カスタマーサービスのプラットフォームを利用できない状態です。
同メディアはまた、米国のFood Lion従業員の間で共有された社内メモを引用し、同社がこの攻撃をITの障害として扱い、従業員に対して「店舗では、商品のピッキング、仮置き、注文の受け渡しができない可能性があります」と伝えたと報じています。