要点
フォレスターによると、クラウドセキュリティおよびID・アクセス管理ツールの購入が、関税による経済的ショックから市場を守った。
初出掲載
要点:
- フォレスターの予測によると、エンタープライズソフトウェアへの支出は2029年まで二桁成長を維持する見込みです。アナリスト企業によれば、今年第1四半期のベンダー収益は平均11%増加しました（7月のレポートより）。
- インフラソフトウェアへの支出が主導し、今後4年間で13.3%増加する見通しです。企業はクラウドサービス、セキュリティツール、AI機能を積極的に導入しています。IT運用管理、ERP、サプライチェーンツールを含むアプリケーションソフトウェア市場は、9.5%とやや緩やかな成長になると同社は述べています。
- データベース管理サービスは、企業が生成AIやエージェント型自動化ツールの基盤を整備する中で、ソフトウェア市場の成長を支えます。同社は以前、市販のAIガバナンスソフトウェアへの支出が2024年から2030年で4倍以上に増加し、約160億ドルに達し、ソフトウェア市場の7%を占めると推定していました。
洞察:
ベンダー収益が増加すると、企業の支出や予算管理も強化され、経営層は技術投資の具体的なリターンを求めるようになります。今年初めにドナルド・トランプ大統領による関税政策の変動が始まり、ベンダーや顧客にとってコストと利益のバランスに不確実性が加わりました。
フォレスターによれば、厳しいマクロ経済環境がソフトウェアプロバイダーに人員最適化や、特にクラウドや生成AI分野で顧客の支出と成果の紐付け支援を促しています。企業側では、利用状況の監査、ツールの統合、高額なベンダー製品の代替となるオープンソースの採用拡大など、コスト最適化への関心がすでに高まっているといいます。
経済的不確実性は、企業の消費パターンにも他の影響を及ぼしています。米国の景気減速に備え、顧客は自社開発ツールからクラウドベースの市販サービスへ徐々に移行し、カスタマイズのためのサードパーティ依存を減らし、CapEx削減のために永続ライセンスよりSaaSサブスクリプション課金を選ぶ傾向が強まっているとフォレスターは述べています。
ベンダー契約の更新は、企業の能力を損なうことなくソフトウェア支出をさらに最適化する機会になると、先月発表されたTropicのレポートは指摘しています。
資産管理ソフトウェアプロバイダーは、今年上半期に140億ドル超の購入データを分析し、支出が前年比15%増加したことを発見しました。しかし、第1四半期から第2四半期にかけて調達は9%減少しており、これはトランプ政権の4月の貿易政策と一致しています。
Tropicの社長兼CFOであるラッセル・レスター氏によると、連続的な減速にはさまざまな要因があるといいます。
「これは新規支出への慎重さと、更新に対する油断の混合です」とレスター氏はメールで述べています。「近年行われた多くのソフトウェア投資の魅力が薄れつつあり、イノベーションの急速な進展で競争環境が混雑し、ツールの機能や特徴が重複し始めています。」
また、従業員数が減少した際に影響を受けるユーザー単位や席数単位のライセンスモデルの普及も、もう一つの要因だとレスター氏は述べています。
分析によると、更新プロセスの開始が遅い企業はコスト削減の機会を逃しています。更新の6か月前から交渉を始めた顧客は、そうでない場合に比べて最大39%多く節約でき、60日前の開始でもベンダーによっては最大22%の節約が可能です。
一部の購入者は、価格交渉の段階を飛ばして技術要件や統合、導入プロセスに集中するというミスを犯しているとレスター氏は指摘します。その戦略はベンダーに有利に働きます。
「すべての企業が利益率の圧迫を感じており、大手ソフトウェア企業も例外ではありません」とレスター氏は述べています。「利益率を改善する比較的自動化された方法の一つは、毎年の価格引き上げであり、販売時点での自動割引の撤廃が伴うことも多いのです。」