子どもたちを本当にソーシャルメディアから締め出すことはできるのでしょうか。世界各国がこの実現に挑んでいますが、すでに数々の壁に直面しています。
先陣を切ったのはオーストラリアでした。続いてカナダが16歳未満のソーシャルメディア利用を制限する法律を導入し、英国(UK)も16歳以下のユーザーに対するソーシャルメディア禁止を計画していると発表し、オーストラリアと同じ枠組みに倣うとしています。米国では連邦レベルでの法制化には至っていないものの、複数の州がカリフォルニア州やニューヨーク州を含め、独自に対応に乗り出しています。
TikTok、Facebook、Instagram、Snapchat、YouTubeといったプラットフォームはいずれも規制対象となっています。英国の規制はゲームサイトにも適用される見込みです。
こうした法律の背景には、支持者たちが指摘する深刻なメンタルヘルスへのリスクや、ドゥームスクロール(不安を煽る情報を延々と見続けてしまう習慣)による依存、そして一般的な安全面への懸念があります。2023年、米保健福祉省(HHS)は、1日3時間以上ソーシャルメディアを利用する未成年者は「メンタルヘルスの問題を抱えるリスクが2倍になる」と指摘し、子どもや10代の若者にとって安全ではない可能性があると警告しました。英国のキア・スターマー首相も先月、政府の発表文の中でプラットフォーム各社を名指しし、「テック大手には(子どもを守る)チャンスがあったが、それを果たせなかった」と述べています。
何らかの形でのソーシャルメディア禁止を支持する声は広がりつつありますが、プライバシーや実施面での課題は山積しています。保護しようとしている子どもたち自身が、デジタル環境に囲まれて育った世代です。彼らは機転が利き、技術にも精通しているため、規制をかいくぐってしまうでしょう。
Jumioでプライバシー・データ保護部門のグローバル責任者を務めるジョー・カウフマン氏によると、企業は本来プラットフォームに残ってよいユーザーに対して良好な体験を提供しつつ、法的要件にも対応するというバランスを取るのに苦労することになるといいます。
カウフマン氏の説明によれば、法律が成立するとすぐに、企業は自社のユーザーベースを精査し、対象となるユーザーとそうでないユーザーを見極めようとします。唯一の方法は、ユーザーが一定の年齢に達しているかどうかを何らかの形で識別できる仕組みを持つことですが、ユーザーベースを混乱させずにそれを実現するのは容易ではありません。
「市場では、それがうまくいかなかった事例をいくつも目にしてきました」とカウフマン氏はDark Readingに語りました。「そしてオーストラリアでは最近、法令を順守しない企業に対する罰金を倍増させると発表されました」
法令順守とユーザー維持を両立させるには
オーストラリアは2024年にオンライン安全修正法案(Online Safety Amendment Bill)を公布し、その中でソーシャルメディア最低利用年齢(SMMA)を16歳と定め、2025年12月に禁止措置が施行されました。しかし3月、通信大臣と連携してオンライン安全の執行を担う規制機関であるeセーフティ委員会(eSafety commissioner)が発表した最新情報が、法令順守をめぐる懸念に火をつけました。
例えば、あるプラットフォームは、すでに16歳未満であると申告済みの年齢制限アカウントを持つユーザーに連絡を取りました。このプラットフォームは、年齢を誤って登録したユーザー向けに年齢確認の機会を提供していると主張しましたが、eセーフティ委員会は、子どもたちが規制を回避するために嘘をつくのは「明白」だと指摘しました。また同発表では、企業がユーザーの年齢確認に用いる手段の一つである顔認証による年齢推定技術の誤差に関する懸念も取り上げられています。
禁止措置に対応する上で、企業は2つの大きな課題に直面することになります。一つはユーザーの維持と満足度です。企業は必ずしも規制対象となるユーザーをプラットフォームに留めようとしているわけではないものの、本来残ってよいユーザーを混乱させて離脱させることも望んでいない、とカウフマン氏は述べています。
そこから第二の課題が生まれます。カウフマン氏によれば、ここ1年で企業各社が導入した変更の中には、ユーザーに大きな「不快感」を与える形のものが見られたといいます。年齢確認や検証には、運転免許証やクレジットカード番号といった機微な情報の提出が求められる場合があります。多くの企業はそもそもこうした情報を収集すること自体に関心がなかったものの、今では法令を順守するか厳しい罰則を受けるかの選択を迫られている、とカウフマン氏は付け加えます。オーストラリア政府はつい先ごろ、SMMA法違反に対する罰金の上限額を9,900万ドルへと倍増させたばかりです。
「どのようなデータを収集し、何を年齢確認の手段として使い、法令順守を証明するために何を保持しておくのか、そのアプローチには非常に微妙な線引きが求められます」と同氏は述べます。「これらの法律が本来目指している良い狙いと、実際に達成しようとしていることの間には、大きな緊張関係があります」
なぜ禁止措置は広がりを見せているのか
オーストラリアは、ソーシャルメディア規制における一つの基準を打ち立てつつあり、さらに重要なのは、何が有効で何が有効でないかを示している点です。カウフマン氏によれば、この法律の成果が期待を下回るようであれば、それは今後の改善に向けた指標になるといいます。
「規制当局は、何が十分な対応なのかを分かりやすく示す指針を出すところまで至っていないと思います」とカウフマン氏は語ります。「仮に出していたとしても、現在の市場で何が理にかなっており、ユーザーが何を許容できると感じているかについて、真に理解した上でのものではないでしょう」
その理由の一つは、こうした法整備があまりに急速に進んでいることだと、カウフマン氏は指摘します。人工知能(AI)のような先進技術が加速要因となり、議員や規制当局を後押しして、法律の整備を急がせているのです。
Singulr AIで最高戦略責任者兼最高セキュリティ責任者を務めるリチャード・バード氏は、政府は新たな問題に反応しているわけではないと述べます。禁止措置が広がっているのは、これらのプラットフォームを構築した企業が、10年もの間「自分たちで自主的に取り締まれる」と主張し続けてきたにもかかわらず、その結果が出た今、実際にはできていなかったことが明らかになったからだと同氏は説明します。
「ソーシャルメディアプラットフォームは、子どもを守るための実質的な進展を拒み続けてきました」とバード氏はDark Readingに語りました。「これは欠陥のある製品が、現実の人間に被害をもたらしているということです。ある製品がそうした被害をもたらすとき、規制が後に続くのは当然です」
問題は、子どもたちがアカウントを持っていること自体にあったわけではなく、そもそも製品自体が依存性を生むように設計されていることにある、とバード氏は警鐘を鳴らします。プラットフォーム各社は何十年もの間、責任を取ることを怠ってきましたが、議論は大抵そこで止まってしまう、と同氏は付け加えます。
「私たちは、監視も制御もしておらず、率直に言って十分に注意を払っているとも言えないデジタルチャンネルに、自分たちの子どもを委ねてしまっているのです」とバード氏は付け加えます。
これらの規制を「禁止」と呼ぶのは誤解を招く可能性がある、と同氏は言います。同氏はこれらを、運転・投票・飲酒の年齢制限がそうであるように、新しくも珍しくもない「年齢制限措置」と捉えています。子どもたちが目にする年齢不相応なコンテンツや接触を減らすことは、彼らのメンタルヘルスに明確でプラスの効果をもたらす、と同氏は述べます。
「これらの『禁止』は新しい発想ではなく、古くからある発想を、より新しいメディアに当てはめたものにすぎません」とバード氏は説明します。「その具体的な仕組みはまだ整備の途上にあり、確かに子どもたちは今日ある脆弱な規制をかいくぐっています。しかしそれは、取り組みをやめるべき理由にはなりません。それはただ、私たちがデジタルの世界を特別なものとみなしてきたに過ぎず、実際には特別ではないということを示す論拠にすぎないのです」
法令順守に向けた2つの重要な提言
取り組みが進み、各国がそれぞれ異なる法律を採用する中で、法令順守をめぐる課題は今後さらに増していくでしょう。特に米国では、各州が独自の法律を可決する可能性があります。2025年、米上院議員ブライアン・シャッツ氏(民主党・ハワイ州選出)は、13歳未満の子どものアカウント保有禁止を含むKids Off Social Media Act(子どもをソーシャルメディアから守る法案)を2025年に提出しており、現在も議会での審議が続いています。
「おそらく企業各社は『全ユーザーに同じ方法で対応しよう』と割り切るのではないでしょうか。そのほうが単純だからです」とカウフマン氏は予想します。
ベンダーやその他のテクノロジー企業は、プライバシーと透明性を両立させながら規制をより効果的に実施する方法を開発しています。例えばAppleは、引き続き年齢APIの開発を進めていくと同氏は付け加えます。ソーシャルメディア関連法が各地で増えるにつれ、データ収集を最小限に抑えるソリューションにも注目が集まるでしょう。
年齢確認において考慮すべき最も重要な2つの要素は、データの最小化と利用目的の限定である、とカウフマン氏は提言します。企業は、収集する目的以外にデータを使用してはなりません。
「この2点について透明性を高め、ユーザーに不審に思わせるのではなく、そのプロセスの中でそれを実感してもらえるようにすればするほど、企業はより良い成果を得られるでしょう」と同氏は述べています。
翻訳元: https://www.darkreading.com/cyber-risk/more-countries-jump-on-the-social-media-ban-wagon