- Unisoc製システムオンチップ(SoC)を搭載したデバイス――主に格安スマートフォン――が、ビデオ通話を悪用したエクスプロイトに対して脆弱であることが判明
- 通話は任意のスマートフォンから発信可能で、悪意あるコードは通話セットアップメッセージ内に仕込まれる
- Unisocは複数回の連絡にもかかわらず、この開示に対して応答していない
セキュリティ研究者らは、複数のUnisoc製SoCを搭載したデバイスに、ビデオ通話中に送り込まれるエクスプロイトへの脆弱性があることを実証しました。このエクスプロイトが成功すると、攻撃者は標的デバイスのroot権限を取得し、端末を完全に掌握できてしまいます。
この脆弱性は、複数のUnisoc製SoC上で動作するファームウェアに存在しています。これらのSoCは、Xiaomi、Motorola、Realmeなどのモデルを含む格安スマートフォンに採用されています。
攻撃が成功すればAndroidデバイスのオペレーティングシステムを改変することが可能ですが、今回の概念実証(PoC)は実際のキャリアネットワークではなく、管理された検証用ネットワーク上でテストされたものです。加えて、対象となったデバイスはいずれもroot化されていました。そのため、この攻撃が実環境でどこまで通用するかは未知数です。
影響を受けるスマートフォンは?
Unisocという名前になじみがない方も多いかもしれませんが、同社はMediaTek、Qualcomm、Appleに次ぐ第4位につけるチップ業界の大手企業です。同社製チップは、SamsungやMotorolaといった有名企業向けを中心に、IoTやスマートホーム機器、さらにはモバイル機器にも搭載されています。
この脆弱性を発見した研究者は、0x50594dというハンドルネームのみが明らかにされています。
研究者は次の3機種でエクスプロイトを検証しました。
・Realme C33
・Xiaomi Redmi A5(セキュリティパッチレベル2026-01-01)
・Motorola E13(セキュリティパッチレベル2025-02-01で稼働)
さらに、これらのスマートフォンには2025年7月版のAndroidセキュリティアップデートが適用されていました。
アドバイザリによると、この欠陥はUnisoc製4種類のSoCのモデムファームウェアに存在するとされています。対象はT612、T616、T606、T7250であり、これらのSoCを採用しているスマートフォンはすべて潜在的にリスクを抱えていることになります。
ただし、今回の脆弱性が悪用されたのは特定の条件下であった点に留意する必要があります。
不適切な分離(Improper Isolation)
エクスプロイトの検証に使われたスマートフォンは、いずれもroot化されており、これはマルウェアに対して脆弱になりやすい状態です。通常、これらのスマートフォンがroot化されているケースはほとんどありません。加えて、このエクスプロイトはキャリアネットワークではなく、閉域のVoLTEネットワーク上でテストされました。
最後に、前述の通り、これらのスマートフォンは古いセキュリティパッチのままで稼働していました。つまり、このエクスプロイトが成立する条件は非常に限定的ではあるものの、それでも軽視できない懸念材料です。
0x50594d氏の研究はSSD Secure Disclosureのウェブサイトで公開されており、同サイトはこれを「悪用可能な、システムオンチップにおける共有リソースの不適切な分離」と要約しています。「Unisocのモデムファームウェアに重大な脆弱性が確認された。これにより、モデムのコンテキストからカーネル権限で任意のコードを実行できてしまう」としています。
「モデム上でコードを実行する能力を獲得した攻撃者は、最初のメモリ保護ユニット(MPU)領域(リージョンID 0)の保護を無効化することで、メモリ空間全体を読み書きできるようになる」
なお、Unisocはこのセキュリティ開示に対し、現時点まで応答していないことも付け加えておきます。