英国政府は、敵対国家が展開する偽情報キャンペーンを追跡・阻止するための新機関を設立します。アンディ・バーナム首相がニューヨークで開催された国連総会でこの方針を発表しました。

9月22日に行われた国連総会での初の演説で、バーナム首相は英国の安全保障当局に対し、「この種の敵対国家による情報攻撃を検知し、発信元を特定し、阻止する」ことを目的とした「国家情報防衛センター(National Centre for Information Defence)」の設立に向けた作業に着手するよう指示したことを明らかにしました。
偽ニュースサイト、偽造ロゴ、選挙介入
バーナム首相によれば、英国はここ数年、「敵対的な主体による情報環境への産業規模の攻撃」に直面してきたといいます。
「ロシアの諸機関は、あらゆる手段を使って虚偽情報や偽情報を広め、人々の不安につけ込んできました。ボットや偽サイトを利用し、新聞記事を捏造し、大学やBBCを含む英国の28団体のブランドを偽装してきたのです」
演説の中でバーナム首相は、ロシアが極右的な言説を増幅させていると非難しました。「さらに我々は、彼らが2019年の総選挙に介入しようとした証拠を掴んでいます」
「クレムリンは情報操作に毎年およそ13億ポンドを費やしています」と首相は述べ、英国の企業や機関もサイバー攻撃の被害を受けてきたと指摘しました。「そしてAIがこの脅威を何倍にも増大させることを、我々は認識しています」
バーナム首相は、英国が「英国での生活について否定的で有害な言説」を広めようとする勢力に対して、これまで譲歩しすぎてきたと主張しました。
「我々はこの問題を長きにわたって曖昧にしてきました」
首相の見解では、生活費の高騰に苦しむ人々や、就労・就学・職業訓練のいずれにも従事していない若者たちは、「この種の影響工作に対してはるかに脆弱」だといいます。
BBCの報道によれば、同センターは情報機関、政府省庁、法執行機関、ソーシャルメディア各社と連携し、専門知識を結集して情報戦に対抗する予定です。
英国はまた、自国の経験を他国と共有する計画も示しています。「我々はすでにモルドバがロシアの干渉から選挙を守れるよう支援してきました。こうした主体がどのように活動し、我々がどう対応できるかについての知見を、共有する準備は整っています」
AI関連の新法制定も視野に
バーナム首相は、国家インフラを守るための新たなAI防衛パートナーシップを米国と共同で策定中であること、そして来年の英国のG20議長国としての取り組みの中核にAIが据えられることを明らかにしました。
「このテクノロジーに関する根本的な決定を、成り行き任せにするわけにはいきません。決定は、働く人々に仕える選挙で選ばれた政府によって下されなければなりません」
英国は「我々の備えを強化するために必要な透明性とアクセスを確保するための、単一の世界的な原則と基準」の策定に向けて取り組んでいく方針だと首相は説明しました。政府は国民を守るために必要なあらゆる措置を講じるとしており、「必要であれば新法の制定も辞さない」としています。
科学技術委員会の委員長を務めるチー・オンウラ(Chi Onwurah)下院議員は、今回の発表を歓迎する一方で、国内発の誤情報には手が及んでいないと警鐘を鳴らしています。
同委員会は、サウスポート暴動を受けて公表した2025年7月のソーシャルメディア・誤情報・有害アルゴリズムに関する報告書の中で、国家による偽情報の脅威に対抗する単一機関の設立をすでに提言していました。同報告書は、Ofcom(英国情報通信庁)が国内外を問わず誤情報に対処する体制を十分に整えていないとも警告していました。
「我々の警告は今なお有効です。今回の発表は、ベルファストで発生した最近の暴動で見られたような国内発の偽情報・誤情報の問題には対処していません。誤情報が野放しにされている限り、偽情報が入り込む経路は常に存在し続けます」
オンウラ議員は政府に対し、「合法だが有害なコンテンツのアルゴリズムによる増幅に対処する措置」を含む、委員会が提言したその他の施策についても改めて検討するよう求めました。