ベッティングサイトDraftKingsが問題を抱えるギャンブラーを標的にしたマーケティングを行っているとして、AIの利用も含め、2件の調査報道が懸念を示しています。9月19日、ニューヨーク・タイムズ紙は、同社の機械学習モデルが、プロモーションに反応してより多くの金額を賭け、より多く負けやすい人々を狙っていたと報じました。
このモデルは、顧客ごとの賭けの頻度、損失額、日々の口座残高などのデータを分析していました。報道によると、同社はこの情報をもとにターゲット広告を配信し、プロモーションで利用者をサイトに呼び戻していたとのことです。DraftKingsはプロモーションを使い、ユーザーにさらなる賭けを促しています。こうしたオファーには、勝ち分の利益を上乗せする「プロフィットブースト」なども含まれます。
非営利の報道機関ProPublicaでは、記者のジェイク・ピアソン氏が自らを実験対象にしました。同社のマーケティングがどう展開されるかを確かめるため、DraftKingsのアプリで数千ドルを賭けたのです。ピアソン氏によると、損失がかさむにつれて、届くプロモーションも増えていきました。
ある晩にバスケットボールの賭けで1,800ドル近くを失うと、DraftKingsからVIPのお試し参加に招待されました。その後、正式なメンバーシップも提示されたといいます。
DraftKingsからは、責任を持って賭けるよう促す自動メッセージが時折届いたそうです。しかし、さらに賭けさせようとする製品設計の前では、まったく歯が立たなかったとピアソン氏は述べています。
DraftKingsは、ギャンブル顧客を不当に狙ったとの指摘を否定しています。同社は、プロモーションが報いるのは損失ではなく、サービスへの関与だと主張しています。
同社の機械学習モデルは、元関係者によると2023年から開発が始まりました。ユーザーの行動を報告するために基本的な数値を集計していた、より単純なシステムに取って代わったものです。
新しいシステムは自らデータを掘り下げ、プロモーションを受け取った後に個人がどれだけ負けそうかを評価しました。タイムズ紙によれば、「弾力性」スコアを算出し、オファーに反応してより多く負けそうな顧客を特定していたということです。システム開発に携わった元従業員のジェイデン・バッツ氏は、これによって同社はプロモーション費用に対するリターンを最大化できたと説明しています。バッツ氏は、タイムズ紙による調査の一環として取材に応じました。この調査では、40人以上の元従業員へのインタビューに加え、Slackのやり取り、社内メモ、賭けの記録も精査されています。
一方で、DraftKings社内にはもう一つ別のモデルの承認を得ようとした従業員もいました。ギャンブル行動を同じように分析しつつ、目的は正反対で、ギャンブルが行き過ぎて危機に陥るおそれのあるユーザーを検知するものでした。タイムズ紙が取材したデータサイエンティストらによると、このシステムは、ギャンブル依存の支援が必要な顧客の特定に有望な成果を見せていました。しかしDraftKingsは、デモの実施を取りやめたうえで、プロジェクトを打ち切りました。その後、社内で同様のシステムを開発しようとする試みも失敗に終わっています。
行動ターゲティング広告とギャンブルの害
デジタル権利擁護団体は、AIによって企業がより多くのデータをより速く処理し、デジタル広告に活用できるようになると警告しています。電子フロンティア財団(EFF)は、これを次のように指摘しています。
「オンライン行動ターゲティング広告の害を一段と増幅させます」
広告がギャンブルのような依存性の高い行動を促す場合、その影響はとりわけ深刻です。
オンラインベッティングは、今後さらに拡大しそうです。DraftKingsなどの企業は、一部の法域でオンラインカジノゲームの運営を始めています。特定の出来事に関する予測を取引できる予測市場も、盛り上がりを見せています。
ギャンブルに関する統計は深刻です。世界保健機関(WHO)は、世界の成人人口の1.2%がギャンブル障害を抱えており、有害なレベルで賭けている人々がギャンブルによる損失の約60%を生み出していると推計しています。ギャンブルに悩む人にとって、賭博場から離れているだけでも容易ではありません。そこへ、無視しにくいプッシュ通知やメールを送ってくるモバイルのギャンブルアプリが加われば、誘惑はいっそう強まりかねません。
利用者にできること
ギャンブルをする場合は、自分の賭け状況を把握して上限を設け、負けを取り返そうとするのは避けましょう。ギャンブルから一定期間離れる時間を設け、依存的なギャンブルに悩んでいるときは誰かに相談してください。
米国では、National Problem Gambling Helplineが、電話とオンラインチャットで支援や地域のリソースにつないでくれます。英国では、GamCareのNational Gambling Helplineが、24時間365日の電話サポートなどを提供しています。
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