セキュリティ
大学や研究機関は、研究資金の真の出所を突き止めるよう求められています。怠れば国家安全保障法に抵触するおそれがあります
MI5(英国情報局保安部)は、英国と関わりのある研究者100人以上が、中国のスパイ能力の向上を目的として資金提供されたとされる研究プロジェクトに参加していたと警告しました。
MI5は今週、異例の公開形式によるスパイ活動への警告を発表し、China General Technology Research Institute(CGTRI)の名前を挙げました。同機関はChina Academy of General Technology(CAGT)とも訳されます。MI5によると、この組織は中国の民間情報機関である国家安全部(MSS)と「非常に強いつながり」があります。
MI5は、CGTRIの「主な目的」について、MSSの技術的なスパイ能力を直接高める学術研究に資金を提供することだと指摘しています。
MI5によると、英国と関わりのある研究者100人以上が、AI、サイバーセキュリティ、秘匿通信、ステガノグラフィーに関するCGTRI資金提供のプロジェクトに貢献しました。中には、最終的に誰が資金を出しているのかを知らなかった研究者もいるとみられます。
MI5は「この活動はMSSのスパイ活動を支えるものであり、英国の国家安全保障に脅威をもたらします」と述べています。
MI5は、関与した研究者全員が中国の情報機関を承知のうえで支援したと非難しているわけではありません。警告文では、CGTRIとMSSとの関係が「巧妙に隠されている」ため、多くの機関や個人が「善意で」CGTRIと取引していた可能性が高いと認めています。
MI5は英国の大学に対し、CGTRIとの現在の共同研究や計画中の共同研究をただちに見直し、MSSが英国の研究からこれ以上利益を得ないよう徹底することを「強く推奨」しました。中国の機関と協力している研究者にも、研究資金の最終的な出所を確認し、CGTRIが関与していないことを確かめるよう求めています。
研究者は、2023年国家安全保障法(National Security Act 2023)についても改めて確認しておくべきでしょう。MI5は特に、外国情報機関を支援する罪(第3条)と、外国情報機関から物質的利益を得る罪(第17条)の2つを挙げました。
第3条では、英国に関連する活動で外国情報機関に重大な支援を与える可能性が高い行為をした場合に、犯罪が成立し得ます。その際、行為者がそのおそれを知っているか、「合理的に知り得たはず」であることが要件です。第17条は別に、外国情報機関に由来する物質的利益を、受領者がそれと知りながら、または「合理的に知り得たはず」でありながら受け取ったり保持したりする行為を対象としています。合法的な物品やサービスに対する正当な対価は除外されます。
MI5は、CGTRIと中国情報機関との関係が疑われることを公表したうえで、同組織から資金提供を受けた研究を続けている機関や研究者に対し、独立した法的助言を受けるよう警告しました。
つまり、MI5は大学側に事実上の通告をしたことになります。研究資金の真の出所を知らなかったという言い分は、昨日までなら理解されたかもしれません。しかし今日以降は、はるかに通りにくくなります。®