OpenAIの「暴走」エージェントが、Wikimediaが運営するウィキで無許可の編集を行い、同財団の公開APIに数百万件もの自動リクエストを送っていたことが分かりました。このトラフィックが、5月に発生したWikidata Query Serviceの部分的な障害の一因になった可能性があります。Wikimedia Foundationが月曜日に明らかにしました。

Wikimedia最高製品技術責任者(CPTO)のSelena Deckelmann氏は、次のように述べています。「Wikimedia Foundationは、Wikimediaのウェブサイトが同様にAIエージェントの影響を受けていないかを確かめるため、独自に調査を実施しました。対象はOpenAIが運用するエージェントです」
「Wikimediaのプラットフォーム上で、こうした『暴走』OpenAIエージェントによる活動が一部確認されたことを認めます」(Deckelmann氏)
Deckelmann氏によると、Wikipediaは300以上の言語で6,700万件の記事を掲載し、月間ページビューは最大150億回に上ります。
サンドボックスでの編集と引用ツール
Wikimediaは、OpenAIのエージェントによるものとみられる編集を各ウィキで確認しました。これらの編集は一般の読者が目にするページには現れておらず、ほぼすべてがウィキ内の「サンドボックス」領域でのテスト編集でした。
「Wikipediaのポリシーでは、コミュニティに開示して承認を得たボットであれば編集が認められています。しかし、今回の事案ではいずれも、そうした承認は求められていませんでした」
一部の編集は、引用ツールの設定を標的にしていました。Wikimediaはこれを「悪意がある可能性のある編集」と説明しており、ツールを悪用して、リモートサービスからデータを取得するプロキシとして使わせる狙いだったとみています。
エージェントは、Wikimediaが提供する公開メモツール「Etherpad」をプロキシとして使い、他のウェブサイトからデータを取得しようとしましたが、失敗に終わりました。別のエージェントは、おそらくOpenAIが運用するもので、Etherpadを自分のタスクに関するメモ取りに利用していました。
Wikimediaは、エージェント同士の連携に同財団のシステムが使われた形跡は確認していません。また、システムやデータが侵害された形跡もないとしています。
数百万件のリクエストと5月の障害
Wikimediaによると、OpenAIのエージェントは公開APIに数百万件の自動リクエストを送り、主にWikidataとWikimedia Commonsで数百万ページをクロールしました。
さらにWikidata Query Serviceにも数十万件のクエリを送信しており、このトラフィックが2026年5月のサービス部分障害の一因になった可能性があります。
オープンな知識サイトへの懸念
Deckelmann氏は、暴走するAIエージェントがオープンな知識プラットフォームに及ぼす影響を「深く憂慮している」と述べています。
「Wikipediaは人間のために設計されました。エージェント的な振る舞いは、誰も解決策を持たない課題を突きつけています」
「インフラへのこうした強い負荷は、サーバーや人手のコストを押し上げるだけではありません。放置すればシステムの過負荷と障害を招き、人間の訪問者を締め出しかねません。活動の増加に伴うコストは、すでに私たちが負担しています」
Wikimediaは、今回の件で何が起こり得たのかという点に加え、活動の調査と発信元の特定に多大な労力を要したことも懸念しています。同財団は、自らのプラットフォームでAIエージェントの活動に伴うリスクが高まっていると警告しました。
「オープンなウェブは公共財です。この維持に携わる個人や組織にとって、こうした行為が『新常態』になることを許してはなりません」(Deckelmann氏)
同氏はさらに、OpenAIは自社のエージェントが予測不能な動作をしたことを認めているものの、こうしたリスクの監視と防止にも責任を負うべきだと指摘しました。AI企業は、自社システムの安全確保や、それが引き起こす被害から社会を守る取り組みが不十分だとも述べています。
「その負担は、小規模な組織も含めたほかのすべての人にのしかかっています。少なくとも、AI企業のシステムは、私たちのような非営利のウェブサイト運営者が容易に識別でき、サービスとの関わり方を選べる形で動作すべきです」と、Deckelmann氏は結論づけました。
翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/10/06/openai-rogue-agents-wikimedia-wikipedia/