- ウクライナのドローン攻撃により、ロシア中部にあるYandexの主要データセンターがオフラインに
- その結果、Yandexネットワーク上のボットトラフィックは大幅に減少。多くのサービスが停止し、Yandexのクラウドゾーンも「限定機能」での稼働に
- 情報収集や通信がクラウドサービスに依存するなか、データセンターは軍事上の重要な標的になりつつある
ウクライナはこの1週間、一連のドローン攻撃を実施し、ロシアの複数のデータセンターをオフラインに追い込みました。この結果、同国発のインターネット上のボットトラフィックはほぼゼロにまで減少しています。
対象となったのは、ロシア版Googleとも言えるYandexが運営するデータセンターです。同社の検索エンジンのトラフィックは、過去2週間のピーク時のわずか0.4%にまで落ち込みました。
Yandexのトラフィックが最初に減少したのは2026年10月8日です。ウクライナがロシアのサソヴォにあるデータセンターを攻撃したことによるものです。さらに10月10日には、サソヴォから西へ220マイル(約350キロ)離れた場所にあるデータセンターも攻撃を受けました。
攻撃後にロシア発のボットトラフィックが崩壊
まず、ここでいうボットトラフィックの実態を整理しておく必要があります。「ボットトラフィック」、とりわけロシア発のものというと、クレムリン寄りのプロパガンダを拡散する偽のSNSアカウントを連想しがちです。しかし今回オフラインになったボットトラフィックは、ページを巡回するクローラーや、検索結果をインデックス化するプログラム、AIプラットフォーム向けにデータを収集する自動プログラムである可能性が高いとみられます。
ドローン攻撃は、Yandexのクラウドサービスに特に大きな打撃を与えました。Yandexのステータスボードによると、同社のロシア中部のクラウドゾーンは現在利用できず、プラットフォームはほとんどのサービスが停止した「限定機能」モードで稼働しています。
ウクライナによるデータセンター攻撃は、報復措置とみられます。ロシアは9月下旬、ウクライナのデータセンターがウクライナ軍情報部に利用されているとの理由で、同国のデータセンターへの攻撃を開始していました。キーウのビジネスセンター内にある建物への攻撃では4人が死亡し、キーウ州の10万世帯でインターネット接続が途絶しました。
こうした攻撃は、2022年のロシアによる侵攻以来続く戦争の最新のエスカレーションです。ただし、2014年にウクライナの親ロシア政権が崩壊した後のロシアによるクリミア併合が、戦争の始まりだと見る向きもあります。
開戦以来、民間インフラはロシアの攻撃の主要な標的となってきました。エネルギー生産施設やインフラは、ウクライナ国民の士気をくじくことを狙って、特に冬季に繰り返し攻撃されてきました。
重要な標的となるデータセンター
軍の情報活動や戦闘能力のデジタル化が進むにつれ、データセンターは戦争の重要な要素になっています。
イランと米国・イスラエルの間で敵対行為が始まった際には、バーレーンとアラブ首長国連邦にある複数のAWSデータセンターがミサイル攻撃を受け、地域内の多くのサービスがオフラインになりました。
その後、イランの国営メディアはこの攻撃は意図的なものだったと報じました。「これらのセンターが敵の軍事・情報活動を支援する役割を特定する」ことが目的だったとしています。
データセンターが軍事衝突で担う役割に対応するため、Palantirは戦地での利用を想定し、NvidiaのB300 AIアクセラレーターを詰め込んだ輸送コンテナの配備を始めました。このコンテナは迅速に設置でき、パブリッククラウド基盤への接続さえあれば情報処理が可能です。必要に応じて外部ネットワークから完全に隔離することもできます。
イランによる中東での攻撃は、データセンターとそれを支えるインフラが空からの兵器に対していかに脆弱であるかを示しています。専門家の一部は、物流、情報収集、通信の調整に必要なインフラについて、米国は冗長化と分散化を組み込み始めるべきだと主張しています。