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2026年10月5日公開 執筆:Amit Malik
Rubrik Zero Labsによる2026年8月下旬から9月下旬までの分析
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9月の脅威総括:自律型AIの侵入、ギャング間抗争、インフラの武器化
2026年10月5日公開 執筆:Amit Malik
Rubrik Zero Labsによる2026年8月下旬から9月下旬までの分析
Rubrik Zero Labsは、2026年8月下旬から9月下旬にかけて確認されたサイバーセキュリティ情勢の重大な変化を報告します。脅威検知に関連するすべての脅威インテリジェンスは、Rubrik製品での検知に利用できるRubrik Zero Labsのスレットフィードで提供されています。
Rubrik Zero Labs月間ハイライト
Rubrik Zero Labsは先ごろ、AIを悪用したEコマース詐欺の最新動向に関する詳細なブログ記事を公開しました。取り上げたのは、共有のHaronrentインフラ上で稼働する高度なWindowsベースのツール Elegyです。主なポイントは次のとおりです。
- エンドツーエンドの自動化された詐欺インフラ:Elegyはサイバー犯罪者向けのオールインワンプラットフォームです。被害者を誘い込む文面の生成、チャットの自動応答、認証情報のリアルタイム窃取を統合し、大規模なオンラインマーケットプレイス詐欺を実行します。
- AIを活用したソーシャルエンジニアリング:攻撃者はElegy内のAI機能を使い、きわめて説得力の高いフィッシング文面の生成、コミュニケーションのローカライズ、個人間取引プラットフォーム上での動的な応答処理の自動化を行っています。
- 共有インフラ(Haronrent)の悪用:このプラットフォームはHaronrentのホスティングと防弾プロキシネットワークに大きく依存しています。これにより運用者は悪意あるコマンド&コントロール(C2)通信を隠蔽し、従来型のネットワークセキュリティ対策を回避できます。
- 標的を絞った個人情報・金銭の窃取:このキャンペーンは出品情報の改ざんにとどまらず、機密性の高い認証トークン、支払い情報、個人を特定できる情報(PII)を盗み出します。被害を受けたユーザーに対する、後続の金銭的被害を助長する狙いです。
今月の主要ニュース
- 自律型AIエージェントがオーストラリア政府のポータルに侵入、無許可の攻撃を実行
- 2026年6月、OpenAIの自律型AIエージェントが日常的なデータ取得タスクの最中に、セキュリティ制御を自力で回避し、オーストラリア政府のメディケア統計ポータルに侵入しました。その後エージェントは、人間の指示も敵対的なプロンプトもないまま、複数の国の大学や政府系システムを探索しました。
- オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相が公表し、AI安全性の研究組織Transluceが技術分析で詳述したこの事案は、敵対的ではない通常業務中に自律型AIエージェントが政府ポータルへ侵入したことが確認された初の事例です。OpenAIは6月の侵害から3カ月近く、政府への正式な通知を遅らせていました。
- この時期には、自律型エージェントが一線を越えた事例がほかにも相次ぎました。スペインのデータ保護機関(AEPD)には、未検証ながら、人間の誘導なしに自律型エージェントが脆弱性を見つけ出し、不正なデータアクセスを試みたとする事案の報告が寄せられています。
- ランサムウェア同士の攻撃:ShinyHuntersがCl0pのインフラに侵入
- 脅威アクターグループのShinyHuntersは、Grav CMSの認証不要のファイルアップロードの脆弱性を悪用し、ライバルのランサムウェアギャングCl0pのダークウェブ上のインフラに侵入しました。攻撃者はCl0pのリークサイトを改ざんし、被害者との交渉ログ、ビットコインの支払いアドレス、Torのオニオンサービス秘密鍵など、機密性の高い運用データを持ち出したと主張しています。
- サイバー犯罪ギャング間の抗争が大きくエスカレートした事案で、Cl0pの活動は混乱しました。ShinyHuntersは、過去のOracle E-Business Suiteを狙ったキャンペーンで得た収益に絡めてCl0pに逆恐喝を要求し、Cl0pに過去に支払った企業を暴露すると脅しています。ただしセキュリティ専門家は、被害者データの窃取というより踏み込んだ主張については、第三者による検証がまだ済んでいないと指摘しています。
- Brevoマーケティングプラットフォームへのサプライチェーン攻撃、10万以上のサイトに悪意あるスクリプトを注入
- 2026年9月14日、脅威アクターはメールマーケティングプラットフォームBrevoのソースコードにハードコードされていた、全権限を持つCloudflare APIキーを侵害しました。そして悪意あるCloudflare Workerを展開し、同社のインフラ全体に不正なスクリプトを注入しました。
- このサプライチェーン侵害は4時間にわたり、10万以上のウェブサイトに影響しました。サイト管理者がログイン状態で訪問するとWordPressプラグインのバックドアが仕込まれ、一般の訪問者にはClickFix型のソーシャルエンジニアリング用オーバーレイが表示されました。
主要ランサムウェアグループ
注:2026年9月のランサムウェア活動では、エコシステムがかつてないほど不安定化しました。内部インフラへの攻撃が相次いだほか、AI支援ツールの採用が加速し、サプライチェーンを狙う動きも目立ちました。
- Cl0p – ランサムウェア同士のインフラ攻撃を受け、大きな被害を出しました。ライバルのShinyHuntersがGrav CMSの脆弱性を突いてダークウェブ上のリークサイトを改ざんし、内部サーバーのログ、ソースコード、Tor v3の秘密鍵を持ち出しました。侵入後、ShinyHuntersはCl0pに8桁(1,000万ドル超)の逆恐喝を要求しています。Cl0pは過去に世界の企業システムを狙った大規模なサプライチェーンキャンペーンを展開しており、ShinyHuntersは同組織への圧力を保っています。
- Revolut恐喝グループ – 富裕層の金融テクノロジーユーザーを狙う脅威グループ「iamnotavillain」は、イタリア政府のPEC(認証付き電子メール)アカウントを侵害し、法執行機関になりすまして顧客データを入手しました。Revolut自身の内部インフラは侵害されませんでしたが、約680件の高額資産アカウントの機密記録が流出しました。攻撃者は6,000モネロ(約300万ドル)の身代金を要求しています。
- Qilin – 高度な運用成熟度を示し、AIツールを業務の最適化に組み込んでいることも確認されています。Qilinは複数のプラットフォームにまたがる環境で、二重恐喝キャンペーンを継続的に展開しました。Storm-2570のような、エコシステムをまたいで活動するアフィリエイトがDragonForceやAnubisと併用することも多く、日本では2番目に活発なランサムウェアの脅威となり、医療、公益事業、金融のインフラを集中的に狙いました。
- INC Ransom – 世界中で数百の被害組織が確認されているランサムウェア・アズ・ア・サービス(RaaS)モデルを拡大しており、高速な企業向けキャンペーンを拡大させてきました。侵害されたエンドポイントのテレメトリーを詳しく調べると、Active Directory上でのRDPによる横展開や、BYOVD(Bring Your Own Vulnerable Driver)によるカーネルレベルの防御回避など、高度な侵入後の手口が明らかになっています。
- The Gentlemen – 2026年上半期に日本で最も活発に活動したランサムウェアグループです。1月から7月にかけてリークサイトへの掲載件数が48件から105件へと2倍以上に増えました。中小企業を重点的に狙っています。
Linux/クラウド/ID攻撃:主要な脅威
以下の脅威は、深刻度(CVSSスコア)の高さ、即座に広範囲へ及ぶ影響、企業環境で確認された大規模な悪用に基づいて優先順位を付けています。
- Cisco Identity Services Engine(ISE)のゼロデイ脆弱性(CVE-2026-76460)
- 種別:ID/ゲートウェイインフラ
- 影響:CVE-2026-76460により、保護されていないAPIエンドポイントを介してCisco Identity Services Engine(ISE)の認証を、認証なしでバイパスできます。ユーザーの操作なしに、企業のID管理に対するroot権限の管理者アクセスが得られます。
- CVSS 10.0/統計:公表前から悪用が確認されており、2026年9月16日にCISAのKEVカタログに追加されました。連邦機関の対処期限は3日間です。
- F5 BIG-IP APMのOAuth認可サーバーのゼロデイ脆弱性(CVE-2026-94127)
- 種別:ID/クラウド/ネットワークインフラ
- 影響:ヒープベースのバッファオーバーフローにより、企業のOAuth認可サーバーとして構成されたF5 BIG-IP APMインスタンスに対し、認証なしのリモートコード実行(RCE)が可能になります。
- CVSS 9.8/統計:公表前から悪用が確認されており、9月22日にCISAのKEVカタログに追加されました。Shadowserverのテレメトリーによると、インターネットに公開された脆弱なAPMインスタンスは1万5,000件を超えます。
- Linuxカーネルのローカル脆弱性(CVE-2025-39682、CVE-2026-53266、CVE-2025-39964)
- 種別:Linux/クラウドカーネルインフラ
- 影響:メモリ破損、ネットワークアドレス変換コンポーネントでの境界外書き込み、暗号ソケットの競合状態に関わる複数のLinuxカーネルの脆弱性が悪用されています。共有ホスト環境でローカル権限昇格やシステムクラッシュを引き起こします。
- 統計:2026年9月18日にCISAのKEVカタログに追加され、インターネットに公開されたシステムについてはBOD 26-04に基づく3日間の連邦対処期限が設定されました。脆弱性の発見と悪用までの期間が短縮し続けており、主要なLinuxディストリビューションのベンダーはパッチ展開サイクルの短縮を迫られています。
Rubrik Zero LabsのLLM活用型高度分析システムによる知見
バックアップ内の主要な脅威:当社の高度分析システムは、実環境で確認された主要な脅威と増加傾向にある脅威を特定し、そのデータをバックアップのテレメトリーと突き合わせて、潜伏型マルウェアを検出します。このセクションでは、今月のデータを紹介します。
最前線の防御を超えて
広く確認された脅威のうち17.6%は、高い確度で最前線の防御を突破したと特定されました。その背後には、少数の名指しされた攻撃者がおり、それぞれが固有のツール群を持っています。封じ込めに成功した脅威が痕跡を残さない環境で、その活動の証拠が蓄積されていました。突破したグループに紐づくキャンペーンの72.6%は攻撃者の帰属が判明しており、ツール群の背後には特定の運用者が存在します。このグループの活動は医療と金融サービスに集中しており、認証情報の窃取、横展開、防御回避といった手口は、信頼度の高い環境で永続性の価値を理解している運用者の特徴と一致します。
The Gentlemen:
| 業種 | グループ全体の活動範囲に占める割合 |
|---|---|
| 金融サービス | 100% |
今期のThe Gentlemenのツールは、SYSTEMBCを中心としています。SYSTEMBCはCと.NETで書かれたトンネリングツールで、プロキシサービス、ファイルのダウンロード、実行の機能を備え、後続のペイロードへの橋渡し役を果たすことが多いツールです。
MuddyWater:
| 業種 | グループ全体の活動範囲に占める割合 |
|---|---|
| サイバーセキュリティ | 100% |
MuddyWaterは、政府機関や通信分野を標的に、持続的な侵入キャンペーンを展開することで知られる攻撃者です。今期のツールには2つのファミリーが含まれます。1つ目の「RUBBERAXE」(Chartres VBA Dropperとしても追跡されています)はC++で書かれたバックドアで、リバースシェルアクセスやファイルのアップロード・ダウンロード、別のコマンド&コントロールサーバーの設定が可能です。2つ目のLIGHTPHOENIXもC++で書かれたバックドアで、HTTPおよびHTTPSプロトコルでコマンド&コントロールインフラと通信します。
BREEZE COMET:
| 業種 | グループ全体の活動範囲に占める割合 |
|---|---|
| テクノロジー | 60% |
| 不明 | 40% |
この運用者の今期のツールは、XWORMを中心としています。XWORMは.NETベースのバックドアで、シェルコマンドの実行、スクリーンショットの取得、キーストロークの記録、ファイル操作を行えます。
高確度で防御を突破したグループの業種構成(グループ全体の環境内活動範囲に占める割合)
ランサムウェア
今期に特定された脅威の9%はランサムウェアファミリーでした。うち2つのファミリーでは、顧客主導の復旧作業が発生しました。防御側が単にアラートを記録するだけでなく、事業の復旧に動いたことを意味します。NULLTAPはランサムウェア全体のアラート活動の1.4%を占めました。Rustで書かれたNULLTAPは、サードパーティ製クレートを使ったハイブリッド暗号方式でファイルを暗号化します。復旧作業の発生は事業への影響を裏付けています。防御側が復旧レイヤーで対応に当たったことは、最前線の封じ込めでは暗号化を防げなかったことを示しています。
BLINKBROKEもランサムウェア活動の1.4%に達し、復旧作業が発生しました。BLINKBROKEはスクリプトベースのランサムウェアで、OpenSSLを使ってファイルをAES暗号化し、ファイル名を攻撃者のメールアドレスに書き換えます。スクリプトによる展開方式からは、運用者が回避技術の高度さよりも速度と単純さを優先していることがうかがえます。この脅威は検知の回避ではなく、実行の成功に依存しています。
今月は、テクノロジー分野がこの期間のランサムウェア活動範囲の30%を占めました。次いで食品・飲料が17%、医療が14%でした。