Mozillaの「Firefox Enterprise」は、機密データの共有方法の制御、デバイスのセキュリティ確認、従業員によるWebアプリケーションへのアクセス管理を可能にする有償プラットフォームです。
このプラットフォームは、ブラウザーと、組織自身のインフラ上でホストする管理ダッシュボードを組み合わせたものです。IT部門は全従業員を対象にポリシーを設定し、AIツールを制限できるほか、ブラウザーの利用状況を既存のセキュリティ監視システムと連携させることもできます。
Mozillaが想定しているのは、厳格なセキュリティ要件や規制要件を抱える組織です。
機密データの共有を制御
Firefox Enterpriseでは、管理者が特定のWebサイトにおけるテキストの貼り付け、ファイルのアップロード、ドキュメントのダウンロード、印刷をブロックしたり、警告を表示したりできます。たとえば、未承認のAIサービスに従業員が機密情報を貼り付けるのを防ぐといった使い方が可能です。
組み込みのデータ保護チェックは、従業員のデバイス上で実行されます。互換性のあるサードパーティ製システムを利用している組織は、そのシステムにチェックを任せることもできます。

データ損失防止(出典:Mozilla)
管理者は、AIサービスの許可・制限・ブロックや、ブラウザーのAI機能の無効化を設定できます。ポリシーは個々のユーザーやグループに適用できるため、役割ごとに異なるルールを設けることも可能です。
アクセス許可の前にデバイスを確認
従業員は、必要なMFAを含め、組織のログインプロバイダー経由でサインインします。Firefox Enterpriseは、ディスク暗号化やセキュリティソフトの稼働など、デバイスがセキュリティ要件を満たしているかどうかを確認できます。
デバイスがこれらの確認を通過しなければ、ブラウザーはサインインを拒否したり、従業員をサインアウトさせたりします。管理者は、紛失・盗難に遭ったノートPCを含め、接続中のデバイスをリモートからサインアウトさせることも可能です。
「Access Connector」は、企業が管理するプロキシーを通じて、社内のWebサイトやアプリケーションへのアクセスを提供します。これにより、デバイス単位のVPNを必要とせずに、個人所有のデバイスで働く従業員や契約社員をサポートできます。
攻撃にさらされるリスクを低減
Mozillaは、Firefox Enterpriseがサイト分離、拡張機能の制御、管理型のセキュリティアップデートを用いて、フィッシング、マルウェア、悪意のあるWebサイトから保護すると説明しています。IT部門は、許可するアドオンを管理できるほか、TrellixやBroadcomの製品を含む既存のデータ保護ツールをブラウザーにまで拡張できます。
「Lockdown Mode」は、選択したサイトに制限を加え、閲覧データを分離できます。また、このプラットフォームは、保存された閲覧履歴やログイン情報などのプロファイルデータを、デフォルトで暗号化します。
管理者は、機密性の高いページに識別用の透かしを入れて、共有されたスクリーンショットの追跡に役立てることができます。ブラウザーの最低バージョンを強制したり、アップデートをスケジュールしたりすることも可能です。
ブラウザーの利用状況をセキュリティ監視に統合
Firefox Enterpriseは、ブラウザーのイベントや管理操作を、組織のセキュリティ監視システムにエクスポートできます。セキュリティチームは、この情報をインシデント調査やポリシー変更の確認に活用できます。
セキュリティログの記録は任意で、管理者が記録する操作の種類と詳細度を選択します。記録は組織のダッシュボードに送られます。従業員には、ブラウザーが管理下にあることを説明する通知が表示されます。
プラットフォームを社内でホストすることで、組織は管理データ、暗号鍵、テレメトリー、ポリシーを自ら管理できます。Mozillaはソフトウェア、アップデート、ドキュメントを提供し、顧客はインフラを運用して、自社のデータとガバナンス要件を管理します。
管理された環境では不要となる、Mozillaやサードパーティのサービスへの接続は、プラットフォーム側で無効化されます。組織がこれらの接続を再び有効にすることはできません。
独立したブラウザーエンジン
Mozillaは、このプラットフォームを、単一のブラウザーエンジンへの依存を減らす手段として位置づけています。Firefoxは、Webサイトを描画するMozilla製ソフトウェア「Gecko」を採用しています。同社は、異なるエンジンを使うことで、組織内のブラウザー全体で脆弱性の影響を共有するリスクを減らせると主張しています。
「私たちはFirefoxを異なる発想で作りました」と、MozillaのCEOであるAnthony Enzor-DeMeo氏は述べています。「そして、その独立したアーキテクチャーを、自らの依存関係やリスクを見直す準備ができた組織にお届けします」
Mozillaは当初、フランス、ドイツ、オーストリア、スイスを中心に販売し、今後対象市場を拡大する計画です。
組織はFirefox Enterpriseのデモを申し込むことができ、標準的なプロフェッショナルサポートが付属します。通常版のFirefoxと拡張サポート版(ESR)は引き続き無償で、これらのブラウザーを利用する組織向けには有償サポートも用意されています。
翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/10/13/mozilla-firefox-enterprise-platform/