CyberSNの「サイバーセキュリティ求人レポート」は、米国のサイバーセキュリティ求人市場の動向を可視化しています。結果は明暗が分かれる内容となりました。
CyberSNの求人レポートのデータは、JobSpikrの情報を集約したもので、重複は除外されています。各求人の職種名は分析のうえ、CyberSN独自の分類体系に割り当てられます。この体系は10カテゴリー、45の機能別ロールで構成されています。その結果、採用企業が付けた職種名ではなく、求められるスキルに基づいた市場評価が得られます。
このデータセットを分析すると、サイバーセキュリティ分野で現在どのようなスキルが求められているかがわかります。2026年と過去数年の同じ月を比較すれば、特定のロールで需要が拡大している(あるいは縮小している)ことも読み取れます。
全体として、サイバーセキュリティの求人は減少し、4年ぶりの低水準となりました。2026年1月から9月の求人数は235,786件で、2025年の同期間の320,210件から26.4%減少しています。
求人総数は減少したものの、注目すべき動きもあります。たとえば、AIとデータ分野の2つのロールは大幅に伸びました。AIセキュリティエンジニアの需要は前年から268.3%、サイバーデータサイエンティストの需要は203.5%増加しています。
人工知能に関する一般的な理解を求める声が強いことも明らかです。AIに言及する求人は全体の15%弱で、前年同期の15.1%とほぼ同水準です。ただし、今期は勢いが明らかに増しており、2026年9月には20.0%でピークに達しました。
AIへの理解を最も多く求めているサイバーセキュリティ機能は、リサーチ(求人の32.7%、前年から11.7ポイント増)、オフェンス(23.3%、4.8ポイント増)、GRC(19.8%、2.1ポイント増)、プラン(18.9%、0.6ポイント増)です。
リモートワークも関心の高いテーマです。リモート勤務の比率が高い機能分野は、セールス(32.8%)、GRC(31.2%)、オフェンス(24.7%)、プロダクトセキュリティ(22.9%)、エデュケート(22.8%)、リサーチ(21.9%)、ディフェンス(21.3%)の順です。
分析対象期間には伸びたロールもありますが、全体の減少を踏まえると、減ったロールのほうが多くなっています。減少幅が最も大きかったのは、サイバーインサイダー脅威アナリスト(55.6%減の1,088件)です。続いて、サイバーリスクアナリスト(51.5%減の4,031件)、ペネトレーションテスター(45.9%減の3,063件)、サイバーセキュリティリード(41.0%減の4,688件)、スレットハンター(40.0%減の1,013件)、サイバーセキュリティプロジェクトマネージャー(39.4%減の783件)、CSO・BSO・ISOを含む最高情報セキュリティ責任者(CISO、38.9%減の2,832件)となっています。
CISOの減少の多くは、2025年が例外的に好調だったことの反動とみられます。2026年の件数(2,832件)は2024年の件数(2,808件)とほぼ同じです。また、CISOの求人は第2四半期から第3四半期にかけて19.5%増加しました。
レポートは求人件数に焦点を当てており、変化の原因を探ることは意図していません。「何が起きたか」を示すもので、「なぜ起きたか」を示すものではありません。レポートは「職種名にはばらつきがある」と述べたうえで、次のように説明しています。「本レポートはすべての求人をCyberSNの分類体系に沿って読み解いています。そのため、求人票に書かれた職種名ではなく、実際に求められる業務内容で需要を集計しています」
それでも、広く知られた職種についてはいくつかの手がかりが見られます。たとえば、リーダー職やCISOのポジションについて、レポートは「ディレクターやCISOの求人は、取締役会がサイバー分野の説明責任をどう扱っているかに連動して動く」とコメントしています。
全体として、CyberSNの求人件数から雇用の見通しを具体的に読み取るのは難しいものの、AIセキュリティの専門家には追い風が吹いているかもしれません。CISOを目指す人は、しばらく辛抱が必要になりそうです。