米国の判事は、社内の会話を録音していたとされるOpenAIの元従業員の勾留を認めました。検察側が、この人物には逃亡の恐れがあると主張し、サウジアラビア王族の一員と頻繁にやり取りしていた証拠を示したためです。
米当局は10月9日、Abdulrahman Alfozan容疑者(35)を、口頭での会話を違法に傍受した疑いで逮捕・起訴しました。検察によると、Alfozan容疑者はサンフランシスコにある同社オフィスの1つで、役員用会議室に録音機器を1台設置していました。さらに、OpenAIのセキュリティ担当者が後に、同容疑者が社内に置き忘れたバッグから、同様の機器をもう1台発見したとされています。同容疑者は2025年7月にエンジニアとしてOpenAIに入社し、今年10月9日の逮捕を受けて解雇されました。
10月8日に提出された刑事告訴状によると、役員用会議室の機器は遅くとも9月28日までに設置されていました。録音は少なくとも10月5日まで続いており、実際にどれだけの期間にわたったかは特定されていません。
米検察、勾留請求でサウジアラビアとの関係を指摘
米政府は10月18日、サウジアラビア国籍のAlfozan容疑者について、逃亡の恐れがあるとして米国の裁判所に勾留を求めました。提出書類によると、検察は同容疑者が「相当な資産とサウジアラビアとのつながりを持っている」と主張しました。さらに、逮捕の数日後にはサウジアラビアへ出国する予定だったと指摘しています。根拠として、育児休暇の取得計画、片道航空券でのリヤド行きに関する書類、逮捕の直前に妻と幼い息子がサウジアラビアへ向かったことを挙げました。
加えて検察は、同容疑者が2025年から2026年にかけて、10月5日という直近の時期も含め、身元不明のサウジ王族の一員と頻繁に連絡を取っていたと主張しています。この王族は、サウジアラビアがAI構想を立ち上げようとしており、Alfozan容疑者にも参加してほしいと伝えたとされています。
書類には次のように記されています。「2026年5月、この人物は被告に『サウジはアメリカよりも君を必要としている!』(原文ママ)と伝え、被告は『100』と返信して同意の意思を示した。この人物は繰り返し被告の勧誘を試み、OpenAIをいつ辞めるつもりかも尋ねた。当時、被告は株式が権利確定するまでは辞めないと答えていた」
検察はまた、同容疑者が逮捕前にサウジアラビアでの別の就職先を調べていたほか、OpenAIのサウジアラビアへの関心に関する社内データを検索していたとみられると主張しています。カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所サンフランシスコ支部の連邦治安判事は月曜日、公判が進む間の身柄拘束を求める検察の請求を認めました。
現在の容疑は、口頭の会話を傍受するための機器の使用を禁じる法律への違反(重罪)で、最高刑は禁錮5年です。
10月18日付の提出書類は、次のように指摘しています。「機器が設置された時期の前後には、OpenAIの幹部がまさにその部屋で政府関係者と会談していた。被告の行為は、米国の国家安全保障に危険を及ぼす恐れがある」
AI企業に忍び寄る内部脅威
内部脅威自体は珍しくありません。しかし、このエンジニアが役員会議を密かに録音する一方で、サウジ王族の一員と連絡を取り続けていたという検察の主張により、今回の事件は極めて異例のものとなっています。The Wall Street Journalは最近の報道で、OpenAIが従業員に対し、「ハニーポット」の罠や買収、盗聴といった問題を扱う防諜型のセキュリティ研修を実施していると伝えました。外国の工作員がスパイ活動を通じてAIの機密を入手しようとする事態を懸念しているためとされています。
AI開発競争は世界規模で、官民の組織が入り乱れています。最先端の大規模言語モデル(LLM)を手がける企業の企業秘密や知的財産に関心が集まるのは、当然といえます。
Omdia(同じくInforma TechTarget傘下)のチーフアナリストであるMark Beccue氏はDark Readingに対し、OpenAI、Anthropic、Mistral、Google、AWS、Microsoftなどの企業は「AIの超高速なイノベーションの最先端に立つ存在」だと語りました。同氏は、米検察がサウジアラビアによるAlfozan容疑者への働きかけだったと示唆するような形で、さらに多くの国が内部協力者の獲得を試みていたとしても驚かないと述べています。
「これらの企業は、オープンソースモデルより何歩も先を行く最先端のAIモデルを構築し、改良を重ねています。Mistralを除けば、いずれも米国企業です。自国でAIイノベーションを育てるというソブリンAIの考え方は世界中に根づいており、各国はモデルの革新を地政学的に重要で、経済成長の鍵だと捉えています」(同氏)
OpenAIは、Dark Readingからのコメント要請に応じませんでした。
翻訳元: https://www.darkreading.com/insider-threats/ex-openai-engineer-secret-recorder-saudi-ties