シカゴの配達ロボット、顔データ収集めぐり提訴される

料理を届けてくれるロボットは、配達先の住所以上の情報を集めているかもしれません。シカゴの歩道を走るロボットをめぐり、生体認証プライバシーの問題を提起する2件の訴訟が起こされました。

Coco RoboticsとServe Roboticsに対する別々の訴状は、両社がイリノイ州法で義務付けられた通知と同意を得ずに、顔や手に関する生体データを収集したと主張しています。訴訟ではさらに、配達中に取得した情報が保存されているのか、AIの学習用を含めて第三者と共有されているのかも問われています。

両社はいずれも訴えを否認しています。両訴訟の核心は、食品配達の枠を超えて影響しうる問いです。自律走行ロボットが取得した情報は、どの時点で法的に保護される生体データになるのでしょうか。

2件の訴訟、1つのプライバシー問題

AP通信によると、シカゴの住民2人がCoco RoboticsとServe Roboticsをそれぞれ提訴しました。いずれも、配達ロボットがイリノイ州の生体情報プライバシー法に違反したと主張しています。

Mitchell Breidinger氏は、20206年9月にDoorDash経由で注文した食料品の配達をめぐり、Coco Roboticsを訴えました。同氏はロボットによる配達を依頼していないにもかかわらず、ロボットが届けに来たと主張しています。訴状によると、ロボットのカメラは同氏の顔、頭部、手の画像を撮影し、遠隔オペレーターは配達の様子をリアルタイムで監視できる状態でした。

Breidinger氏の訴状は、Cocoが必要な通知を行わず、データ保持の方針も開示せず、書面による同意も得なかったと主張しています。さらに、Cocoがロボットで収集したデータをOpenAIなどの第三者にAI学習用として提供したとも訴えています。ただし、これらの主張は法廷で立証されたものではありません。

2件目の訴訟はServe Roboticsを標的としています。リンカーン・パークの住民であるBarry Schain氏は、Uber Eats経由でServeのロボットから3回配達を受け、直近は2026年10月4日だったと主張しています。 

Schain氏も最初の原告と同様に、ロボットによる配達を選んだ覚えはないと訴えています。そのうえで、ロボットが本人の許可なく顔や手の生体情報を収集し、保持していたと主張しています。 

イリノイ州の生体情報プライバシー法(BIPA)は、顔や手の形状のスキャンなど、特定の生体識別子の収集と取り扱いを規制しています。同法は原則として、対象となる民間事業者に対し、書面での通知、収集の目的と期間の開示、そして保護対象の生体情報を収集する前の書面による同意の取得を義務付けています。 

一方、通常の写真や動画は、同法の下で自動的に生体識別子とみなされるわけではありません。このため、ロボットがBIPAの対象となる情報を取得または生成したかどうかが、両訴訟の主要な争点になります。

被告側は不正行為を否定

Cocoの広報担当者はAP通信の取材に対し、収集するデータは走行ナビゲーションのためのもので、ロボットと歩行者の安全に役立てていると説明しました。 

同担当者はさらに、この訴訟は同社の技術の仕組みを「根本的に誤解している」と指摘しました。そのうえで、「この根拠のない訴訟は消えていくと確信している」と述べています。

Serveも、ロボットが収集するデータは道路の安全のためだと説明しました。さらに、訴訟に対して「争う」姿勢を示しています。

両訴訟はいずれも10月9日にクック郡の裁判所へ提起されました。原告は、州の生体情報プライバシー法違反1件につき1,000ドル、故意または無謀な違反1件につき5,000ドルの法定損害賠償を求めています。

問題は、データがどう扱われるか

自律走行の配達ロボットは、歩道を進み、障害物を検知し、注文品を安全に届けるために、カメラやセンサーを必要とします。しかし、収集されたデータはどこに行き着くのでしょうか。どのくらいの期間保存され、ほかに誰がアクセスできるのでしょうか。機械が仕事をこなすために集めた情報が、保存されたり、別の目的に使われたりする可能性があるため、こうした疑問は重要です。

消費者にとっての懸念は、注文を受け取る本人だけにとどまりません。ロボットとすれ違った歩行者も録画に映り込む可能性があります。その場合、自分についてどんな情報が収集され、どう使われうるのかを知らないままかもしれません。 

主張が裏付けられれば、公共空間で自律走行機械を運用する企業が、データ収集についてどう周知し、法的に必要な同意をどう得るのかという、より広い問題が浮上する可能性があります。

ただし、これらの主張は法廷で立証されていません。原告は、ロボットが法的に保護される生体データを収集したこと、そして両社がイリノイ州法に違反したことを証明する必要があります。両社は訴えを否認しており、いずれも責任を認定されたわけではありません。

現時点で両訴訟は、データを収集できることと、収集する権利があることは別だという点を改めて示しています。 

自律走行機械が公共空間で一般的になるにつれ、企業は考えるべきことが増えます。技術が機能するために何が必要かだけではありません。関わる人々についてどんな情報を集めるのか、その情報が後でどう扱われるのか、そうした運用が法的義務を満たしているのかも問われます。

関連ニュース: サイバー犯罪者が正規の金融プラットフォームのオープンバンキング機能を悪用し、取引を実行することなく、盗んだ銀行認証情報の検証と口座残高の確認を行っていました。

翻訳元: https://www.esecurityplanet.com/cybersecurity/news-food-delivery-robots-biometric-data-lawsuits/

本記事は esecurityplanet.com の記事を翻訳・要約したものです。