ハッカーが冷凍・冷蔵設定を改ざん、欧州の店舗が食品の廃棄を余儀なくされる

ハッカーが欧州のスーパーマーケットで冷凍・冷蔵設備の設定を変更し、店舗は生鮮食品の廃棄に追い込まれました。英国の供給業者からも、低温保管システムへの攻撃が報告されています。

11月2日のサイバー攻撃で冷却設定が書き換えられ、チルド食品や冷凍食品の廃棄が相次いだことから、各スーパーは冷凍・冷蔵設備のセキュリティを見直しています。当初の報道で被害が伝えられたのは欧州7カ国でしたが、その後の発表でドイツが加わり、英国の食品関連事業者にも被害が出ていたことが判明しました。

11月3日までに、一部の小売業者は営業を再開しました。その際、冷凍・冷蔵設備のコントローラーをインターネットから切り離しています。ほかの小売業者は、中央で管理するネットワークの外に設置された機器を点検しています。こうした機器では、個々の店舗や委託業者がリモートアクセスを管理しています。

冷却制御が除霜モードに切り替えられる

スウェーデン南部シェーボのICA Kvantum店では、従業員が冷凍・冷蔵設備の制御が50℃(122°F)に設定されているのを見つけました。ストックホルムの別のICA店も同様の被害を報告し、食品を廃棄したと述べています。ただし、これらの報告が示しているのは設定が書き換えられたという事実です。保管されていた商品全体の温度が独立して検証されたわけではありません。

ベルギーの冷凍・冷蔵設備会社Sabcobelによると、攻撃者は蒸発器を除霜モードに切り替え、設備の温度が上昇しました。最高経営責任者(CEO)のStephan Moelans氏は地元メディアに語り、技術者が夜通し作業して被害を受けた設備を切り離したと明かしました。同氏は、ソフトウェアの更新だけでは足りず、物理的な改修と接続の保護が必要なシステムもあったと述べています。

ベルギーとルクセンブルクではDelhaizeの数十店舗に障害が出たほか、ベルギーのCarrefour 15店舗も影響を受けました。アイルランドでは、Musgrave Groupが、SuperValu 13店舗の冷凍・冷蔵システムに被害があったと発表しています。従業員は予防措置として商品を撤去し、問題が解決した後に補充を始めました。

英国の供給業者、制御の改ざんとアラート無効化を報告

被害はスーパーマーケットだけにとどまりませんでした。Association of Independent Meat Suppliersは、英国の食肉処理場3カ所が影響を受けたと述べています。英国の国家サイバーセキュリティセンター(National Cyber  Security Centre)は、関係する組織を支援していると認めました。

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ロンドンの青果卸売業者Langridge Organicは、The Grocer誌に対し、10台あるコールドルームのコントローラーのうち6台を攻撃者に書き換えられたと語りました。攻撃者は、温度が基準範囲を外れた際に従業員へ警告する自動メッセージも無効にしていました。

従業員は手作業の温度確認で変更に気づき、機器のインターネット接続を切断しました。同社は、在庫の損失はなかったとしています。英国で報告された事例ではDixell XWEBコントローラーが確認されており、同製品を手がけるCopelandは、状況を調査中だと説明しました。あわせて、パッチ適用とセキュリティに関する案内を顧客に配布したということです。

小売各社は機器を切り離し、店舗の復旧を進める

スウェーデンのICAは、その後、被害のあった店舗が23店に上ると特定しました。これらの店舗の冷凍・冷蔵設備は、中央管理のネットワークの外で接続されていたといいます。Coopは、被害を受けた7店舗が営業を再開したと発表しました。これらの店舗では、より広範なセキュリティ見直しを進める間、冷却システムをインターネットから切り離しています。

Reutersは、ドイツ・ライスバッハのEdeka店舗も被害を受けていたことを確認しました。Danfossは、自社の機器も標的になったシステムに含まれると述べ、冷凍・冷蔵設備のコントローラーをインターネットに直接公開しないよう顧客に呼びかけています。英国当局は、国内への影響は軽微だとしつつも、警戒態勢を強めています。

先行する攻撃はフランスのスーパーを直撃

今回の11月の事件は、10月12日にフランスで報告された攻撃に続くものです。このときは、遠隔操作で冷凍・冷蔵システムが書き換えられ、数百店舗で食品が失われました。一部の場所では火災が起きたとの報道もあります。

フランスのCERT-FRは、侵害されたDanfossのAK-SMおよびAK-SCコントローラー、さらにCopelandとDixell XWEBのシステムを特定しました。同機関の勧告は、公衆インターネットからのアクセスの遮断、設定の確認、ファームウェアの更新、初期パスワードの変更を推奨しています。リモートメンテナンスは、保護されたVPNまたは保護されたネットワーク経由で行うべきだとしています。

同機関はまた、サポートが終了したコントローラーをリセットしても、根本的な脆弱性は解消されないと警告しました。脆弱な機器を公衆インターネットに再接続すれば、再び侵害される恐れがあります。当局は、実行犯を公表しておらず、一連の事件に共通の攻撃者がいると断定してもいません。

この問題は、11月の攻撃以前から指摘されていました。Hackread.comが10月26日に報じたように、ForescoutのVedere Labsは、99の国と地域にある6,017のパブリックIPアドレス上で、インターネットに公開された冷凍・冷蔵サービスを12,976件確認しました。これは観測されたサービスの数であり、冷蔵庫の個別の台数ではありません。

研究者らは、公開された管理インターフェースにアクセスされれば、攻撃者が温度、除霜スケジュール、アラーム設定を変更できる恐れがあると警告しています。そうなれば、食品や医薬品、そのほか温度管理が必要な物資が危険にさらされます。

冷凍・冷蔵設備のセキュリティは誰の責任か、専門家が問う

Secure.comのエンジニアリング責任者Waseem Ahmed氏は、Hackread.comの取材に対し、遠隔からアクセスできるコントローラーと老朽化した機器を問題点に挙げました。一方で、すべての事件を同じ原因に結びつけることには慎重な姿勢を示しています。

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「疑われているとおりサイバー攻撃であれば、共通点は冷蔵庫の故障ではなく、遠隔から到達できるコントローラーにあるように見えます。フランス当局は特定の冷凍・冷蔵コントローラーを名指ししました。研究者は、インターネットから到達できるものを数千台見つけています。ある専門家は、多くが初期パスワードのまま稼働していたと指摘しました。古いモデルの一部は、もうセキュリティ更新を受けられません。最新の被害については確認が続いている段階なので、現時点で特定のベンダーや単一の欠陥を名指しすることは避けます…」

Finite StateのシニアプロダクトセキュリティコンサルタントであるJoshua Marpet氏は、事業者は自社の事業に不可欠な機器を洗い出し、さらなる混乱に備えるべきだと述べました。

「食品流通を支えるインフラに対し、少なくとも2度にわたって攻撃が成功した以上、今後も同様の攻撃があると想定しなければなりません…とはいえ、慌てるべき時ではありません。見直しと備えの時です。インフラ内のすべての機器を点検し、どれを優先して守るべき不可欠なものとするかを見極める時なのです」

スウェーデンの公式危機情報サービスは、一般市民に向けた具体的な推奨事項はないと述べています。そのうえで、事業者には、冷凍・冷蔵設備やその他の重要な機能を制御する制御技術(OT)のセキュリティを見直すよう求めています。

(Photo by Pexels)

翻訳元: https://hackread.com/hackers-alter-refrigeration-settings-european-discard-food/

本記事は hackread.com の記事を翻訳・要約したものです。