- トランプ大統領、AIテストに関する大統領令に署名
- リリース前にサイバーセキュリティ審査が義務化
- 主要AI企業が相次いで支持を表明
米国のドナルド・トランプ大統領は今週、主要AI企業に対し、モデルを市場に投入する前に政府のサイバーセキュリティテストへ自発的に提出するよう求める新たな大統領令に署名しました。
このトランプ政権の方針転換は、AnthropicのMythos Previewのリリースが引き金になっているとみられています。同モデルは数十年前から潜在していたソフトウェアの脆弱性を発見し、実際に機能するエクスプロイトを開発できるほど強力なAIだとされています。このツールはまだ一般公開されておらず、悪意ある攻撃者より一歩先んじるため、一握りの大手テック企業にのみ提供されています。Anthropicによると、このツールはすでに「数千件」の脆弱性の発見に活用されており、その中には重大な深刻度と判定されたものも含まれているといいます。
当初、トランプ政権はテクノロジーセクターに対してより放任主義的なアプローチを支持していましたが、今やアメリカのフロンティアAIモデルの規制に乗り出す構えを見せています。
業界の支持
ロイターによると、この大統領令は財務省、国防省、商務省、国土安全保障省および他の政府機関・当局者に対し、「AIデベロッパーとモデルのテストに関する合意を締結する」よう指示しています。テストでは、モデルが市場にリリースされる1ヶ月前に米国機関がアクセスできる期間が設けられます。
主要AI開発企業はこの大統領令を支持しているようです。Googleの幹部ケント・ウォーカー氏はこれを「重要な前進」と評したとされ、Anthropicはホワイトハウスとの協力を楽しみにしていると述べました。OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、この命令が「バランスをうまく取っている」と語っています。
「米国はAI分野でリードし続けるべきです。最高のモデルを開発し続け、その安全性を確保し、信頼できる防御者の手にサイバーツールを届けることが重要です」とアルトマン氏は述べています。
ロイターはまた、自発的な連邦政府テストは「数年前から」実施されており、OpenAIやAnthropicなどの大手企業はバイデン政権時代からすでにこれを行っていたとも伝えています。先月はxAIとMicrosoftも同様の合意を行いましたが、その詳細は「後にウェブサイトから削除された」とされています。
Rapid7のグローバル政府渉外・公共政策担当バイスプレジデント、サビーン・マリク氏は今回の大統領令についてこうコメントしています。「最も興味深いのは、まったく異なる哲学を持つ両政権が、同じ根本的な懸念へと収束している点です。フロンティアAIは今や、高度なサイバーツールや半導体、デュアルユース軍事技術に匹敵する戦略的能力として扱われるようになっています。」
「フロンティアAIが国家安全保障に関わるかどうかという点では、もはや意見の相違はありません。意見が分かれているのは、安全保障を規制やガードレールによって実現するのか、それとも自発的な協力と競争上の優位性によって実現するのかという点です。これが今後10年間のAI政策における中心的な論争軸になるかもしれません。」