- 「ギグワーク」求人を使った軍・情報機関関係者への勧誘工作
- 面接と筆記試験を通じて標的を誘い込む手口
- 複数の報告書を組み合わせ「包括的な作戦全体像」を構築
中国は、機密情報の窃取や政府の政策・軍事戦略・能力・基地に関する情報収集を目的として、西側諸国の軍人、情報機関員、政府職員をハニーポット型の偽求人で標的にしています。
北朝鮮が求人応募を通じて西側のテクノロジー企業への潜入を試みていることはすでにご存知かもしれませんが、中国はその手口を変え、外交政策や防衛アナリスト分野での就職を求める人々を標的に定めています。
この問題は深刻さを増しており、FBIはファイブアイズ(Five Eyes)情報コミュニティと連携し、機密・特権情報が意図せず中国へ漏洩するのを防ぐため、この雇用詐欺に対する警告を発しました。
警告によると、中国の情報工作員はプライベートコンサルタント会社、シンクタンク、人材会社の従業員を装い、LinkedIn、Indeed、Upworkといったプロフェッショナル向けネットワーキングプラットフォームやオンライン求人サイト、フリーランス「ギグワーク」サイトに掲載した求人広告を通じて、高額報酬の仕事を持ちかけているとのことです。
求人に応じた候補者には面接の機会が設けられ、政府関係者とのつながりや軍での役職・部隊の活動内容、自分の基地や艦船に関する情報などが巧みに聞き出されます。
面接を通過した候補者は次に、中国の二国間関係やインド太平洋地域に関わる地政学的問題、あるいは防衛問題や国際貿易をテーマとした筆記試験への参加を求められます。
筆記試験の内容が有望と判断されると、採用担当者はさらに特権的な情報を引き出そうと試み、信頼関係を構築するために「安全な」暗号化メッセージングプラットフォームへの移行を口実として使います。
関係が深まると、候補者はレポートの報酬を受け取り始めます。FBIは、機密性の高い情報に対しては著しく高額の報酬が支払われることを指摘しています。支払いはPayPal、Payoneer、Zelle、Skrill、Wiseといったサードパーティの決済プラットフォームを経由することが多く、Western Union、電子送金、暗号通貨による送金も利用されています。
中国の情報工作員の戦略は、疑惑を招きかねない単一の情報源から機密情報を引き出すのではなく、複数の候補者から得た複数の報告書を組み合わせて「包括的な作戦全体像」を描き出すことにあります。
この工作の標的となるのは、軍人や情報機関員だけではありません。政府情報への特権的アクセスを持つ学術研究者、ジャーナリスト、フリーライター、シンクタンク職員、あるいは防衛・安全保障・政策・経済分野と何らかのつながりを持つすべての人が標的になり得ます。