インド最大の原子力発電所の建設に関わる文書が、大規模な流出被害に遭いました。工学系システムの設計図や供給業者の詳細情報、点検報告書、保険関連書類とされる資料が、いずれも公開の場に出回っています。
流出元はリライアンスグループのサーバー
ランサムウェアグループ「World Leaks」は、インドのリライアンスグループに帰属するとされる大量のデータをダークウェブ上で公開しました。同グループ傘下の一企業は、タミル・ナードゥ州にあるクダンクラム原子力発電所の第3・第4号機の建設に関わっています。
リライアンスグループは、データの一部がサードパーティのデータセンター運営会社Yottaでホストされているサーバーから流出したことを認めました。同社は当局に通報したものの、盗まれた情報の具体的な内容までは明らかにしていません。
9年間にわたる約1万9,000点のファイル
サイバーセキュリティ専門家のRakesh Krishnan氏は、公開された資料の中からクダンクラム原発に関連するファイルを約1万9,000点、合計14.3GB発見しました。これらの文書は2016年から2025年半ばまでの期間にわたっています。ロイター通信はこの資料を確認しましたが、真正性を独自に検証することはできませんでした。
この資料には、第3・第4号機の換気・冷却システムの設計図、共有制御ポイントの図面、業者からの提案書、承認済み供給業者の一覧、会議議事録、機器の写真などが含まれているとされています。ある文書には、建設中の号機に対するテロ行為を想定した1億1,200万ドル規模の保険契約について記されています。
影響を受けた範囲と受けなかった範囲
今回の資料は、ロシア国営企業ロスアトムが供給する原子炉の中核システムとは関係がありません。インドの原子力発電公社(Nuclear Power Corporation)は、公開された情報はあくまで一般的な補助設備に関するものであり、原子力の安全システムには触れていないとの見解を示しています。
それでも核脅威イニシアチブ(Nuclear Threat Initiative)のNicholas Roth氏は、こうした文書が攻撃者にとって発電所の補助インフラを分析し、主要な供給業者を特定し、セキュリティ体制の弱点を洗い出す手がかりになりかねないと警告しています。同氏によれば、こうしたデータからは、プロジェクトへのアクセス権を持つ人物の範囲だけでなく、それらの人物に紐づくシステムまで浮かび上がる可能性があるといいます。
侵入の経緯
Yottaによると、5月29日にリライアンス・インフラストラクチャーのサーバー上で不審な挙動を検知したとのことです。同社はこの活動を食い止め、ランサムウェアの起動を阻止したと主張しています。6月下旬、リライアンス・インフラストラクチャーはYottaに対し、攻撃者がデータを窃取したと主張している旨を伝えました。Yottaはこれまでのところこの主張を裏付けることができておらず、技術的な調査結果を顧客側に引き渡した状態です。
流出を重ねる恐喝グループ
World Leaksはこれまでに合計約85万8,000点のリライアンス関連ファイルを公開しています。同グループは通常、被害企業が身代金の支払いを拒否した場合に、窃取した企業データを公開する手口を取っています。過去にはNikeやインドのTataグループへの攻撃も主張していました。
クダンクラム原発の第3・第4号機は現在も建設中です。両号機を合わせた出力は2,000MWで、2027年までの稼働開始が予定されています。
過去にも起きていたサイバー事案
同発電所では、これが初めてのサイバー事案ではありません。2019年には、北朝鮮系グループに関連するマルウェアが内部の管理用ネットワークで発見されています。当時、運営者は発電所の制御システムに影響はなかったと発表していました。
翻訳元: https://meterpreter.org/kudankulam-data-breach/