ホワイトハウス、中国企業がAnthropicの「Fable」を蒸留したと非難

ホワイトハウスの技術政策を統括する高官が、ある中国企業に対し、Anthropicのモデルを蒸留して自社のAI製品を開発したと非難しています。

ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)を率いるMichael Kratsios氏は、北京を拠点とするAI企業Moonshot AIが、Anthropicが最近リリースしたFableモデルを蒸留し、自社のK3モデルの開発に利用したと主張しました。

Kratsios氏は水曜日、X上で「同社はこれを実現するため、米国製モデルに対して大規模な蒸留を行うための高度な内部プラットフォームを構築し、検知を回避するために複数のアクセス手法を素早く切り替えられるようにしていた」と投稿しました

さらにKratsios氏は、同社が新規調達したもの、あるいはタイ経由で入手したGB300サーバーを使い、自社のAIモデルを訓練していたとも述べています。

Kratsios氏は続けて、「米国は、フロンティアモデル、専門特化型システム、オープンソースフレームワーク、オープンウェイトモデルにまたがる活発な競争エコシステムを含め、AIの自由で公正な発展を強く支持している」と述べました。「より小型で効率的なモデルを生み出すための正当なAI蒸留は、このオープンなイノベーション・エコシステムにおいて重要な役割を果たしている。しかし、米国の独自技術を盗み、米国の研究を損なうことを目的とした大規模かつ隠密な産業的蒸留は容認できない」

Kratsios氏は、K3がAnthropicのモデルから蒸留されたものであると米政府がどのように把握したかについて、詳細は明らかにしませんでした。

米国のフロンティアAI企業各社は、第三者が先進的な商用モデルをコピーしたり複製したりすることをより困難にするよう、政策立案者に働きかけてきました。これを一種の知的財産窃盗だと位置づけています。

Moonshot AIは自社サイト上で、Kimi K3モデルを初のオープンな2.8兆パラメータモデルと説明し、フロンティアモデルに近い性能を維持しつつトークンコストを低く抑えている点をアピールしています。

同社はサイト上で「全体的な性能では、最も強力な独自モデルであるClaude Fable 5やGPT 5.6 Solにはなお及ばないものの、Kimi K3は当社の評価スイート全体でフロンティア級の性能を示し、テストした他のモデルを一貫して上回った」と述べています。

本記事の公開時点で、Moonshot AIに送付したコメント依頼への回答はありませんでした。

AIサイバーセキュリティの検知・対応企業Tuskiraの最高経営責任者(CEO)Piyush Sharma氏は、AIモデルの蒸留によって、あるモデルが持つ中核的な能力の多くを手に入れられると指摘します。同氏は、Anthropicが今年初め、中国企業Alibabaが自社のClaude AIモデルを蒸留したと非難した別の事例を挙げました。

Anthropicによれば、この件では6週間にわたり2万5000件の不正アカウントを使い、Claudeに対して2880万件のやり取りを行っていたといいます。これほどの規模を踏まえると「目的が複製であることは明らかだった」とSharma氏は述べています。

Sharma氏は「あるモデルがソフトウェアの弱点、セキュリティ上の欠陥、攻撃経路を推論する術を学習している場合、その挙動をコピーすれば、その分析能力もあわせてコピーされることになる」と指摘しています。

4月、下院国土安全保障委員会の委員長を務めるAndrew Garbarino下院議員(共和党、ニューヨーク州選出)と、対中国特別委員会の委員長を務めるJohn Moolenaar下院議員(共和党、ミシガン州選出)は、中国製AIモデルの統合に関する共同調査を実施していることを発表しました

両委員会は、この調査が「敵対的な蒸留を通じて米国のフロンティアAIシステムから独自の能力を大規模に窃取する、[中国]拠点のAI研究機関による一連の行為の検証」に加え、「窃取した能力を世界中でダウンロード可能なオープンウェイトモデルとして再配布していること、および中国由来のモデルを、数十万人に上る米国の開発者やエンジニアが日常的に使用する製品に組み込んでいること」にも焦点を当てると説明しています。

西側諸国の政府や産業界は、中国企業が北京政府の暗黙の支援を受けながら、自国の技術や知的財産、その他の企業秘密を日常的に盗んでいると非難しています。AIモデルの複製は、中国が支援してきたとされる知的財産窃盗という長年確立された慣行の延長線上にあると言えます。

とはいえ、外国政府や外国企業による米国のフロンティア企業への蒸留攻撃が実際に安全保障上の問題をはらみうるとしても、政策立案者がどこに線引きをすべきかは依然として難しい問題です。

AI業界には、フロンティア企業だけでなく、独自モデルを持つ大企業、独自性の高い小規模スタートアップ、活発なオープンソース・エコシステムも含まれており、こうした企業は重要なコードやAIモデルの訓練用データセットを含むサードパーティのデータを日常的に共有・利用しています。

さらに、米国のフロンティアAI企業は、世界をリードする自社モデルの多くを、オープンなインターネットをクロールし、他者が作成・制作したコンテンツを取り込むことで構築・訓練してきました。批判者たち(そして現在進行中の複数の訴訟)は、OpenAIやAnthropicのようなAI企業が、他者のデータやコンテンツを、ほぼ全面的に同意も対価もなしに利用して自社の帝国を築いてきたと主張しています。

翻訳元: https://cyberscoop.com/white-house-accuses-moonshot-ai-anthropic-model-distillation/

ソース: cyberscoop.com