- カリフォルニア州で220万台の車両がBluetoothを利用した攻撃の影響を受ける
- 脆弱性の原因はディーラーが取り付けたセキュリティシステム
- カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者らが、Acrisure製セキュリティ機器がすべて同一のセキュアキーに依存していることを発見
Acrisureが製造するKARRおよびSWDSの自動車用セキュリティシステムに、Bluetooth経由でリモート操作を可能にする脆弱性が見つかりました。これらの車両には、カリフォルニア州の自動車ディーラーが盗難防止・追跡装置としてこのセキュリティシステムを取り付けていました。しかし、今回のハッキングにより、車両のロック解除だけでなく、攻撃者にある程度の制御権が渡ってしまう可能性があることが判明しています。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者らによると、対象となる220万台の車両は2017年以降、南カリフォルニアのディーラーで購入されたものです。ただし中古市場を通じて全米各地、さらには遠く日本にまで流通している可能性もあるといいます。
さらに懸念されるのは、研究者らがこのセキュリティシステムを搭載した全車両の情報を保持する、誰でもアクセス可能なデータベースを発見したことです。
Bluetoothによる車両制御の仕組み
2 Million Cars with Anti-Theft Systems Installed by Dealers are at Higher Risk of Theft – YouTube
研究者らの調査によると、対象車両はホンダ、トヨタ、マツダ、フォード、ジープの各ディーラーで購入されたもので、影響を受ける車両は運転席側の窓に「KARR-SWDS」のラベルが貼られ、盗難防止装置がダッシュボード下に取り付けられています。
使い方は単純です。専用のモバイルアプリがBluetooth経由でKARRセキュリティシステムに接続し、ドアの施錠・解錠、クラクションの操作、ヘッドランプの点滅といった機能を利用できます。エンジン始動を阻止することも可能ですが、これはエンジンがまだかかっていない場合にのみ機能します。
問題はその実装方法にあります。研究者らは、KARRセキュリティシステムがすべて同一のセキュアキーに依存していることを発見しました。このキーが一度解読されれば、同じ装置を搭載した全車両が攻撃にさらされることになると考えられています。
セキュアキーの変更はできず、Bluetoothを無効化することもできません。特に懸念されるのは、購入者がアプリやKARRシステムのサブスクリプション料金を支払っていない場合でも、ハードウェア自体は装着されたままだと研究者らが発見した点です。さらに悪いことに、そのハードウェアは車両のドア、点火装置、クラクション、ヘッドランプに対して同じアクセス権限を持っています。
「装置の取り外しは簡単ではありません」と、UCSDのコンピューターサイエンス博士課程に在籍し、論文の共著者でもあるYibo Wei氏は、この研究(8月に全文が公開予定)についての報告書の中で述べています。「ダッシュボードを開けて、車両のコンピューターや点火システムと複雑に絡み合った配線を切断し、つなぎ直す必要があります」
パッチが公開
同じく共著者のJerry Yu氏は、「窓を割って車両にアクセスする代わりに、窃盗犯は車内の装置に遠隔でBluetooth接続するだけで、車のドアを解錠できてしまいます」と記しています。
KARRは各メディアに対し、「特定のBluetooth関連コンポーネント」を搭載した車両のみが影響を受けると説明しており、同社はファームウェアアップデートを公開済みです。