Signalが新たなセキュリティ層を追加、正しい相手と会話していることを確実に確認

セキュリティ

ただし一つ大きな注意点があります。相手の電話番号が必要です

Signalは、暗号化されたチャットに誰かがひそかに干渉していないことを確認できるよう、新たなセキュリティ層を導入しました。

このチャットアプリは、そのセキュリティの高さから外交官、活動家、ジャーナリストに好まれています。エンドツーエンドのメッセージ暗号化を採用しているほか、会話を保護する鍵に紐づく暗号学的なフィンガープリントである「セーフティナンバー」を利用者同士で照合し、想定した相手と正しく暗号化された接続をしているかを確認できます。

しかし理論上は、アカウントを管理する中央集権的なディレクトリを何者かが改ざんし、別人になりすますことでメッセージを傍受できる可能性があります。いわゆる「中間者攻撃」の典型例です。この場合でもメッセージ自体は暗号化されたままですが、送信先が誤った相手になってしまいます。

この可能性に対処するため、Signalは火曜日、「Automatic Key Verification(AKV)」と呼ばれる新機能を発表しました

利用者から見れば、AKVの使い方は簡単です。Signalの連絡先のプロフィールをタップし、「セーフティナンバーを表示」画面に進み、「自動的に確認」ボタンをタップするだけです。これにより、相手の公開暗号鍵がSignalの鍵透明性システムが想定する値と一致しているかどうかが緑色のチェックマークで示されます。

しかし裏側では、Signalはアカウントに紐づく公開鍵が改ざんされてメッセージが傍受されていないかを検出するための新たなアーキテクチャを開発しています。公開暗号鍵が改ざんされれば、それに伴ってセーフティナンバーも変化するため、利用者が見慣れない値に気づける仕組みです。

台帳、木構造、そして第三者機関

Signalはこの新システムを、公開鍵の台帳として機能するものだと説明しています。利用者が自分の情報(例えば紐づけている電話番号)を変更するたびに、台帳の新たな版が作成されます。この台帳にはインデックスが付随しており、Signalの利用者は自分自身や連絡先に関する台帳の情報が、メッセージの傍受を狙う悪意ある第三者によって改ざんされていないかを確認できます。この台帳は、SignalがAKVのために構築した「オープンソースの鍵透明性サーバー」上で稼働していると同社は述べています。

「Signalの利用者が登録したり、電話番号やユーザー名を変更したり、アカウントを再作成したりすると、Signalはその変更をログツリー(『台帳』)に記録し、プレフィックスツリー(『インデックスブック』)を使ってログツリーの検索を可能にします」とSignalは発表の中で述べています。

とはいえ、インデックスを自分で調べるのは決して自動的な作業とは言えません。そこでSignalは利用者に代わってインデックスをくまなく調べ、連絡先について取得した情報が最新のものであることを確認します。ただし、最新であることは必ずしも正確であることを意味しません。ここで登場するのが第三者による監査です。

発表によれば、CloudflareとセキュリティベンダーのTrail of Bitsが、SignalのAKVにおける第三者監査人を務めています。両社の役割は、Signal自身の鍵透明性サーバーが侵害されていないことを検証することです。

発表によると、第三者監査人はインデックスをチェックし、エントリが改ざんされた形跡がないかを確認します。この確認で問題がなければ、監査人はレスポンスに署名し、両利用者に提供されている鍵が同一であることを示します。これにより中間者攻撃の可能性が排除される仕組みです。

ここでも一つ、セキュリティ上の限界があります。監査人はインデックスと鍵透明性サーバーが改ざんされていないことは保証できますが、そこに含まれるデータそのものの正確性までは検証できません。そこで最後のピースとして登場するのが「モニタリング」です。

「利用者が台帳とやり取りする方法は2つあります。他者のアドレスを調べる方法と、自分自身のアドレスを調べる方法です」とSignalは説明しています。「モニタリングでは、アリスとボブ(暗号学でおなじみの登場人物です)がこの両方を定期的に行う必要があり、それぞれ異なる種類の改ざんを検出します」

アリスとボブはそれぞれ、Signalアプリを通じて自分自身の台帳エントリを監視できます。アプリが定期的に自動でチェックを行うほか、先述の「セーフティナンバーを表示」画面の「自動的に確認」ボタンによって、相手のデータが正しいことも検証できます。

「この2種類のモニタリングは、第三者による監査と組み合わさることで、完全な検出システムを形成します。監査によってアリスとボブが同じデータを見ていることが保証され、モニタリングによって両者がそのデータの正確性を定期的にチェックしていることが保証されます」とSignalは説明しています。

セキュリティに簡単な話はない

結局のところ、AKVを使ってもSignalの利用者自身がセキュリティに責任を持つ必要があることに変わりはありません。相手が本当に本人であると確実に確認したいのであれば、チャットのたびに確認ボタンを押す必要があります。

また、この機能がすべてのSignal利用者に常に有効というわけではない点にも注意が必要です。

「Signalアプリは、あなた自身の電話番号やユーザー名のデータについてはログ内で自動的に検証します」と発表では述べられています。「しかし、他の誰かについてこれを検証するには、その人物の電話番号を知っている必要があります」

つまり、Signal上で相手の電話番号を把握していない、あるいはスマートフォンのアドレス帳に一致する登録がない場合、その連絡先に紐づく暗号鍵をAKVで検証することはできません。

また、身元確認に第三者を関与させたくない利用者向けに、AKVを無効化することも可能です。その場合Signalは、昔ながらのセーフティナンバーまたはQRコードによる確認を利用するよう推奨しています。

暗号学的な検証の世界に、簡単なことなど一つもないようです。®


翻訳元: https://www.theregister.com/security/2026/08/11/signal-adds-an-extra-layer-of-security-to-make-sure-youre-actually-chatting-with-the-right-person/5286461

ソース: theregister.com