AIによって不正行為の見抜きにくさが増し、本人確認も難しくなっている

オンライン詐欺は、デジタルアカウントや決済、カスタマーサービスを利用する消費者や企業にとって日常的な懸念事項となっています。Experianの2026 U.S. Identity & Fraud Reportは、詐欺がメッセージ、ウェブサイト、文書、音声、画像、アカウント活動全般にわたって広がっている市場の実態を描き出しています。

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消費者が最も安心感を得られるセキュリティ対策(出典:Experian)

デジタルチャネル全体に広がる欺瞞

これまで不正行為は、偽造小切手やクレジットカードの盗難、虚偽の請求書といった孤立した事件として扱われてきました。しかし今では、フィッシングメールや詐欺的なテキストメッセージ、配送通知を装った連絡、誤解を招く広告、アカウント通知などを通じて現れる、デジタル活動の日常的な一部となっています。

オンラインバンキングやショッピング、決済、カスタマーサポートの普及により、不正行為の機会は増加しています。消費者にとっては金銭的損失や信頼の低下を意味し、企業にとってはコストの増大やセキュリティシステム・顧客関係への圧力につながります。

AIによって不正行為が見抜きにくくなっている

AIはデジタル詐欺の作成を容易にし、その識別を難しくしています。犯罪者はメール、メッセージ、ウェブサイト、文書、音声、カスタマーサポートとのやり取りまで模倣できるようになりました。こうした詐欺は本物と見分けがつかないほど巧妙で、人々に情報を共有させたり、送金させたり、アカウントへのアクセス権を提供させたりするほどです。

消費者の約60%がAI生成の画像や動画を使った詐欺について耳にしたことがあり、53%がAI生成のフィッシングメッセージを認識しており、47%がディープフェイク音声によるなりすましについて知っています。また、約半数が1年前と比べて自分が不正行為の標的になりやすいと感じています。

不正な支払いやアカウント変更は、実はより長い欺瞞の連鎖における最終段階にすぎない場合があります。企業にとっては、AI生成のフィッシングが主要な懸念事項であり、文書偽造や自動化されたボット攻撃、合成アイデンティティもこれに並んで挙げられています。

デジタル信頼の中核となる本人確認

説得力のあるデジタル詐欺の増加により、本人確認の重要性が高まっています。消費者の71%が、オンラインでの正確な本人認識を重要だと考えています。

行動生体認証は消費者の83%に安心感を与えており、銀行アプリでの認証、物理的な生体認証、身分証明書の確認、パスワードレスログインも高い評価を得ています。企業側もリスク評価のために、複数の本人確認・認証シグナルを組み合わせて活用しています。

本人確認は、アカウント開設時において特に重要です。企業は盗まれた認証情報や合成アイデンティティ、改ざんされた文書を検出する必要があります。強固な本人確認システムはリスクに応じて認証レベルを調整でき、日常的な活動には機微な要求ほど多くの確認を求めない仕組みを構築できます。

リスクに見合ったセキュリティを

消費者は、日常的な作業を煩雑にすることなくデジタルサービスが安全であることを期待しています。84%が、不正行為の防止に役立つのであれば追加の確認手続きを受け入れると回答しています。

アカウント開設時やアクセス回復時、高額取引時には追加の確認が適切な一方、使い慣れた端末からの日常的な活動であれば、より少ない手順で済む場合もあります。

適応型認証は、不要な摩擦を減らすのに役立ちます。企業は不正行為による損失だけでなく、誤検知による拒否、離脱率、コンバージョン率、顧客満足度も併せて測定することで、セキュリティが顧客体験にどう影響しているかを把握できます。

データ管理の徹底がデジタル信頼を築く

不正防止や本人確認、AIは個人データに依存していますが、消費者は企業によるデータの利用・保護方法について、より強い管理権限を求めています。

自分の個人データがオンラインでどう使われているかを完全に把握していると感じている消費者はわずか23%にとどまる一方、56%がそのレベルの管理権限を望んでいます。それでも消費者は、恩恵を理解できれば情報を進んで共有する姿勢を保っています。セキュリティとプライバシーが、そうした情報共有を安心して行える主な理由となっています。

企業側もこうした優先事項を共有しており、慎重なデータガバナンスはデジタル信頼を築くうえで重要な要素となっています。

不正対策で存在感を増すAI

AIは消費者、企業、そして詐欺師にとって共通のツールになりつつあります。消費者から報告されたアカウント開設のうち27%がAIチャットボットのアカウントであり、2025年の16%から増加しています。

米国企業の80%が、すでに不正対策に機械学習または生成AIを活用しています。この技術は異常な行動の特定や改ざん文書の検出、手作業によるレビューの削減に役立つ一方で、詐欺師側もフィッシングや文書偽造、自動化攻撃、ディープフェイクにAIを利用しています。

AIの活用が広がるほど監視体制の必要性も高まります。企業は正確な判断を支え、顧客の信頼を維持するために、信頼できるデータ、モデルの監視、そして人間によるレビューを備える必要があります。

Experianの最高イノベーション責任者(Chief Innovation Officer)を務めるKathleen Peters氏は、次のように述べています。「AIは、デジタルでのやり取りを大きく変えつつあり、それはワクワクするような機会と新たなリスクの両方を生み出しています」

「消費者がますますAIに意思決定の支援を委ねるようになる『人が介在しない時代』に向かう中で、成功を収める組織とは、信頼を目に見える形にできる組織です。人であれAIエージェントであれ、本人確認と信頼の確立は、あらゆるデジタルでのやり取りにおいて不可欠なのです」

AIエージェントがもたらす新たな本人確認リスク

AIツールはオンラインショッピングや予約の一部として活用されるようになってきています。消費者の31%がこうした用途でAIを利用したことがあり、23%が利用を検討する意向を示していますが、より重要度の高い判断については受け入れる姿勢が弱まります。

AIエージェントが顧客に代わって行動するようになると、企業は顧客本人だけでなく、エージェント自体、両者の関係性、そして付与された権限についても確認する必要が生じる可能性があります。

詐欺師は正規のエージェントになりすましたり、認可されたエージェントを乗っ取ったり、権限設定の甘さを悪用したりする恐れがあります。こうした状況を受け、企業はKnow Your Agentを新たな認証・不正対策の仕組みとして模索し始めています。

翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/08/20/experian-digital-identity-fraud-risks-report/

本記事は helpnetsecurity.com の記事を翻訳・要約したものです。