セキュリティ
検察は、グレッグ・ルイ(Greg Lui)被告が中国による「スーパーインテリジェンス」開発のため、高性能ハードウェアの調達を手助けしたと主張しています
カリフォルニア州の事業経営者が10月2日(木)、適切な輸出許可を得ないままNvidia製ハードウェアを中国へ密輸した疑いで起訴され、逮捕されました。最高性能のGPUを中国の手に渡さないことは、米政府の優先課題となっています。
38歳のグレッグ・ルイ被告は、人工知能(AI)開発に使われるNvidia製機器を、約3億ドル相当にわたって輸出しようとした疑いが持たれています。輸出には、米国内の貨物輸送業者やマレーシアの中継貿易会社が使われました。
検察によると、ルイ被告は自身の会社Earthmade Computer Incを通じて、米国内で製品を発注していました。対象は、A100、H100、PNY GE Force RTX 4090、GeForce RTX 5090といった高性能なNvidia製部品を搭載したサーバーです。
ルイ被告はこれらをマレーシアとシンガポールへ送っていました。両国への輸出には商務省の許可が不要です。現地の企業がそこから中国へ転送し、米国の輸出規制を回避しようとしたとされています。
被告の容疑は、国家安全保障の観点から、経済的に重要な機器を中国などの敵対国に販売することを禁じる規制に違反するものです。
平たく言えば、米国は自国のテック企業が作る最先端ハードウェアが、世界最高水準のAIをめぐる覇権争いで中国を加速させることを望んでいません。
なお、米国では最近、このAIを「スーパーインテリジェンス(SI)」と呼んでいます。
国家安全保障担当のジョン・A・アイゼンバーグ(John A. Eisenberg)司法次官補は次のように述べました。「SIは現代を決定づける技術です。国家安全保障局は、この技術を支えるチップを守ります。それは、他に類を見ない米国の革新と努力が生んだ成果です。経済・軍事面の敵対勢力による不正な転用は許しません」
裁判所文書(PDF)によると、この計画は2023年10月ごろに始まり、少なくとも2026年8月12日まで続いていました。
検察は、ルイ被告がマレーシアの中継貿易会社2社から1億7,600万ドル超の支払いを受けていたと主張しています。その見返りとして、Nvidia製ハードウェアを供給できる米国企業を両社に紹介し、約3億ドル相当の機器の販売を仲介したということです。
米政府は、ルイ被告が自らの行為の法的な意味を十分に認識していたと見ています。また、米国の輸出法令では、高性能なNvidia製チップを中国へ出荷できるのは許可保有者に限られていました。
裁判所文書によると、米当局は、Earthmadeが発注したサーバー92台をサンフランシスコ国際空港からクアラルンプールへ輸出した事実を裏付ける書類を入手しました。書類には、マレーシアから香港への再出荷の荷受人として、中国の顧客も記載されています。
起訴状には、ルイ被告が米国のダミー会社に指示し、出荷物の受取人を虚偽の名義で記載させたとの主張も含まれています。その名義は、「Topmost」社の最高経営責任者(CEO)とされるジャッキー・ルイ(Jackie Lui)です。Topmostは、マレーシアの中継貿易会社の1社で最高技術責任者(CTO)を務める人物が、カリフォルニア州で登記した会社です。
さらに検察は、ルイ被告が2021年に身分証明書類を違法に購入し、この計画の一環で使用したと主張しています。
ルイ被告は、輸出管理改革法(Export Control Reform Act)および輸出管理規則(Export Administration Regulations)違反、国外への密輸、マネーロンダリング(資金洗浄)の各1件で起訴されています。有罪となれば、最大で禁錮50年が科される可能性があります。
FBI防諜・スパイ対策部門のローマン・ロジャフスキー(Roman Rozhavsky)副部長は、次のように述べています。「FBIの捜査により、ルイ被告は米国のスーパーインテリジェンス技術を中国政府へ数億ドル相当にわたって販売していた疑いが明らかになりました。これは米国の輸出管理法に明白に違反します」
「先端SI技術の輸出管理は、国家安全保障の確保と国土防衛に欠かせません。FBIは今後も、米国企業と経済安全保障を守るために闘います。米政府や民間部門のパートナーの皆様のご協力に感謝します。私利私欲のために米国の輸出法令に違反し、敵対勢力を利する者の責任は、今後も追及していきます」
The RegisterはEarthmadeとNvidiaにコメントを求めました。®