サイバー犯罪
米連邦当局は、被告が身代金を上回る金額を顧客に請求し、身代金を支払ったうえで差額を懐に入れていたと主張しています
米司法省は、ランサムウェアで暗号化されたファイルを復号できると顧客に説明しながら、実際には身代金を支払っていたとして、ある男を詐欺罪で起訴しました。男は何年にもわたって発覚を免れていたとみられます。
連邦当局によると、「Zack Silver」「Zack Green」の別名でも知られるZohar Pinhasi被告は、フロリダ州で「MonsterCloud」という企業を経営していました。同社は、暗号化されたデータを復旧する手段があるとして、ランサムウェアの被害者に身代金を支払わないよう勧めていたということです。
司法省のプレスリリースは、次のように説明しています。「起訴内容は、Pinhasi被告が、サイバー犯罪者に身代金を支払うことなくランサムウェアを復号できると主張していた点に関わるものです。被告は、窮地に陥って同社を訪れた事業者に対し、『独自のツール』や『高度な復号技術』を用いると説明していたとされています。実際には、Pinhasi被告は顧客から受け取った料金の一部をランサムウェアの攻撃者への支払いに充て、残りを自分のものにしていたとされます。多くの場合、かなり高額な上乗せをしていました」
ある事例では、Pinhasi被告は顧客に15万ドルを請求し、8,200ドルの身代金を支払って残りを着服したとされています。ただし、身代金を支払った事実は顧客に明かしていませんでした。
この手口は非常にうまくいっていたとみられ、Pinhasi被告が顧客に請求した金額は1,900万ドル超、支払った身代金は800万ドル超にのぼります。
司法省の起訴状(PDF)によると、MonsterCloudのウェブサイトには「高度な復号技術と最先端のテクノロジー」を使っているとの記載があります。monstercloud.comのこのページにも、同じ表現があります。
同サイトには、次のような主張もあります。「MonsterCloudはITエキスパートの集団ではありません。世界で最も洗練された『対サイバーテロ』チームです」
しかし起訴状は、MonsterCloudの実態はそのようなものではなく、こうした主張は長年にわたって中身を伴っていなかったと示唆しています。
起訴状には、次の記述があります。「MonsterCloudのウェブサイトには、少なくとも1人の報酬を受け取ったスポークスパーソンによるものを含む『利用者の声』などの宣伝コンテンツが掲載されていた。2019年5月、そのうちの1人、すなわちMonsterCloudのウェブサイトに有償の推薦コメントを寄せていた人物が、Pinhasi被告の事業慣行や誠実さについて疑問を抱き、被告に連絡を取った」
「このスポークスパーソンは、特に、MonsterCloudに暗号化されたデータを復号できる独自のソフトウェアが実際にあるのかどうかを尋ねた。Pinhasi被告はこう答えた。『MonsterCloudには、ランサムウェアで暗号化されたデータを復号する独自の技術はない』」
Pinhasi被告は、電信詐欺2件と電信詐欺共謀1件で起訴されています。有罪となった場合、各訴因で最長20年の禁錮刑が科される可能性があります。
FBIが本件を捜査しており、追加の起訴もありえそうです。起訴状は、Pinhasi被告には「MonsterCloudの従業員や契約業者を含む、大陪審に身元が判明している者と判明していない者の双方からなる複数の共謀者」がいたと記しています。®