- Mozillaは、MicrosoftがWindows、Edge、Bing、Copilotを使ってユーザーをEdgeへ誘導していると非難
- Firefox開発元は、EUの厳格な規制によって他地域より公平なブラウザー選択が実現していると主張
- ブラウザー競争は、AIの流通とユーザー獲得をめぐる争いとの重なりを強めている
Mozillaは、Microsoftが支配的な地位を可能な限り悪用し、ユーザーをEdgeへ誘導して他のブラウザーから遠ざけていると非難しました。
Mozillaはこの問題について、自社は「人々にとってより良い環境」を望んでいる一方、Microsoftは強制されたときにしか動かないという構図で語っています。しかし、実際にそうなのでしょうか。
Mozillaは新たに公開したブログで、「Over The Edge 2.0」の公開から100日が経過したと述べています。このレポートは、欺瞞的デザインの第一人者であるHarry Brignull博士とCennydd Bowles氏が、「Windows、Edge、Bing、Copilotが、ユーザーが選んだブラウザーから人々を引き離すようどのように設計されているか」を分析したものです。
人々にとってより良い環境を
Mozillaによると、デジタル市場法(DMA)が施行されている欧州経済領域(EEA)では、Microsoftは「公正に振る舞う」ことを強いられています。
一方、米国、英国、インドをはじめ世界のそれ以外の地域では、依然として「あくどい手口」を使っているといいます。具体的には、Windows 10の「PCのセットアップはほぼ完了です」というメッセージが挙げられています。このメッセージは「紛らわしい文言」を用いて、ユーザーが選んだ既定のブラウザーから引き離そうとしているとされます。さらに、Windowsの検索やウィジェットがリンクを既定のブラウザーではなくEdgeで開くこと、別のブラウザーを既定に設定した後でも、PDFやSVGといった一般的なブラウザー関連ファイルの既定アプリがEdgeのままになることも指摘しています。
Mozillaは、EU域内でもMicrosoftはユーザーをEdgeへ誘導するためにあらゆる手を尽くしていると主張します。同社によれば、その例として、Edgeをタスクバーにあらかじめ固定していることが挙げられます。これは「アプリの固定と既定アプリに関する原則的なアプローチ」に「直接違反しているように見える」としています。ほかにも、Copilotがウェブリンクをブラウザーではなくサイドパネルで開くこと、Windowsバックアップが、PCの復元時に「何も告げずに」Edgeを既定に設定しようとし、「ユーザー自身のブラウザーを適切に引き継げていない」ことを挙げています。
Mozillaは「2024年に確認されたパターンの大半は、今も残っています。2026年のパターンはさらに悪質です。Microsoftは、CopilotやWindows 11への移行といった新たな接点を利用して、ユーザーの選択をいっそう損なっています」と主張しています。
Mozillaは「このレポートはMicrosoftにも共有し、指摘した問題について話し合いました。すぐに変更が行われる可能性が低いことは分かっていました。それでも、Windowsユーザーに影響を与える有害なデザイン手法について独立した証拠を突きつけられれば、Microsoftも人々のために改善したいと考えてくれるのではないかと期待していました」と述べています。
「しかし実際には、Microsoftはユーザーの選択を尊重するのは強制されたときだけだということが明らかになりました。Microsoftにとって、人々の選択を尊重する基準は法令遵守です。ユーザーにとっての最善ではありません。自らが公表した原則でもありません。技術的に可能かどうかでもありません。欧州のユーザーに対してすでに行っていることですら、基準になっていません」(Mozilla)
AIをめぐる話でもある
MozillaはレポートをMicrosoftに共有したと説明していますが、Microsoftが何らかの回答をしたかどうかには触れていません。本誌はMicrosoftにコメントを求めており、回答があり次第、この記事を更新します。
それまでの間、ブログの冒頭でMozillaが述べている内容にも触れておく必要があると考えます。
「AIがオンライン体験を一変させつつある今、事態はかつてないほど重大です。ブラウザーはAIツールやサービスの重要な流通レイヤーであり、同時に、人々が日常的に頼るプライバシーやセキュリティ機能の多くを左右しています。したがって、ユーザーを特定のブラウザーへ誘導することは、どのAIサービスがユーザーに届くか、そしてそれに伴う保護がどうなるかを左右しかねません」
そうなると、疑問が浮かびます。これは本当に人々のための改善を求める話なのでしょうか。それとも、人々にあるAIモデルではなく別のAIモデルを使ってもらいたいという話なのでしょうか。ブラウザーの機会均等を求めることが正当であるなら、AIの機会均等を求めることも正当なはずです。それなら、なぜそう率直に言わないのでしょうか。なぜ利他的とされる大義や原則の陰に隠れるのでしょうか。
Mozillaはブログで、「シンプルな」要求を掲げています。現在EEAで強制されている「より公平なデザイン」を世界中に広げること、そしてEEAでなお残る「有害なデザイン手法をやめさせること」です。
同社はブログの最後で、もう「いい人」ではいられないと宣言しています。Microsoftへの世論の圧力を「強めた」ほか、規制当局や政策立案者にも働きかけているといいます。
「米国、英国、インド、ブラジルの規制当局が注目してくれることを期待しています」