Metaの「Muse Wonder」と「Muse Wonder Full」は、保険金請求の準備や賃貸契約書の確認、ソフトウェア開発といった作業をこなすAIエージェント向けに開発されたモデルです。文書の分析やツールの利用に加え、会話をまたいで関連する情報を保持し、障害に直面しても利用者の目標に向けて作業を進める能力を備えています。
商用と研究の両方での利用を想定しており、文章作成、推論、コーディング、計画立案、調査を支援します。テキスト、画像、動画、音声を処理でき、テキストで応答します。専門的な情報の読み解きを手伝ったり、レビュー用の下書きを用意したりといった用途があります。
安全性とアライメント
利用者の代理で動くエージェントは、メッセージやカレンダー、非公開の文書を扱う可能性があります。Metaは、許可なく個人情報を共有しないよう、また有害行為を助ける依頼を拒否するよう、モデルを訓練しました。モデルは、コードの欠陥の発見といった防御的なサイバーセキュリティ業務もサポートします。
Metaは次のように述べています。「Muse Wonderは、当社がこれまでに開発した中で最もアライメントの取れたモデルです。アライメントは、パーソナル・スーパーインテリジェンスを構築するうえで中核となります。追加の安全性評価を含む完全なレポートも近く公開する予定です」
モデルカードでは、サイバーセキュリティ、化学・生物学分野での悪用、そしてAIシステムに対する人間の制御喪失のリスクを評価しています。Metaは、安全対策がない場合、化学・生物学分野での悪用について高リスクの閾値を超えないとは断言できなかったとしています。保護措置を講じた状態では、これらの分野で残存するリスクは中程度以下と評価しました。

サイバー悪用拒否ベンチマーク(出典:Meta)
同社は、不正確または偏りのある回答、多段階の推論における誤り、空間認識の弱さがあることを認めています。性能は言語や導入環境によって異なる場合があります。同社は、元に戻せない操作を行う前に人間による確認を行うよう推奨しています。
記憶と最後までやり遂げる力
複数の会話にまたがるタスクでは、エージェントが以前の指示や判断を把握し続ける必要があります。同社はこの課題に「Active Memory」で対応しています。これは会話をまたいで文脈を引き継ぎ、必要になった時点で関連する詳細を呼び出す仕組みです。
「Active Focus」は、エージェントが困難に直面した際にどのように作業を続けるかに関わる機能です。モデルは別のアプローチを試したり、エラーから回復したり、新たな情報に適応したりできます。また、不明点があれば確認を求め、重要な操作を行う前には利用者に確かめるように設計されています。
同社はこうした挙動を、変化する環境での粘り強さを検証する「FocusBench」と、長期にわたるソフトウェアプロジェクトでの作業を評価する「SWE-Marathon」でテストしています。
専門業務とコーディング
Metaの評価は、法務、金融、医療の分野に及びます。タスクには、原資料に基づく法務文書の作成、金融情報の調査、専門的な医療に関する質問への回答などが含まれます。これらのテストでは、モデルが専門知識をどう適用し、指示にどう従うかを検証します。ソフトウェア開発は、こうした能力の多くを組み合わせて用いる分野です。
同社は次のように述べています。「コーディングは、これらの能力を結集させるものです。ソフトウェアを構築するには、要件を把握し、コードベース全体にわたって変更を加え、テストと修正のサイクルを繰り返す必要があります」
両モデルは、Metaの「Prometheus」データセンターで、ソフトウェアプロジェクトでの作業を支えるため長期にわたるタスクを用いて訓練されました。同社は、パーソナルおよびプロフェッショナル向けエージェント、記憶、コーディングの各ベンチマークで、トップクラスの結果を残したと報告しています。
同社はMuse Wonder FullをMuse Spark 1.3と比較し、これらのタスクにおいてWonder Fullが、Sparkの傾向から予測される水準を上回る成果を示したとしています。同社はその要因を基盤モデルの強化に求めており、訓練時に想定していなかった目標、ツール、制約の組み合わせにエージェントが直面した際、そこから生まれる汎用性が重要になると主張しています。
提供状況
Muse Wonderは、Meta Model APIとMuse Codeを通じて利用できます。Muse Wonder Fullは、Muse Codeの契約者が利用できます。
Metaは、まず契約者を対象にMuse WonderをMuseへ導入し、アーティファクトの生成やその他の負荷の高いタスクに活用する計画です。同社は、Muse内でより幅広く提供するための専用モデルも開発する方針です。
翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/10/13/meta-muse-wonder-full-models/