この重大な脆弱性を悪用されると、認証なしの攻撃者がGitLabサーバー上でコードを実行できる恐れがあります。ほかの脆弱性は、パイプラインのセキュリティ、リポジトリへのアクセス、AIエージェントの指示へのインジェクションに関わるものです。
GitLabは、認証なしの攻撃者が同社サーバー上で任意のコードを実行できる可能性のある、最高深刻度の脆弱性を修正しました。同社は月曜日に修正版をリリースし、ソースコード管理・継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)プラットフォームに影響する、ほかの高深刻度の脆弱性5件にもパッチを適用しています。
この脆弱性はCVE-2026-97229として追跡されており、パッチアドバイザリによると、Community Edition(CE)とEnterprise Edition(EE)のバージョン19.4.2、19.3.5、19.2.8で修正されました。
同社は、影響を受けるバージョンでセルフマネージド環境を運用している管理者に対し、直ちにアップグレードするよう呼びかけています。アドバイザリによると、GitLab.comはすでにパッチ適用済みのバージョンで稼働しており、GitLab Dedicatedの顧客は対応する必要がありません。
今回のリリースでは、保護された環境変数が漏えいする脆弱性、許可されていないパイプライン実行を可能にする脆弱性、細工したコンテンツをAIエージェントの指示に注入できる脆弱性にも対処しています。修正はCEとEEの両方にまたがり、一部の問題はEnterprise Editionのみに影響します。
GitLabは「製品の特定のデプロイメントタイプ(Omnibus、ソースコード、Helmチャートなど)に言及がない場合は、すべてのタイプが影響を受けることを意味します」と付け加えています。
正規表現の重大な欠陥が認証なしのコード実行につながる恐れ
GitLabはCVE-2026-97229を、プラットフォームのCI/CD正規表現コンパイラーにおける整数オーバーフローの問題と説明しています。特定の条件下では、正規表現の検証が不十分なため、認証なしの攻撃者がCI/CD設定に細工した正規表現を指定することで、GitLabサーバー上で任意のコードを実行できた可能性があります。
この脆弱性は、GitLab CEおよびEEの19.2以降19.2.8未満、19.3以降19.3.5未満、19.4以降19.4.2未満のバージョンに影響します。認証なしでリモートからコードを実行される恐れがあり、セキュリティ境界をまたいで機密性、完全性、可用性に影響を及ぼすことから、CVSSスコアは最高値の10.0です。
GitLabは、バグバウンティプログラムのHackerOneを通じてこの脆弱性を報告した研究者のJohan Carlsson氏の功績を認めています。
パイプラインの権限とAIエージェントが標的に
高深刻度の5件のうち、CVE-2026-92883は、認証済みユーザーが細工したリポジトリを通じて、ほかのユーザーのブラウザーセッション上で任意のJavaScriptを実行できる可能性があります。このクロスサイトスクリプティングの脆弱性は、シンタックスハイライトされた出力に含まれるHTML属性のサニタイズが不適切だったことに起因し、CVSSスコアは8.7です。
ほかの2件はパイプラインのセキュリティを狙うものです。CVE-2026-16301 (CVSS 8.5)では、Developerロールを持つユーザーが、保護されたブランチ上でCI/CDパイプラインを無許可で実行できた可能性があります。CVE-2026-14814 (CVSS 8.2)では、攻撃者がリポジトリの生ファイルに対するキャッシュ済みレスポンスを汚染できる可能性がありました。その結果、標的となったパイプラインが悪意あるコンテンツを実行し、保護された環境変数にアクセスする恐れがあります。
残る脆弱性は、スケジュールされたパイプラインの実行とGitLab Duoに影響します。CVE-2026-81839(CVSS 7.7)では、認証済みユーザーが、移管されたプロジェクトで新しいグループの権限を使って任意のパイプラインを実行できた可能性があります。もう1件のCVE-2026-96893(CVSS 7.3)では、認証済みユーザーが細工したコンテンツをAIエージェントの指示に注入でき、ほかのユーザーの操作として意図しないコマンドが実行される恐れがありました。
GitLabは、脆弱性に関するIssueの詳細を、パッチを適用したリリースから90日後に公開する方針です。そのため管理者は、さらなる技術的詳細の公開を待たず、該当するセキュリティアップデートを優先的に適用する必要があります。今回のリリースでは、GitLab Pages、Kubernetesプロキシ、GraphQL API、マージリクエスト、カスタムロール、パッケージレジストリ、リポジトリおよびプロジェクトのインポート機能に影響する、低〜中程度の深刻度の脆弱性も複数修正されています。