- Biomemoryは、重要なデジタル資産を合成DNAにオフラインかつエアギャップ環境で安全に保管するサービス「DNA Shield」を発表
- 同社は、いわゆる「コールドデータ」と呼ばれるこれらの資産の耐障害性が今後脅かされると見ており、「分子IT(Molecular IT)」と呼ぶ新たな分野の導入を示唆
- BiomemoryはDNA Data Storage Allianceの共同議長を務める
DNAデータストレージを商用展開するBiomemoryは、合成DNAを用いた専用リポジトリサービス「DNA Shield」を発表しました。重要なデジタル資産を、サイバー犯罪者や人工知能(AI)といった新興技術の影響から守ることを狙いとしています。
いわゆるコールドデータは世界の全データの60%を占め、改変されてはならない情報を指します。パスワードや生体情報のほか、動かぬ証拠となるデータや事実、財務情報など、記録として残すべきあらゆる資料が該当します。
DNA Shieldは、独自に設計したエンコード方式を用いてデータをDNAに保存します。DNAは電力なしで長期間情報を保持できる物理的な分子であるため、バイオセキュアな保管が可能です。パイロット枠はすでに開放されており、本格的なサービスは2027年に開始される見込みです。
DNAという「盾」
BiomemoryがDNA Shieldを立ち上げた背景には、2026年3月に実施した、ボストンを拠点とするDNAストレージのパイオニア、Catalog Technologiesの買収があります。同社は、企業や組織向けにデータのDNA保管を提供することを目指しています。
保管の対象は、生体情報や暗号鍵、アカウント情報などです。知的財産や設計図、独自のノウハウも含まれるでしょう。データを暗号化して合成DNAに書き込み、磁気ストレージの100万倍の密度で、オフラインかつエアギャップ状態で保管する方式は、現存する中で最も安全な保管手段といえるでしょう。寿命は最長150年に及ぶ可能性もあります。
BiomemoryのCEO、Laurent Guengant氏は次のように述べています。「DNA Shieldは、Biomemoryが科学の実証から商用製品の提供へと踏み出す節目となります。組織には、最も重要なデジタル資産を預ける場所が必要です。暗号鍵、中核となる知的財産、規制対象の記録、長期にわたる組織の記憶などを、特定のベンダーやクラウド、システムの手が及ばない場所に保管し、しかも長期にわたって機能することを証明できる場所です」
分子ITプラットフォーム
DNA Shieldサービスは現在、2026年10月15日から2027年半ばまで実施される少数のパイロットに限って提供されています。Biomemoryによると、その後に本格的なサービスへ移行する予定です。今回の発表により、同社は分子ITの製品を投入する初の企業となります。
BiomemoryのプロダクトマネジメントVPで、DNA Data Storage Allianceの共同議長でもあるVincent Franceschini氏は、次のように述べています。「DNA Shieldは、私たちが何年もかけて産業化してきた分子プラットフォームの上に構築されています。ただし、研究デモではなく、実運用で顧客に使っていただくのは今回が初めてです。エンコードから許可されたデータの復元まで、一貫して確実に実現することが、私たちが分子ITを市場に投入する最初の企業となる理由です」
DNA Shieldの利用料は月額10,000ユーロからのサブスクリプション制です。関心のある組織は、Biomemoryを通じて、早期アクセスを直接申し込めます。