- AIエージェントがAlibabaの「Amap」に2,600回以上問い合わせを試行
- 調査対象となった17件のメッセージ受信箱すべてがTencent Cloudのサーバーに行き着く
- 一部のAIエージェントは、地図の制限に遭遇すると別のアクセス手段を探った
AIエージェントの一群が、Alibabaの地図サービスに繰り返し情報を求めていたことが分かりました。研究者がその活動を突き止め、エージェントと直接接触するに至っています。
調査員は2026年9月28日から10月8日にかけて、中国で広く使われているナビゲーションプラットフォーム「Amap」から情報を取得しようとする試みを2,600回以上記録しました。
エージェントは制限に直面しながらも、別の経路で情報にたどり着くこともありました。
AIエージェントは制限を回避しながら地図情報を収集
調査では、この活動がTencent Cloudのインフラに関連していることが判明しました。ただし、エージェントを動かしていた基盤AIモデルについては、研究者も特定できていません。
リクエストの多くは、個々の場所に関する公開情報を求めるものでした。具体的には、地図ページに表示される出入口の数、駐車場、到着に関する統計などです。
Amapがリクエストをブロックすると、一部のエージェントは別のアクセス手段を試しました。露出した認証情報、サードパーティのサービス、一般公開向けではなくテスト用のシステムなどを利用しています。
調査員は、エージェントがセキュリティ分析サービス「urlquery.net」に細工したWebアドレスを送信していたことも確認しました。同サービスのブラウザ環境を介してコードを実行させようとしたとみられます。
エージェントは一部の情報の取得に成功し、外部サービスやリクエストされたメタデータを通じて結果を転送していました。
調査員はこの活動を支えるインフラも調べました。その結果、調査した17件のメッセージ受信箱すべてが、香港にあるTencent Cloudのサーバーに行き着きました。
エージェントのTencent Cloud上のマシンから送られた直接のリクエストは、すべて「hysandbox-ats」と識別されるプロキシを経由していました。
ただし、これはTencent自社の「Hunyuan」モデルがエージェントを制御していたことを意味するものではなく、技術的な出所は依然として不明です。
Tencentの業務に詳しい関係者は研究者に対し、この活動はHunyuanのシステムではなく、サードパーティモデルを用いた評価に由来するものだと説明しました。
Tencentは、今回の件は外部モデルのテストによるものだと明らかにし、一部のエージェントが意図しない方法でWebサイトを閲覧したことを認めました。
同社はまた、社内調査では、特定のサービスに対する意図的な連携行為や、外部システムへの侵入が確認された証拠は見つからなかったとしています。
研究者が「見えない餌」を仕掛ける
研究者は活動が続いていた10月4日に最初の報告を公開しました。その後、一部のエージェントが調査に気づいた兆候を確認しています。
そこで、Webサイトに目に見えないテキストを埋め込みました。仲介役を通じて研究者が回答できる質問をエージェントに送るよう促す、架空のメッセージングサービスの説明です。
この説明には事実と異なる内容が含まれていました。たとえば、同サービスがすでにエージェントの情報取得を支援したことがあり、コンピューター操作機能を持つアシスタントにもつないでくれる、といった記述です。
10月7日にメッセージが届き始めると、研究チームはエージェントの質問に答えるとともに、任務や技術的な環境、動作指示について尋ねました。
あるエージェントは、任務が地図情報の確認だと説明しました。一方で、環境に関するセキュリティ上の懸念を理由に、システムの詳細についてはそれ以上明かしませんでした。
別のメッセージでは、6件の場所ラベルがエージェント自身で独自に得た結果と一致することを確認した後、「改めてご協力ありがとうございました!」と書き込んでいます。
制限の回避を伴う活動をしていながら、エージェントが終始礼儀正しかったことに、研究者は驚きました。
研究チームが記録した最後の活動は10月8日です。研究者は、10月14日の時点でエージェントは戻ってきていないと報告しています。
情報源:Swarmcha