ドナルド・トランプ大統領は火曜日、米国政府および重要インフラのパートナー企業が強力な新AIモデルに事前アクセスできることを目指す大統領令に署名しました。
この大統領令は、政策立案者やインフラ事業者、サイバーセキュリティの専門家たちが、Anthropicの非公開モデルClaude Mythosに代表されるフロンティアモデルが持つ脆弱性発見能力――そして悪意ある者の手に渡った場合にもたらしうるセキュリティ上の混乱――に深刻な懸念を抱く中で署名されました。また、業界からの反発を受けてトランプ氏が以前の草案の署名を撤回してから2週間後のタイミングでもあります。
今回の2部構成の大統領令の核心は、AIモデルのリリース前審査プロセスです。政府機関や重要インフラのプロバイダーが、新興AIの能力がもたらす影響に備えられるよう設計されています。
この文書は、国土安全保障省と財務省、ホワイトハウスの国家サイバー長官室、そして米国国立標準技術研究所(NIST)に対し、60日以内に「政府が早期アクセスを求めるべき強力なAIモデル」の定義基準を策定するよう求めています。AI企業はその基準に基づき、政府による評価が必要なモデルを特定します。政府はその後、対象モデルについて最長30日間のリリース前アクセスを要請し、重要インフラの厳選されたオペレーターにも同様の早期アクセスが提供されます。
このリリース前審査期間は、トランプ氏が5月21日に署名を急きょ取りやめた指令との実質的な相違点です。その草案では最長90日間の審査期間が設けられていましたが、テック企業幹部やトランプ政権の一部顧問が「長すぎる」と反発していました。
トランプ政権のAI政策に新たな方向性
今回の大統領令は、AIセキュリティに関するトランプ政権の姿勢の大きな転換を示すものです。2025年の就任初日、トランプ氏はAI企業に対して政府への安全性テスト提出を義務付けたバイデン政権の要件を「過剰な負担であり、AI革新に反する」として廃止しました。しかしMythosの登場がホワイトハウスの計算を狂わせ、政権は急速に進化するAI技術のリスクを評価するうえで政府が果たすべき新たな役割について、再考を迫られることになりました。
新たなAIモデル審査プロセスは企業にとって任意参加となっていますが、トランプ氏が自ら起草した大統領令の署名を見送った経緯が示すように、AIセキュリティへの政府の関与の度合いをめぐっては、政権内部でいまだ意見の対立があります。
「我々は中国にも他の誰にも勝っている。そのリードを妨げるようなことは何もしたくない」とトランプ氏は以前の指令を撤回した際に記者団に語り、それが「AI革新の足かせになりかねなかった」と述べました。
AIをサイバー防衛に活用
モデル審査プロセスの設計に加え、今回の大統領令はAIが生み出す膨大な脆弱性レポートへの対応を強化するため、政府にいくつかの措置を講じるよう指示しています。
大統領令は財務省に対し、AI業界および重要インフラのコミュニティと連携して、脆弱性の発見・検証・修正に向けた国家的な取り組みを調整する「クリアリングハウス」の設立を求めています。また、サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)に対しては、他の政府機関にAIを活用したネットワーク防御を指示し、重要インフラのオペレーターにも同様の取り組みを促すよう命じています。
その他の条項では、AIを活用した脆弱性開示に向けた助成金や、新たに発足した「U.S. Tech Force」におけるサイバーセキュリティ人材の採用支援についても定めています。
NISTのテスト体制に関する疑問
新たなAI審査プロセスが大きく取り上げられている一方で、政府はNISTの「AI標準・革新センター(CAISI)」を通じて、AI企業のモデルテストにすでに数年間取り組んできました。
NISTは5月6日、CAISIがGoogleとMicrosoft、xAIと新たな協定を締結し、各社の新モデルに対して「展開前評価」を実施すると発表しました。しかしその後、同機関はこの発表を説明なく削除しています。
翻訳元: https://www.cybersecuritydive.com/news/trump-ai-security-executive-order/821755/