- 新たな調査により、サイバー犯罪被害者の平均損失額は9,468ドルで、被害者数1億3,090万人、世界全体の年間損失額は1兆2,400億ドル強に上ることが判明
- サイバー犯罪は依然として被害者・当局の双方から大幅に過小報告されており、公式な数値は実態よりも「甘め」である可能性がある
- サイバー犯罪に関する財務データをほとんど、あるいは全く公表していない国もあり、損失額はあくまで推計にとどまる
新たに公表された数値によれば、サイバー犯罪の被害者が1件あたり平均で9,468ドルの損失を被っているとされ、この問題がますます世界規模で深刻化している実態が浮き彫りになりました。
Comparitechによる同報告書は、毎年1億3,090万人が被害に遭い、世界全体の年間損失額は1兆2,400億ドル強に達すると主張しています。
同社が2023年12月に発表した調査では、これらの数値は1人あたり8,069ドル、被害者数8,850万人、総損失額7,140億ドルとされており、さまざまな違法行為が絡み合いながら被害規模が拡大し続けている傾向が浮かび上がります。
拡大する問題と地域ごとの留意点
米国は依然としてサイバー犯罪者に狙われやすい国であり続けており、被害者数670万人、損失総額1,389億ドルでランキングのトップに立っています。1人あたりの損失額は約20,731ドルで、世界平均の2倍を超える水準です。
これは、リストで続く4カ国(スペイン、フランス、スウェーデン、トルコ)とは対照的です。これらの国はいずれも1人あたり平均約1万ドルの損失にとどまっています。
6位のロシアは、上位4カ国よりもはるかに多い被害者数を報告している一方、1人あたりの損失額はかなり低く、3,659ドルにとどまっています。興味深いことに、2025年にロシア国内で発生したサイバー犯罪の総件数は66万3,000件で、2024年の77万5,000件から減少しました。これはウクライナとの紛争が続く中での結果であり、この紛争では産業レベルと地域レベルの双方で両陣営によるサイバー攻撃がたびたび発生しています。
ただし、経済状況の悪化に加え、ロシアが多くの通信アプリケーションを自国製に置き換え、銀行業務を制限していることも、同国の数値が政策的判断によって意図せず抑えられている一因である可能性があります。
被害者数1,880万人のインドは、世界で最もスキャム被害者数が多い国となっていますが、1人あたりの損失額は平均を大きく下回る約835ドルにとどまっており、これは同国の1人あたりGDPが低いことに起因している可能性があります。
興味深いのは中国で、被害者数はインドのわずか一部にあたる120万人にとどまるものの、損失総額は約115億ドルに達しており、1人あたり換算では約9,583ドルと、Comparitechによる世界的な推計とほぼ一致しています。これは、同国がサイバー犯罪者に対して強硬な姿勢を取り、隣国ミャンマーへの圧力を強め続けた結果とも考えられます。この圧力は最終的に、国境を越えて逮捕されたスキャム実行者たちが有罪判決を受け処刑される事態にまで至りました。
Comparitechが示す1兆2,400億ドルという数値は控え目な推計であり、同報告書自身もこの点を認めています。この数値は被害者の損失のみを対象としたものであり、専門家は2025年の世界全体の損失額が10兆5,000億ドルに達すると予測していると指摘した上で、自社の1兆2,400億ドルという数値はそれと比べれば「大海の一滴」にすぎないとしています。
この10兆5,000億ドルという数値は、Cybersecurity Venturesが2016年に発表した報告書に由来するもので、同報告書は2015年の損失額を3兆ドルと推計し、それを年率15%の複利成長率で将来に投影した結果を、「歴史上最大規模の経済的富の移転」と表現しています。
AIによる自動化がセキュリティ強化の面で恩恵をもたらし、ユーザーが着信をスクリーニングしたり、状況に応じて適応するセキュリティアプリケーションを活用したりできるようになっている一方で、ハッカーやサイバー犯罪者の側もまた、セキュリティを完全に突破する手口において大幅に手口を高度化させています。Comparitechが示す数値は厳しい現実を突きつけています。もし業界が見積もる損失額が実際に維持されており、それを各国のGDPと比較した場合、この数値だけで世界第20位にランクインする規模になるといいます。