あるサイバー犯罪フォーラムの出品者が、被害者を追跡し、暗号資産ウォレットの資産価値を確認し、偽の残高を水増ししてさらに多くの金銭を搾り取る管理パネル付きの、即使える詐欺キットを500ドルで販売していることが、Malwarebytesの調査で明らかになりました。
研究者たちはこの詐欺プロジェクトを5月16日に発見し、ソーシャルエンジニアリングとフィッシング、そして金融詐欺が一つの犯行に統合された典型例だと説明しています。
このキットを扱うアカウントはxrepと名乗っています。2026年3月からフォーラムで活動しており、他のサイバー犯罪者から好意的な評価が寄せられるなど、一定の信頼を築いてきました。
xrepの得意分野はXを軸に構築されたパッケージ型ツールです。購入者が自らコードを書いたりサーバーを構築したりする必要はなく、xrepはほぼ完成品と呼べる状態のツールをそのまま引き渡します。
Malwarebytesは「これは完全な『詐欺一式パッケージ』だ」と述べています。「技術インフラ、フィッシング機能、偽の投資ダッシュボード、被害者追跡、管理コントロールが一つにまとめられ、すぐに使える形で提供されている」ということです。
詐欺師は偽の$TSLA先行販売で暗号資産を窃取
Malwarebytesが調査したキットは、Teslaを名乗る体裁で$TSLAというトークンの偽の先行販売ページを作り上げます。複数言語に対応し、スマートフォンでもデスクトップでも動作します。

詐欺プロジェクトのスクリーンショット(出典: Malwarebytes)
この詐欺は、訪問者にXのユーザー名を尋ねる偽の「参加資格チェック」から始まり、そこからプロフィール写真を取得することで、まるで本人向けに用意された特別オファーであるかのように見せかけます。その後、ページは次々とプレッシャーをかけてきます。進行状況バーが勝手に上昇し、カウントダウンタイマーが時を刻み、トークン価格がまもなく上昇するとの警告が表示され、被害者が疑問を挟む間もなく急いで行動するよう仕向けられます。
相手がオファーを本物だと信じ込んだ時点で、サイトは金銭を失わせる2通りの手口を用意しています。
一つは、ボーナスを受け取るために暗号資産ウォレットを接続するよう求める手口です。表示されるフォームは、ウォレットのすべてを制御する12単語のリカバリーフレーズの入力を要求します。このフレーズを手に入れた者は誰でもウォレットを空にできます。
もう一つはウォレット接続を経由せず、Bitcoin、Ethereum、USDT、Dogecoinのいずれかで、詐欺師が所有するアドレスに直接送金するよう求める手口です。
研究者は「被害者は正当な投資を行ったと信じ込むかもしれないが、実際にトークンが購入されることはない。詐欺師はただ暗号資産を受け取るだけで、被害者にはウェブサイト上の偽の残高が表示されているにすぎない」と指摘しています。
管理パネルが詐欺師に被害者への支配力を与える
研究者は「この犯行が特に懸念されるのは、詐欺師に与えられているコントロールの水準の高さだ」と指摘しています。
被害者がサイト内をどう動いたかを監視し、Xのユーザー名や所在地、入力されたリカバリーフレーズを収集するだけでなく、この管理パネルを使えば、盗んだウォレットをさらに追及する価値があるかどうかを、手間をかける前に確認することもできます。しかも被害者に表示される偽の残高は一度設定して放置されるものではありません。運営者は好きなタイミングでそれを引き上げることができ、投資が利益を生んでいるように見せかけて被害者にさらなる送金を促します。
この管理パネルでは、詐欺師が偽の購入注文を管理したり、被害者に直接メッセージを送ったりすることも可能です。すでに送金済みの相手には、運営者が「遅延が発生しており、資金を解放するには追加のネットワーク手数料が必要だ」といった口実で連絡を取り、同じウォレットから二度目の搾取を試みることもできます。
Malwarebytesは「フィッシングサイトを構築したり、管理システムを開発したり、説得力のある投資インターフェースを作成したりするスキルを持たない人物でも、このキットを購入すれば最小限の労力で被害者を狙い始められる可能性がある」と結論付けています。
翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/08/12/crypto-scam-kit-cybercrime-forum/