CISOやCTOは、AI導入によって今後1年間で自社の攻撃対象領域が平均14%拡大すると見込んでいます。NetFoundryの「2026年 Secure AI Accessの現状」調査によると、ほぼすべての企業がAI導入状況を可視化できておらず、90%が従業員による正式な管理外での未承認AIツール利用を懸念しているといいます。

攻撃対象領域の変化に最も影響を与えるAI導入の主な要因(出典:NetFoundry)
企業はAI導入のセキュリティ確保を迫られており、特に小売・旅行、医療・製薬、テクノロジーの各業界でその傾向が顕著です。AIに関連するリスクは、いまやセキュリティ責任者にとって最重要の懸念事項となっています。既存のセキュリティツールでAI導入を十分に保護できると強く確信している回答者はわずか15%にとどまりました。CISOの間ではその確信度がさらに低い結果となりました。
また企業は、人間のユーザーを保護する場合と比べて、AIシステムやその他のマシンワークロードの保護に対する自信も薄いことがわかりました。過去10年間のセキュリティ投資は主に人間を対象としてきたため、既存のツールはAIエージェントやAPI、その他のマシン間通信への対応が不十分になっています。
ソフトウェアの脆弱性は、サイバー犯罪者が組織への初期侵入を果たす最大の経路となっており、AIは攻撃者による脆弱性の発見・悪用をさらに加速させています。脆弱性の悪用は現在、侵害全体の約31%を占めており、脆弱性の公表から実際の悪用開始までの期間は、かつての数か月単位から数時間単位にまで短縮しています。一方で、既知の悪用済み脆弱性への対応にかかる時間は長期化しており、パッチ適用までの中央値は43日に増加しています。
マシンIDへの懸念が拡大
AIアプリケーションは、複数の環境にまたがるモデル、API、クラウドサービス、データソース、パートナー企業のプラットフォームに依存しています。新たな接続が一つ増えるごとに攻撃者にとっての侵入口が増え、攻撃対象領域が拡大します。インターネットに公開されたAPI、分散されたワークロード、そして非人間アイデンティティが、この拡大の主な要因となっています。
静的なシークレットや認証情報、サービスアカウントは、AIエージェントにアプリケーションやデータへのアクセス権を与えます。これらの認証情報は長期間有効なまま放置されがちで、過剰な権限が積み重なり、AI導入の拡大に伴って管理が一段と難しくなっています。
NetFoundryのCEOであるGaleal Zino氏は次のように述べています。「この10年間、私たちは人間のアイデンティティを中心にセキュリティを構築してきましたが、今日最も急速に拡大しているリスクはマシン同士の接続です。エージェント、モデル、MCPサーバー、API、そしてクラウドやエッジ、パートナー間を行き来するデータがそれにあたります。企業のリーダーたちは、VPNやファイアウォールの時代に設計されたツールがこうした状況を想定していないことを理解しており、あらゆるワークロードに検証可能なアイデンティティを付与し、到達可能な攻撃対象領域そのものを排除する、アイデンティティ起点のアプローチを急ぎ求めています」
セキュリティチームは、長期間有効な認証情報に頼ることなく、AIエージェントを識別・認証・監視するためのより良い方法を模索しています。ほとんどの組織が、非人間アイデンティティを保護するための新たなアプローチの検討を進めています。
シャドーAIが可視性を低下させる
インフラのセキュリティは、CISOよりもCTOにとって大きな懸念事項とされ、CTOの60%がこれを主要な課題として挙げたのに対し、CISOでは41%にとどまりました。AI環境の構築・運用を担う技術責任者は、基盤インフラの脆弱性について特に強い懸念を抱いています。
回答者の3分の1以上が、AIエージェントの活動監視に苦労していると回答しており、金融業界で懸念の度合いが最も高くなっています。可視性の低さは、問題の検知やインシデント調査、AIシステムの管理を一層難しくしています。
回答者の90%が、IT部門やセキュリティチームの承認や監督を経ないままの従業員によるAIツール利用に懸念を示しました。こうしたツールは既存のセキュリティ管理をすり抜けてしまい、AI利用状況やそれらのツールがアクセスできる情報に対する可視性を低下させます。従業員が生産性向上を求める中で、シャドーAIはAI導入に伴う一般的な副産物になりつつあります。
セキュリティ審査が導入の足かせに
AI導入のセキュリティ確保は、実装までの期間を長期化させています。回答者の半数以上が、ファイアウォールのルール変更やアクセス制御の修正を含むネットワーク変更によって、AI導入に1〜2週間の遅れが生じると回答しており、平均の遅延日数は8日にのぼります。
新たなAIモデル、API、データ接続が一つ追加されるたびに、セキュリティチームは導入前にその変更内容を審査・承認・実装する必要があります。AI環境が拡大し、接続されるアプリケーションやサービスが増えるにつれて、こうした承認プロセスがプロジェクトの遅延要因として積み重なっていきます。AIの導入が進みセキュリティ要件がさらに複雑化するにつれ、導入までの期間は今後も長期化していく可能性があります。
リスク評価やコンプライアンス審査も、遅延を招く大きな要因の一つです。回答者の半数以上が、セキュリティ審査、コンプライアンスチェック、部門間の連携調整を、AI導入に必要なネットワーク変更を行う上での最大の障害として挙げました。特に攻撃者がソフトウェアの脆弱性を狙い続ける中、新たなAIシステムやAPI、ネットワーク接続が承認されるまでには、今後さらなるセキュリティ審査と厳格な監督が求められると見られます。
翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/08/12/netfoundry-securing-ai-deployments-report/