偽ボイスメールSVG添付ファイルが大規模フィッシングキャンペーンを拡散

2カ月間にわたるフィッシングキャンペーンでは、ボイスメールファイルを装ったSVG(Scalable Vector Graphics)添付ファイルが使われ、難読化されたJavaScriptをメールセキュリティの検知網をすり抜けて送り込む手口が確認されました。5527の組織にわたり、合計26,589件のメッセージが検出されています。

この不正メッセージを検出・報告したのは、Kaseya傘下のメールセキュリティベンダーであるINKYです。8月27日に公開された技術レポートの中でINKYは、このキャンペーンが2026年6月1日から8月4日にかけて波状に展開され、週末にはほぼ活動が止まっていたと説明しています。

最大のピークは6月3日で、1149の組織に対して2432件のメッセージが送信されました。INKYによれば、分析を締めくくった時点でもこのキャンペーンは依然として稼働中だったとのことです。

今回の攻撃には、標的を絞り込んだ形跡がほとんど見られませんでした。組織あたりの受信件数は中央値で2件、32%の組織は1件のみの受信にとどまっています。

被害が最も大きかった上位10組織が占める割合は全体のわずか6%であり、これは的を絞ったスピアフィッシングキャンペーンというよりも、広範囲にばらまく手法であったことを裏付けています。

Credit: Inky.

SVGスマグリングが第2の回避層を追加

今回の攻撃は社内のボイスメール通知を装ったもので、件名の99.5%には受信者自身のメールアドレスのローカル部分が組み込まれていました。添付ファイルにはボイスメールを思わせるファイル名が付けられ、SVGおよびXMLのコンテンツが含まれていました。

これらの添付ファイルはMIMEタイプとしてimage/svg+xmlではなくtext/plainを宣言していたため、宣言されたタイプを基準にスキャンするツールからは、実行コードを含むファイルではなく無害なテキストファイルとして認識されてしまいます。

この点が重要だったのは、SVGファイルにJavaScriptを埋め込める点にあります。INKYが分析したサンプルでは、最小限のグラフィック要素の裏に難読化されたスクリプトが隠されており、実行時に文字列を再構築してリモートのエンドポイントへアクセスする仕組みになっていました。

さらにこのコードは、実行の遅延やランタイム時のスクリプト注入といった手法も用いており、静的解析だけでは挙動を特定しにくいものでした。

SVGフィッシングについてさらに読む: Microsoftが阻止したフィッシングキャンペーンではAI生成コードが使用されていた

標準のスパムフィルタリングは大半を見逃す結果に

今回のキャンペーンは、社内ドメインへのなりすましを多用していた点が特徴です。INKYによると、メッセージの95%が受信者自身のドメインから送られたものと偽装していましたが、実際には組織のメールサーバーで一度も認証を受けたことのない外部の送信者から届いていました。

標準のスパムスコアリングでは、今回のキャンペーンの大半が無害と判定されていました。約19,994件(75%)のメッセージにはMicrosoftのSpam Confidence Level(SCL)で0または1が付与されており、これはMicrosoftがスパムではないと判断する基準に当たります。一方でSCL 5と判定されたのは4777件(18%)にとどまりました。

INKYは、このキャンペーンが単一のテンプレートから作られたものであるにもかかわらず、受信するメールボックスによって同一メッセージに対する標準判定の結果が異なっていた点を指摘しています。

これらの調査結果は、今回のキャンペーンが単体では見過ごされがちな複数の要素、すなわち馴染みのあるボイスメールという口実、画像形式の利用、受信者ごとの個別化、そして社内送信者へのなりすましを組み合わせていたことを改めて浮き彫りにしています。

SVG添付ファイルは、こうしたソーシャルエンジニアリングの要素と実行可能なブラウザコンテンツとをつなぐ橋渡しの役割を果たしていました。

翻訳元: https://www.infosecurity-magazine.com/news/fake-voicemail-svg-files-bypass/

本記事は infosecurity-magazine.com の記事を翻訳・要約したものです。