ETSIは、AIデータの品質を測定する18の指標を定めた技術報告書「TR 104 180」を公開しました。企業がAIにデータを使用する前に、そのデータがAIの利用に耐えうる品質を備えているかどうかを確認できるようにするものです。報告書では各指標の定義に加え、算出に必要な計算式も示されています。

指標は4つのグループに分かれています。1つ目は基本的な事項を扱うもので、データが完全であるか、正確であるか、一貫性があるか、重複がないかを確認します。2つ目はデータが利用可能かどうかを問うもので、必要なときに入手できるか、出典まで遡れるだけの文書化がなされているか、最新の状態に保たれているかを見ます。
3つ目のグループは公平性で、データが異なる集団を偏りなく扱っているかどうかを検証します。最後はプライバシーで、データに含まれる人物が特定され得るかどうか、機微な情報が保護されているかどうかを確認します。
ETSI技術委員会DATAの議長を務めるDiego Lopez氏は、次のように述べています。「データ品質を測定可能にすることは極めて重要です。特に、信頼できるAIの場合のように、自社のデータが本来の目的に適合しているかどうかを見極める必要がある組織にとってはなおさらです」
Lopez氏はさらにこう付け加えています。「ETSIが定めた標準的な指標は、データ品質を評価するための共通言語を提供し、あるデータセットが意図した目的に適しているかどうかを定量的な根拠とともに示します。これは、AIとデータ駆動型技術が進化を続ける中で、データ品質評価に対するより一貫性のある再現可能な手法の重要な基盤となるものです」
TR 104 180の開発に携わった研究者たちは、この指標を検証するため、2つの公開データセットに適用しました。1つは航空機エンジンのセンサー計測値を収めたデータセットです。もう1つは、機械学習研究で長らく用いられてきた米国国勢調査データセットで、ある人物の年収が5万ドルを超えるかどうかを予測するために構築されたものです。
エンジンのデータは良好な結果を示しました。完全性、正確性を備え、時間の経過に対しても安定していました。一方、国勢調査データについては、より多くの懸念が浮かび上がりました。
数字に表れた男女間の格差
研究者たちは、この国勢調査データについて男女間の偏りを調べました。データセット内で高所得者に分類された男性は約31パーセントだったのに対し、女性は約11パーセントにとどまりました。この差はおよそ3倍に近く、TR 104 180ではこれを偏りの警告サインとして扱っています。
1つのデータセットに潜む2つのプライバシー問題
国勢調査データは、プライバシーの観点でも、2つの点で問題が確認されました。まず、年齢、人種、性別、国籍というわずか4つの情報を組み合わせるだけで、データセット内の特定の人物を絞り込むことができてしまいました。中には単独でも個人が特定できるケースがあり、報告書ではこれを深刻なリスクとして指摘しています。
次に、研究者たちが機微な項目の保護状況を確認したところ、個人情報がマスキングや暗号化を一切施されず、平文のまま保存されていることが判明しました。
TR 104 180では、これら両方の発見をデータ品質上の欠陥として扱っています。匿名性と機密性は、正確性や完全性と同じ一覧に並び、同様の計算式でスコア化される対象となっています。
TR 104 180は、Sejong University、EGM、TTA、Daejeon University、CNITが参加するワーキンググループによって策定されました。同グループは、あらゆるデータセットを18の指標に照らしてスコア化できるオープンソースツールも開発しています。
翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/09/07/etsi-ai-data-quality-metrics/