セキュリティオペレーションセンター(SOC)の若手アナリストは、これまで地道な積み重ねで仕事を覚えてきました。同じフィッシングの手口に何十回も対処し、見慣れたマルウェアのパターンを追い、シフトの最後には同じようなケースノートを書き上げます。そうするうちに「正常な状態」が身につき、異常にも気づけるようになります。AIツールはこうした反復作業の多くを引き受けており、現場の担当者もその変化を歓迎しています。

Swimlaneがセキュリティ運用担当者500人を対象に実施した調査では、回答者はいずれもすでにAIを利用している組織に所属しています。そのうち10人に9人近くが、AIによって仕事のやりがいが高まったと答えました。ただし、この結果には注意が必要です。回答者の約4分の1は、AIがセキュリティスキルの習得を妨げていると感じています。しかも、こうしたアナリストの仕事への満足度は、AIが学習に役立ったと答えた人たちとほぼ変わりません。前者が91%、後者が92%です。
満足しているアナリストが、シニアの調査担当者へと成長している可能性もあります。一方で、負担が軽くなったことを喜ぶ間に、昇進に必要なスキルが育っていない可能性もあります。仕事の満足度を尋ねる調査だけでは、どちらなのかは判別できません。SOCを運営する立場なら、スキルの習得状況は別に確認すべきです。誰も確認しなければ、最も大きな不利益を被るのは若手アナリストだからです。
最初の一段が高くなる
アナリストのキャリアパスが現状のまま変わらないと予想した回答者は、1%にとどまりました。500人の標本では、ごくわずかな人数です。
大半は、変化が次の2つのいずれかの方向に進むと見ています。最も多かったのは、AIシステムの監督、検証、調整を軸とした新しい職種が生まれるという見方です。一方、半数近くは、エントリーレベルの職に就きにくくなると予想しています。求められる知識や経験が増えるか、そもそも経験を積む機会が減るためです。従来の職種が単純に縮小すると見る人は、ごく一部でした。
この2つを重ね合わせると、板挟みの構図が浮かびます。AIが引き継ぐ反復的なケース対応は、新入社員が基礎を学んできた仕事そのものです。企業が採用のハードルを上げる一方で、それを越えるための実務経験が失われるなら、誰かが意図的に育成の仕組みをつくらなければなりません。
AIの出力を確認することも仕事の一部に
アナリストによると、AIが出力した内容のレビューに充てる時間が、1日の中で増えています。本人たちはその確認作業に自信も持っています。9割を超える人が、誤った推奨や不完全な推奨を見抜けると答えました。介入すべき場面の見極めもできています。多くの回答者が自分の判断を優先するのは、目の前の証拠がAIの回答と食い違うときや、推奨どおりに動くと業務や重要なシステムに支障が出かねないときです。AIが間違っていない限りそのまま従う、と答えた人はほとんどいませんでした。
彼らが最も懸念するリスクは、自分自身です。AIの利用拡大に関する懸念では、アナリストがAIの推奨に頼りすぎることが最も多く挙がり、機密データの漏えいをわずかに上回りました。理由は理解しやすいものです。AIの推論を検証する機会が少ないアナリストは、誤りを見抜く練習を積む機会も減ってしまいます。
リーダーが描く姿は、より完成された仕事
同じ質問でも、リーダーと実務担当者では答えが異なります。リーダーのほうが一貫して前向きです。リーダーの4分の3は、AIが複数のセキュリティ機能にまたがって広範に展開されていると答えました。実務担当者で同じように答えたのは約半数です。リーダーは、職務の再設計、対応能力の向上、満足度の向上についても、より多く報告しています。
2つのグループは別々の組織の出身であるため、この差から経営層が自分のチームを見誤っていると断定することはできません。それでも、通常は投資の優先順位を決める立場の人たちが、実務担当者の報告よりも移行が進んでいると捉えている点は押さえておくべきでしょう。大企業も遅れをとっています。従業員1万人以上の企業では、満足度が大きく向上したと答えた回答者の割合が、中堅企業の半分でした。
役割を文書化した組織ほど、アナリストの満足度が高い
書面での取り決めは、意外にも重要でした。回答者の約4割は、自社がより付加価値の高い業務を中心にアナリストの役割を正式に書き直したと答えています。同程度の割合の回答者は、正式な変更がないまま職務が自然に変わっていったと述べました。役割を正式に再設計した組織では、71%がAIによって満足度が大幅に高まったと回答しています。再設計がない組織では、この数字は29%まで下がります。この調査から、再設計が差の原因だとは言えません。職務記述書を書き直す手間をかける組織は、ほかの面でも異なる可能性があります。
正式な再設計では、アナリストが今何を担い、どう評価され、どう昇進していくのかが明確になります。管理職にとっても、満足度とは別に、メンバーが学べているかどうかを把握する拠り所になります。この2つ目の指標が必要になる理由を示しているのが、91%という数字です。
翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/10/01/ai-soc-entry-jobs/