英国へのロシアのサイバー攻撃は「プーチン税」、損失は33億ドルに上る──議員が報告書

ロシアによるサイバー攻撃や破壊工作、重要インフラへの脅威が英国にどれだけの損失をもたらしているのか。英政府はこれを把握できていないと、ある議員が水曜日に公表した報告書が指摘しました。 

報告書は、年間の損失額を独自に20億〜25億ポンド(26億〜33億ドル)と試算しています。ただし、この数字はあくまで下限だとしています。タイトルはThe Putin Taxで、労働党のグレアム・ダウニー下院議員が、博士研究員のドミニク・リード氏とともに執筆しました。

執筆者らは、この数字を導き出した手法には限界があると認めています。そのうえで、最も重要な点は公的な代替推計が存在しないことだと強調しました。

今月下旬には、アンディ・バーナム首相率いる新政権にとって、厳しい展開が予想される初の予算案が示される見通しです。報告書は、ロシアの活動によるコストが国民に見えなければ、その負担と防衛にかかる費用を比較検討できないと訴えています。

ダウニー議員は複数の省庁に一連の議会質問を提出しました。その結果、閣僚らはクレムリンに関連する事案の経済的影響について、推計を一切持っていないことが分かりました。

2件のランサムウェア攻撃についても、コストの分析は行われていません。1件は英国民保健サービス(NHS)向けソフトウェアの供給元であるAdvanced、もう1件はRoyal Mailが標的になりました。実行したのは、クレムリンの暗黙の了解のもとで活動しているとされ、場合によってはロシア情報機関とつながりを持つとされるグループです。

報告書は次のように述べています。「洪水対策には費用がかかるため、洪水の被害額は測定・推計されている。不正対策にも費用がかかるため、詐欺の被害額は測定されている。敵対国家の活動は、重要インフラや公共サービス、そして経済全体にますます影響を及ぼしている。それにもかかわらず、その累積的な金銭的影響を把握する取り組みは、これまで同等には行われてこなかった」

報告書はまた、2025年8月に発生したジャガー・ランドローバー(JLR)へのサイバー攻撃にも言及しています。この攻撃が英国経済に与えた損失は25億ドルと推計されていますが、英政府はロシアと関係する攻撃者によるものだと正式には断定していません。さらに、2024年にロシアのワグネル・グループの指示でロンドンの倉庫に放火された事件も取り上げています。

総額のうち最大の要素は、サイバー犯罪が英国企業に与える年間損失147億ポンド(193億ドル)の10%をロシアの責任と仮定して算出したものです。政府がこの損失額を公表しています。ただし、この割合は厳密な攻撃元の特定に基づくものではありません。

海底ケーブルを脅かす敵対的活動などの残りの数字も、公的なデータではなくモデルから導いたものです。 

問われる信頼

報告書の主張は、英国防情報部の元トップ、ジム・ホッケンハル大将が今年初めにRecorded Future Newsのインタビューで述べた見解と重なります。ホッケンハル氏は、英国は安全保障への投資の必要性を国民に示せていないと語りました。その一因は、根拠となる証拠が機密のままであることだといいます。

「国民はそのつながりを理解していると私たちは考えがちです。しかし、私たちの知見が高度に機密化され、高官や政治家の手元にとどまっているなら、事実上、証拠を見せないまま信じてほしいと求めていることになります」と同氏は述べました。

同氏は、政府の内外が継続的に連携して、この脅威を分かりやすく伝え、理解を広げるよう求めました。また、文脈を示さないまま「戦争は起こりうる」と繰り返しても、学校や医療への予算と競える主張にはならないと警告しています。

ダウニー議員の提言の一つは、敵対国家の脅威とサイバーレジリエンスに関する全国的な啓発キャンペーンです。これは、この溝に正面から応えるものです。

報告書は、ほかにも複数の提言をしています。政府に対しては、敵対的な外国の活動について年次の経済評価を公表するよう求めました。国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)には、報告書で攻撃元の特定とあわせてコストの推計も示すよう求めています。国防省には、物理的な敵対行為のコストを算定する手法の開発を求めました。

ダウニー議員は次のように話しています。「いま必要なのは、プーチン税が存在することを証明することではありません。英国がその測定に乗り出すようにすることです」

内閣府は、コメントの求めにすぐには応じませんでした。

翻訳元: https://therecord.media/russia-cyberattacks-on-britain-putin-tax-graeme-downie

本記事は therecord.media の記事を翻訳・要約したものです。