XBOWのAIエージェント、Chromeのエクスプロイトチェーンを構築 報奨金は25万ドル

セキュリティ企業XBOWが開発したAIエージェントが、わずか6日間でGoogle Chromeに対する強力な脆弱性チェーンを組み上げました。このエクスプロイトを使うと、被害者が悪意のあるWebページにアクセスするだけで、Windows端末上で任意のプログラムを実行できます。Googleはその後、調査結果を検証し、改定した報奨金プログラムに基づいて過去最高額となる25万ドルの報奨金を支払いました。

集中的な調査は2026年8月2日から8月7日にかけて行われました。主任研究者のBrendan Dolan-Gavitt氏が自律型エージェントを統括し、エージェントはOpenAI GPT-5.6 Solと従来の基盤モデルを併用しました。AIはブラウザーのソースコードを監査し、検証可能な仮説を立て、概念実証(PoC)のエクスプロイトを構築しました。一方、人間の研究者は探索の方向性を指示し、実験結果を評価し、重要な戦略判断を下しました。

3段階の脆弱性チェーンを分解する

最初にAIエージェントが特定したのは、V8 JavaScriptエンジンの欠陥です。この欠陥により、攻撃者はエンジンの隔離された領域内でメモリーを精密に操作できました。ただし、この領域から脱出するには、別の手段が必要でした。

WebPとCrashpadでサンドボックスを突破

次にエクスプロイトは、アニメーションWebP画像デコーダーのメモリー脆弱性(CVE-2026-85045)を突きました。この欠陥を利用して、V8の内部サンドボックスの境界を突破しています。その結果、第1段階ではアクセスできなかったメモリー領域を、ペイロードが正確に破壊できるようになりました。

3つ目の脆弱性は、Crashpadに存在するCVE-2026-78952です。CrashpadはChromeの主要なサンドボックスの外側で動作します。そのため、3つの欠陥を連鎖させることで、Windows上での任意コード実行が可能になりました。実際のデモでは、細工したWebページを読み込む以外に、ユーザーの操作は一切不要でした。不審なファイルをダウンロードしたり、偽装されたボタンをクリックしたりする必要もありません。

経済的な効率性とAIによる修正対応

これらの欠陥は、単独ではどれもホストの完全な掌握には至りません。真の危険性は、何重にも重なった防御の境界を順に突破できる点にありました。具体的には、後続の脆弱性が、前の段階で得た権限をさらに拡大していきます。

XBOWが公表した調査結果によると、マルチエージェントによる一連の作業にかかった計算コストは約4万ドルでした。興味深いことに、Googleは当初、チェーンの初期版を却下しています。構成要素のバグの1つを、社内のエンジニアがすでに把握していたためです。幸い、研究チームはあらかじめ代替となるモジュールを用意しており、重複した部分を素早く差し替えられました。従来であれば、同等のゼロクリック型エクスプロイトチェーンの開発には、手作業で数カ月を要したはずです。

10億人超のWindowsユーザーを保護

XBOWの推定では、このチェーンは修正前の時点で、WindowsのChromeユーザーのおよそ10億人を危険にさらす可能性がありました。ただし、この数字は影響が及び得る範囲の総量を示すもので、実際の被害者数ではありません。Googleのセキュリティエンジニアはエクスプロイトを再現して全調査結果を検証し、安定版チャネル全体に包括的なパッチを配信しました。さらに、テレメトリーによれば、攻撃者がこのチェーンを実環境で悪用した形跡はありません。

Googleは、拡充した2026年の報奨金プログラムの規定に従い、史上最高額となる25万ドルを支払いました。これを受けてXBOWは、全額を寄付し、非営利団体のセキュリティ評価を支援すると表明しています。今回の成果は、AIが攻撃側の研究を急速に加速させる一方で、人間の専門知識が依然として不可欠であることを示しています。

翻訳元: https://meterpreter.org/xbow-chrome-exploit-chain-bounty/

本記事は meterpreter.org の記事を翻訳・要約したものです。