ランサムウェア集団は、被害者に要求をのませるため、圧力を高める手口を絶えず変化させています。当初はファイルの暗号化だけで十分でしたが、被害者がサイバーレジリエンスを高め、バックアップから暗号化されたファイルを復旧できるようになると、手口の進化が必要になりました。そこでランサムウェア集団は攻撃にデータ窃取を組み込み、身代金を支払わなければ盗んだデータを売却または公開すると脅すようになりました。この二重恐喝の手法は大きな成功を収め、データ漏えいの脅しだけで多くの被害者が支払いに応じました。
しかし、身代金を支払う被害者の割合は下がり続けており、暗号化とデータ漏えいの脅しだけでは通用しなくなっています。ID脅威検知・対応(ITDR)企業のSemperisが委託した最近の調査によると、ランサムウェア被害者のうち身代金を支払った割合は、2024年の78%から2025年には69%、2026年には59%へと低下しました。
これに対しランサムウェア集団は、より攻撃的な手口を採用しています。企業の従業員やその友人、家族に対して個人的な脅迫を行う傾向が表れています。調査では、ランサムウェア攻撃の37%で従業員の友人や家族への脅迫が行われ、回答者の41%が身体的または心理的な威圧の標的になったと答えています。
攻撃で情報を盗まれた個人に直接連絡する手口は、これまでにもいくつかの集団が採用してきました。ただ、脅迫の内容は個人情報の公開にとどまるのが一般的でした。それが今は深刻化しています。ランサムウェア集団は現在、身体的な暴力をほのめかして脅しています。従業員やその友人、家族にテキストメッセージ、メール、電話で連絡し、自宅や職場、さらには子どもの通う学校まで把握していると伝えています。
最も多い手口は、データの消去・破壊・公開の脅しで56%でした。次いで、ゆすり・恐喝が41%、システムのロックアウトや妨害が40%です。一方で、攻撃者の23%は心理的な威圧に及び、17%は身体的な脅迫を行い、10%のケースでは法的責任の追及をちらつかせました。Semperisは第3回年次ランサムウェア報告書で、個人を狙った脅迫が勢いを増していると警告しています。個人的な脅迫を受けた人のうち、57%は脅迫的なテキストメッセージ、手紙、荷物を受け取りました。37%は友人や家族に関する脅しを受け、19%は身体的な侵入、17%は拉致、13%は身体への危害、6%はストーキングで脅されています。
Semperisによると、53%のケースで攻撃者は脅しを実行に移しました。個人情報を暴露するドキシング(doxxing)や、通報された脅威を装って武装警察を出動させるスワッティング(swatting)といった事例もあり、被害者を身代金交渉へ追い込む可能性があります。調査では、被害者の約25%がドキシング、23%がスワッティングを経験したと報告しています。
標的になった個人への影響は深刻です。約4分の1が医療やメンタルヘルスのケアを必要とし、14%はその結果として転職、事務所の移転、転居を余儀なくされたと述べています。Semperisは、企業はこうした現代の脅迫手口に対応する必要があるとしています。組織外の個人への脅迫を伴う攻撃にどう対処するかという手順を、ランサムウェア対策のレジリエンス戦略に盛り込むべきだという指摘です。
「法執行機関と強い関係を築いているCISOと話したことがあります」と、SemperisのAVP(危機管理担当)であるCourtney Guss氏は語ります。「自力で探すよりもはるかに早く情報やリソースを得られる経路だと分かったそうで、それが復旧の迅速化につながることも少なくありません。ですから、事前に連絡先を把握し、関係を築いておくことを危機管理計画に含めるべきです」。Semperisはさらに、ID(アイデンティティ)のレジリエンス強化、IDシステムへの侵害への備え、現実的なシナリオに基づくインシデント対応手順の繰り返しの訓練を推奨しています。訓練には、ランサムウェア対応に関わる全メンバーが参加する机上演習も含まれます。
翻訳元: https://www.hipaajournal.com/ransomware-groups-increasingly-resorting-real-world-threats/