カスペルスキーのVPNとパスワードマネージャーが世界中で数日間停止、タイミングをめぐり波紋も…


  • カスペルスキーのVPN、パスワードマネージャー、Safe Kids、およびMy Kasperskyポータルが、10月11日から約10月14日まで世界中で停止
  • 障害は、ウクライナのドローンがYandexのウラジーミル・データセンターを停止させた数時間後に始まったが、両者の技術的な関連は示されていない
  • カスペルスキーを「事実上死んでいる」と評した拡散投稿は、データベース更新、パスワードの消失、欧州限定という説明のいずれも誤りだった。影響は世界規模で、一時的なものだった

先日、世界中のカスペルスキーの利用者が数日間、同社のVPN、パスワードマネージャー、保護者向け機能のSafe Kids、アカウントポータルのMy Kasperskyを使えなくなりました。障害が始まったのは、ウクライナのドローンがYandexの3か所目のデータセンターをオフラインに追い込んでから、わずか数時間後のことでした。

同社は技術的な問題が原因だと説明していますが、根本的な原因は明らかにしていません。一方で、ロシア最大のテック企業への攻撃と時期が重なっていることは、利用者の間で無視できない話題になっています。

2026年10月15日、リガを拠点とする論客のProfessor Talk(@SergejTalk)は、欧州の利用者にとってカスペルスキーのアンチウイルスは「事実上死んでいる」状態だと投稿しました。データベースの更新は失敗し、パスワードマネージャーは中身ごと消え、VPNも使えなくなったといいます。

しかし、こうした主張の多くは記録と食い違っています。一方で、障害そのものは実際に起き、世界規模で、ほぼ4日間続きました。そして、カスペルスキーの主要サービスの多くがロシアのホスティングに依存している可能性も浮かび上がりました。

4大陸でログイン不能に:単なる不運か、それとも別の要因か

最初の苦情がカスペルスキーのサポートフォーラムに寄せられたのは、10月11日(日)の早朝でした。パソコンでもスマートフォンでもVPNが接続できないという報告です。1日のうちに、このスレッドにはマレーシア、ブラジル、イタリア、ベトナム、スペイン、ドイツ、イラク、英国、オーストラリアから報告が集まりました。日本の利用者もXで、アクティベーションの失敗やVPNに接続できない状況を訴えました。

これを受けて10月12日、カスペルスキーの従業員でフォーラムのモデレーターを務めるDanila T.氏は、カスペルスキー製品とMy Kasperskyの一部機能が一時的に利用できなくなっていることを認めました。対象としてVPN、Safe Kids、パスワードマネージャーを挙げ、保護機能とユーザーデータへの影響はないと説明しています。

その後、モデレーターのBerny氏がフランス語で伝えた続報では、VPNの問題は対応するすべてのOSのアプリで発生しており、10月10日以降に購入したライセンスはアクティベーションが遅れる可能性があるとされました。カスペルスキーは、失われた期間を補うため、影響を受けたサブスクリプションを自動的に延長する方針を示しました。

スタッフは対応に追われる中、アプリのアンインストールや再インストールをしないよう利用者に呼びかけました。アクティベーションサービスの不具合により、アプリを完全に使えなくなる恐れがあるためです。

サービスは段階的に復旧しました。Berny氏によると、My Kasperskyは10月13日の夜に再び利用可能になりました。VPNは10月14日の朝までに接続できるようになったとの声が上がり、Danila T.氏は同日、「VPNの問題は解決したはずです」と投稿しました。

注目されているのはタイミングです。ドローンは10月7日から8日にかけての夜にリャザン州にあるYandexのサソボ・データセンターを攻撃し、10月9日にはカルーガのサイトを部分的に機能停止させました。さらに10月11日にかけての夜には、ウラジーミルの施設を完全に停止させています。

Yandex Cloudは緊急モードに入り、顧客には自社の災害復旧計画を発動するよう通知されました。本誌は、ロシア中部のクラウドゾーンが停止したことでYandexの検索トラフィックが急減したことも報じています。

相関関係はあるが、因果関係は未証明

Habrに掲載された詳細なインシデントの時系列によると、ウラジーミルの電源喪失は10月11日のモスクワ時間午前4時から6時8分の間でした。これは、カスペルスキーVPNの利用者が問題を報告し始めた時期に近いタイミングです。10月10日に購入したライセンスに注意を促したカスペルスキー自身の通知も、Yandexの2か所のサイトがすでに被害を受けていた時期にあたります。

ただし、これは相関関係であり、因果関係ではありません。カスペルスキーは、一般消費者向けサービスがYandex Cloud上で稼働しているとは述べていません。Günter Born氏のブログやWinFutureを含め、これまでの報道でも、そうした関係を示す技術的な証拠は出ていません。

WinFutureは、カスペルスキーが今もロシアのデータセンターに依存しているかどうかは不明だと指摘しています。The Recordによると、Yandexの障害は小売業者からTikTokのロシア法人まで、無関係な十数件以上のサードパーティサービスにも波及しました。このため、別の場所で偶然起きた障害が目立ちにくくなっている可能性もあります。

同じ週には、こうした結び付けがネット上でいかに速く固まるかも改めて示されました。それも、事実の裏付けがないまま広まることが少なくありません。今回の攻撃でロシアのトロールファームが沈黙したという拡散情報には、OCCRPのシニアエディターIlya Lozovsky氏が反論しました。同氏は、そうした見方には「事実の裏付けがない」と述べ、問題のCloudflareのデータが計測していたのはソーシャルメディアのボットではなく、自動化されたクローラーだったと指摘しています。

真相がどうであれ、カスペルスキーのサービス停止がロシアのデータセンターの停止と重なったことは、懸念材料です。EUはすでに独自のデータセキュリティ基盤の整備を目指しており、将来は敵対的な立場になりうる国のサードパーティサービスから、利用者を引き離そうとしているためです。

データセンターをめぐる攻防は、収まる気配がありません。ロシアは9月下旬にウクライナの少なくとも6か所のデータセンターに損害を与えており、ウクライナによる現在の攻撃は、エスカレーションではなく報復措置とみられています。

EU域内外を問わず、カスペルスキーのサービスを使う一般の利用者にとって、現実的な教訓はもっと限定的です。ローカルの保護機能は動き続けました。これは、アンチウイルスソフトにとって最も重要な点です。

一方で、同社のVPNやクラウド同期型のパスワードマネージャーに頼っていた人は、自分の端末から遠く離れた場所の障害で、それらのツールが数日間使えなくなりうることを目の当たりにしました。確実な代替手段を求める人は、用途に合わせて、本誌のベストなアンチウイルスソフトのガイドやベストなVPNソリューションで代替候補を探せます。



翻訳元: https://www.techradar.com/pro/security/kasperskys-vpn-and-password-manager-went-dark-for-days-worldwide-and-the-timing-has-raised-awkward-questions-about-russias-drone-hit-data-centers

本記事は techradar.com の記事を翻訳・要約したものです。