Forescoutのサイバーセキュリティ研究者らは、インターネット上に露出した冷蔵制御システムのリスクに注意を促しています。運用技術(OT)の脆弱性は、食料供給や事業継続、その他の温度管理が求められる業務に深刻な影響を及ぼしかねないと警告しています。
この警告は、2026年10月にフランスのスーパーマーケットを狙ったサイバー攻撃を受けたものです。この攻撃では、数百店舗の冷蔵システムが妨害されたと報じられています。攻撃者は冷却の運用に干渉し、温度の変動や商品の腐敗、大規模な業務混乱を引き起こしました。
この事案を受けて、インターネットに接続された冷蔵設備のセキュリティに懸念が高まっています。特に、旧式のシステムや露出した管理インターフェース、不十分なアクセス制御が残っている環境では、運用技術が干渉を受けやすくなります。
サイバー攻撃が物理的な被害をもたらすとき
従来のIT攻撃は、データの窃取やデジタルサービスの妨害に重点を置くことが多いのに対し、冷蔵コントローラーへの攻撃は物理的なプロセスに直接影響を及ぼす可能性があります。
こうしたシステムは、スーパーマーケットや食品保管施設など、安定した冷却が不可欠な環境で温度を維持する役割を担っています。
攻撃者が十分なアクセス権を得れば、温度設定を操作したり、霜取りサイクルに干渉したり、機器の動作を妨害したりできる可能性があります。その影響はITのダウンタイムにとどまりません。商品の損傷や金銭的損失、さらには安全上のリスクにまで及ぶおそれがあります。
この問題は食品小売に限られません。冷蔵・温度管理システムは医療、製薬、製造、物流でも使われており、そのセキュリティは複数の業界にとって重要な検討事項です。
インターネットへの露出が攻撃者に付け入る隙を与える
中心的な懸念の一つは、本来インターネットへの直接露出を想定せずに設計された運用技術に、外部からアクセスできてしまうことです。
リモート管理機能により、エンジニアや外部の保守事業者は、現場に出向かなくても冷蔵設備を監視・調整できます。ただし、設定が不適切だったり保護が不十分だったりすると、こうした接続がセキュリティ上の弱点になりかねません。
産業用制御システムに関する調査では、公開状態の管理インターフェース、古いファームウェア、脆弱な認証が繰り返し問題として確認されています。
とりわけ外部の請負業者がシステムを設置・保守している場合、組織が自社ネットワークに接続された機器を完全には把握できていないケースもあります。
Forescout、世界で1万3,000件近い冷蔵サービスの露出を確認
Forescoutの Vedere Labsによる新たな調査では、10の製品グループにわたり、インターネットに露出したサービスの観測を12,976件確認しました。これらは99の国・地域にある6,017個の固有のパブリックIPアドレスに関連しています。
この結果は、フランスのスーパーマーケットへの攻撃で浮き彫りになった脆弱性が、より広範な世界的問題の一部であることを示唆しています。
観測数が最も多かったのはCopeland/Dixell XWEBのサービスで7,075件でした。次いでDanfoss StoreViewが4,697件です。このほか、Copeland Site Supervisorが551件、Carel pCOWebが513件、残り6つの製品グループで合計140件が確認されました。
重要なのは、これらの数字が露出しているサービスの数であり、侵害が確認された機器の数ではないという点です。1つのIPアドレスが複数のサービスをホストしている場合もあれば、1つの管理インターフェースが下流の複数のシステムを制御している場合もあります。
研究者らはさらに、Danfoss StoreViewのサービス観測のうち3,762件(全体の80%)が、バージョン4.3.1より古いファームウェアで稼働していたことを突き止めました。これらは、すでに公表されている2件のセキュリティ上の欠陥の影響を受ける可能性があります。
ハクティビストは過去にも冷蔵設備を標的に
Forescoutの調査によると、冷蔵システムへの攻撃は新しい動きではありません。
Danfossが公表した技術情報によれば、2022年のハクティビストによる攻撃は、ロシアのスーパーマーケット16店舗とイスラエルの40店舗に影響を及ぼしました。
Forescoutはまた、2026年1月以降、冷蔵システムに対する犯行声明が出た攻撃を20件以上追跡しています。親ロシア派のハクティビスト集団Z-Pentest AllianceとNoName057(16)が、特に活発に活動しているグループに含まれます。
標的には、欧州各地のスーパーマーケット、ワイナリー、果物の貯蔵施設、農業関連事業者などが含まれています。
ただし研究者らは、今回のフランスでの攻撃について、最初の侵入手法や実行者の特定には至っていないと強調しています。
コールドチェーンを守るために
Forescoutは、冷蔵管理システムがどのようにインターネットへ接続されているか、そして誰にアクセスを許可しているかを見直すよう、各組織に促しています。
推奨される対策は、公開状態の管理インターフェースの廃止、サポート切れ機器の交換、利用可能なセキュリティ更新の適用、保守業者向けの安全なリモートアクセスの導入などです。
研究者らはさらに、多要素認証、ユーザーごとの個別アカウント、継続的な監視の導入も推奨しています。これにより、温度設定や霜取りスケジュール、アラームに対する不審な変更を検知できます。
難しいのは、攻撃者が業務を妨害するのに、必ずしもマルウェアを展開する必要がない点です。十分なアクセス権を得れば、正規の管理機能を悪用できる可能性があります。そうなると、悪意ある活動と通常の保守作業との区別が難しくなります。
今回の調査は、運用技術のセキュリティにおけるより広い課題を浮き彫りにしています。組織に求められるのは、接続された機器の可視化だけではありません。誰がそれらにアクセスでき、どのような変更を加えられるのか、そしてその変更が物理的な運用にどう影響するのかまで把握することです。
調査の全文はこちらをご覧ください:Cold Chain, Open Control: Exposed Refrigeration Systems Reveal Global Risk
翻訳元: https://www.itsecurityguru.org/2026/10/22/exposed-refrigeration-systems-forescout-research/