- 「Raven」というAIツールは、設備や備品などの室内の細部を照合し、物件の所在地を割り出す
- Airbnbなどのサイトから収集したデータを使い、物件を特定する
- Ravenは以前「GeoSpy」と呼ばれ、当初はランドマークから場所を特定するために開発された
室内写真から物件の所在地を特定できる新しいAIツールが、オンラインで公開されました。Ravenはすでにフロリダ州とカリフォルニア州の法執行機関で使われており、写真に写る設備や備品、装飾要素を、オンラインで収集した情報とAIで照合します。
このソフトウェアを紹介する動画が公開されると、Ravenは情報の取得元とみられる一部のウェブサイトから注目を集めました。Airbnbを含むこれらのサイトは、自社が集めたデータや画像の利用方法を懸念しているようです。
住所と似た画像がすでにオンライン上にあれば、Ravenはあらゆる物件の所在地の特定に使われる可能性があります。
問題がなければ、あなたの家は安全
Ravenはロサンゼルス市警(LAPD)やフロリダ州のマイアミ・デイド郡保安官事務所が利用しています。これまでの主な用途は人身取引の摘発ですが、このソフトウェアには明らかなプライバシー上の課題があります。開発側は現段階では、この問題を避けているように見えます。
最も重要な点は、自宅や事業所が犯罪に使われておらず、室内の写真もオンラインに公開されていなければ、心配する必要はないということです。
Ravenの開発元Graylarkのダニエル・ハイネン氏は、この製品を「答えを探し、命を守ろうとする人々のために作られた専用AI」だと説明しました。
一方で、Ravenが情報収集に使うウェブサイトの一部は懸念を示しています。動画では、Ravenが Zillow、Vrbo、Airbnbのすべてを利用している様子が確認できます。このうちAirbnbは状況を確認中です。Zillowは、同社のデータをスクレイピングすることは利用規約に反すると表明しました。
こうした問題は、Ravenをより広い地域で運用していくうえで障害になる可能性があります。
室内の照合
Ravenは、室内写真から所在地を割り出すことで、実質的にプライバシーを侵害しています。Airbnbや不動産サイトなどに、住所付きで同じ室内の似た写真が掲載されていれば、Ravenはその場所を特定できるとみられます。
ハイネン氏はRavenについてのLinkedInの投稿で、プライバシー上の課題には触れていません。代わりに、ソフトウェアが「世界中の数百万件の短期賃貸物件にまたがって室内画像の位置を特定できる」点を強調しています。
投稿は人身取引での短期賃貸の悪用に触れたうえで、Ravenの売りを次のように説明しています。「捜査官にとって、物件内部の写真や動画は重要な手がかりになり得ます。しかし、住所や位置情報タグがなければ、どこから調べ始めればよいか分かりにくいものです。Ravenは、室内の画像を該当しそうな物件と照合し、視覚的な手がかりを、捜査官が確認・検証できる所在地の手がかりに変えます」
Ravenが米国内外のほかの警察当局に広く採用されるには、各地域のプライバシー法を受け入れ、スクレイピングしているとみられる企業との提携を築く必要がありそうです。