暗号資産や外国為替、株式の取引で素早く利益が得られると謳うオンライン広告を目にしたとします。その「投資会社」に情報を渡すと、オペレーターから電話がかかってきて、少額をプラットフォームに送金するよう説得されます。早い段階で利益が出るため、入金額はしだいに大きくなっていきます。ところが収益を引き出そうとすると、オペレーターはしばらく引き延ばしたあげく、最後には連絡を絶ちます。
これは投資詐欺の被害者にはおなじみの手口です。投資詐欺は、ソーシャルエンジニアリングを駆使して投資家になりそうな人々に大きな利益が得られると信じ込ませ、最後に突き放す多国籍の犯罪産業です。
欧州刑事警察機構(Europol)は本日、こうした組織の1つを壊滅させたと発表しました。この投資詐欺スキームでは、50カ国以上に被害者となり得る人々がいたほか、犯罪グループに偽の取引プラットフォームと見込み客リストを供給していたとされる企業も関わっていました。プレスリリースによると、EuropolとEurojust(欧州連合刑事司法協力機構)は、アルバニア、キプロス、フィンランド、ドイツ、イスラエル、コソボ、北マケドニアの当局が参加した国際作戦を支援しました。
作戦を主導したのは、ドイツのイツェホー検察庁です。偽の取引サイトと複数のコールセンターを犯罪グループに提供していた疑いのある企業を標的とし、捜査当局は被害額が400万ユーロを超えると見積もっています。
各国の当局はコソボのコールセンターを含む17カ所を捜索し、サーバー100台を押収、容疑者7人を逮捕しました。
複数年にわたった詐欺捜査
Europolによると、今回の摘発は2022年に始まった複数年にわたる捜査の成果です。きっかけは、ドイツ人夫婦がオンライン取引プラットフォームに投資した資金を引き出せないと届け出たことでした。これを受けて、当局はこれまでに2回の「アクションデー」を実施しています。1回目は2022年で、2人を逮捕し証拠を押収しました。2回目は2025年で、さらに多くの逮捕に加え、資金と証拠の押収を行いました。
プレスリリースは「押収した資料を分析した結果、インフラを提供していたとみられる事業者と、コールセンター運営者との関係が明らかになり、今回の作戦への道が開かれました」と述べています。
Eurojustのプレスリリースは、作戦の規模についてさらに詳しく説明しています。2回目のアクションデーで押収した証拠を分析したところ、キプロスとイスラエルを拠点とする企業が浮上しました。この企業は「クライム・アズ・ア・サービス」を提供していたとされます。犯罪グループに偽サイトを供給し、標的を中核となる投資詐欺へ誘導していました。
これらのサイトを訪れて関心を示した被害者候補のデータは、見込み客としてコールセンターに販売されていました。コールセンターは被害者に連絡して投資を促し、追加投資を繰り返し要求していました。当局は、この企業の顧客でコールセンターを運営していた容疑者を、アルバニア、コソボ、北マケドニアで特定しています。
Europolによると、この詐欺組織は暗号資産、外国為替、株式の取引で大きな利益が出ると保証していました。しかし当局は、一見正当に見えるプラットフォームが「ブローカー」によって運営され、偽の利益とソーシャルエンジニアリングの手口で被害者に投資を続けさせていたことを突き止めました。さらに捜査当局は、運営者がアフィリエイトマーケティングのサービスや欺瞞的な広告を使って被害者候補を誘い込んでいたことも確認しています。
サイバー犯罪対策企業Netcraftの脅威インテリジェンス責任者、Austin Anderson氏はDark Readingの取材に対し、このように上流の事業者を狙う作戦は、投資詐欺を大規模に阻止するうえで有効だと語りました。
同氏は次のように述べています。「詐欺師は、攻撃のサプライチェーンの一部分に特化する傾向を強めています。今回のスキームでも、サイトが個人情報を集め、それをコールセンターに販売し、最終的に被害者から資金を巻き上げていました。こうした分業は各担い手の専門性を高める一方で、コールセンターのような大きな依存先が潰されると脆弱になります。結局のところ、詐欺師を市場から排除する逮捕がなければ、こうした作戦で阻止できるのは一時的なものにすぎません。その間に、犯行グループはインフラを再構築してしまいます」
翻訳元: https://www.darkreading.com/cybersecurity-operations/germany-crime-service-investment-fraud