Signalの新セキュリティ機能、暗号化チャットの改ざんの有無を確認

Signalは、暗号化されたチャットが第三者によって密かに改ざんされていないかを確認する新しい手段として、「自動キー検証」と呼ばれる機能を導入しました。

「Signalは常にエンドツーエンドで暗号化されていますが、自動キー検証は、あなたとエンドツーエンド暗号化セッションのもう一方の『端』との間に予期しない第三者が介在していないことを確認するための、追加的かつ効率化された手段を提供します」と、SignalのエンジニアであるKatherine Yen氏はブログ記事に記しています。

「この機能は、あなた自身、あなたのSignal上のつながり、そして第三者監査機関によって行われる検証の仕組みを通じて機能し、これらが組み合わさることで、安全番号を手動で検証するのと同等の保証を提供します。安全番号とは異なり、これらの検証は独立して行われるため、対面での確認や別の通信チャネルを必要としません」とYen氏は付け加えています

Yen氏は、この仕組みが、電話番号やユーザー名がSignalのネットワーク全体を通じて一貫した暗号鍵と結び付けられている状態を保証するのに役立つと説明しています。これにより、攻撃者がSignalの鍵ディレクトリを操作し、アカウント所有者に知られることなく別の鍵にすり替えるといったシナリオを防ぐことができます。

仕組み

連絡先を自動的に検証するには、ユーザーはその相手のプロフィールを開き、「安全番号を表示」をタップした後、「自動で検証」を選択します。検証に成功すると、Signalは緑色のチェックマークとともに「暗号化を検証済み」というメッセージを表示します。

この機能は「キートランスペアレンシー(key transparency)」と呼ばれる暗号技術の仕組みに基づいています。ユーザーが新規登録をしたとき、電話番号やユーザー名を変更したとき、あるいはアカウントを再作成したときには、それに伴う変更がSignalのキートランスペアレンシーシステムに反映されます。

CloudflareとTrail of Bitsという2つの外部組織が、このシステムを独立して監査しています。これらの組織が関与することで、鍵の記録について異なるユーザーに矛盾したバージョンを提示しようとする試みを検知できるように設計されています。

監査機関が入手できる情報は暗号技術によって保護されているため、ユーザーの電話番号やユーザー名が平文の形で監査機関に渡ることはありません。

キートランスペアレンシーは、Signalのユーザーが「どの暗号鍵がどのアカウントに属しているか」について一貫した記録を見ていることを担保するものです。ただし、アカウントを操作している人物の現実世界における身元を証明するものではなく、また正規のアカウントを完全に乗っ取られてしまった場合を防ぐものでもありません。

また、自動検証は現時点では、Signalが連絡先の電話番号を把握していることが前提となります。そのため、ユーザー名のみを使って開始された会話では利用できない場合があります。自動検証が利用できない場合でも、ユーザーは引き続き手動で安全番号を検証できます。

Signalおよび独立監査機関に信頼を置きたくないユーザーは、Signalの「プライバシー」>「詳細設定」で自動キー検証を無効化し、これまで通り手動での安全番号検証に頼ることもできます。

この機能が対処するリスク

Signalのエンドツーエンド暗号化は、アプリがSignalのサーバー(ネットワークのディレクトリとして機能する)から受信者の公開鍵情報を取得することに依存しています。

もし攻撃者がこのディレクトリを掌握した場合、あるいは特権を持つ内部関係者がアクセス権限を悪用した場合、標的となるアカウントの鍵を別のものにすり替え、気付かれることなく会話に自らを割り込ませることが可能になる恐れがあります。

Signalは、これを起こりにくいシナリオだと位置付けています。実現するには、大手クラウドインフラへの侵入か、あるいは特権を持つ内部関係者が特定のアカウントを意図的に狙う必要があるためです。

Signalは最近、アプリ周りのセキュリティ強化を進めています。5月には、ロシア政府系のハッカーが偽の「Signal Support」通知を使って著名人のアカウントを狙った事件を受けて、ユーザー向けの新たな保護機能を追加しています。

翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/08/12/signal-automatic-key-verification-feature/

ソース: helpnetsecurity.com