セキュリティ
フィッシングやマルバタイジング攻撃が開発者を狙い、企業の内部ネットワークへの侵入経路になる恐れがあります
CISAによると、攻撃者はPythonおよび機械学習ワークロードのスケーリングに広く使われているオープンソースフレームワーク「Ray」に存在する、2025年に発見された重大な脆弱性を悪用しているとのことです。
CVE-2025-62593として追跡されているこの脆弱性は、CVSS v4で9.4というスコアが付けられており、2025年11月に初めて公表されました。攻撃者はFirefoxやSafariを利用することで、脆弱なRayシステム上でリモートコード実行(RCE)を達成できます。
このオープンソースの分散コンピューティングフレームワークは、Amazon、Apple、OpenAIをはじめとする大手テック企業でも使用・サポートされています。
脆弱なバージョンのRayは、User-Agentヘッダーが「Mozilla」で始まるかどうかをチェックすることで、ブラウザからのリクエストを識別してブロックしようとします。しかしFirefoxとSafariでは、Fetch APIを使うスクリプトによってこのヘッダーを書き換えることが可能です。
Rayを実行している開発者は、悪意のあるウェブサイトを閲覧したり、影響を受けるブラウザで不正な広告を表示されたりするだけでこの脆弱性を突かれる可能性があります。攻撃者はその後、DNSリバインディングを使ってローカルのRayサービスにアクセスできます。
「この脆弱性は、Rayを使って開発・テスト環境を運用している開発者に影響します」とプロジェクトの開発者は説明しています。「フィッシング攻撃の被害に遭ったり、悪意のある広告を表示されたりすると悪用され、開発者のマシン上で任意のシェルコードが実行される恐れがあります。
この攻撃は、ブラウザを『混乱した代理人(confused deputy)』の仲介役として利用することで、企業の内部ネットワーク上で動作しているネットワーク隣接のRayインスタンスを攻撃するためにも悪用され得ます」
この不具合はRay 2.52.0で修正されています。CISAは米連邦文民行政機関に対し、通常の14日間ではなく3日間という期限でこの脆弱性への対処を求めました。
CISAは緊急性の理由を説明しておらず、カタログの「ランサムウェアキャンペーンでの使用が確認されているか」という項目も「不明」としています。ただし、拘束力のある運用指令(Binding Operational Directive)26-04 では、CISAが特にリスクが高いと判断した脆弱性について3日間という修正期限を課すことが認められています。
Rayは、開発者がローカル環境からクラスターへとPythonおよび機械学習ワークロードを、コードの変更を最小限に抑えつつスケールさせるのを助けるオープンソースフレームワークです。
現在はLinux Foundation傘下のPyTorch Foundationが管理していますが、このプロジェクトはUCバークレーで始まり、Rayの開発者らが2019年に設立したスタートアップAnyscaleを通じて商用化されました。
Anyscaleの発表した数値によると、2025年10月時点でRayの累計ダウンロード数は2億3,700万件を超え、週間ダウンロード数は700万件に達しており、前年比でほぼ10倍の成長を記録しています。
製品分析サイトのNextSprintsは、Rayの月間アクティブユーザー数は100万人に上り、フォーチュン500企業の60パーセントで利用されていると推定しています。
セキュリティ勧告では、Rayが重要なエンドポイントにおいて長年認証機能を欠いていたことが、今回の攻撃を可能にした原因だと指摘しています。
Rayのセキュリティモデルは従来、クラスターが信頼された隔離ネットワーク内で動作することを前提としており、認証とアクセス制御は周囲のインフラに委ねられていました。
Ray 2.52.0では、不正アクセスに対する追加の防御策としてトークンベースの認証がオプション機能として導入されましたが、デフォルトでは依然として無効になっています。プロジェクト側は引き続き、認証をネットワーク隔離の代替とするのではなく、クラスターを制御されたネットワーク内に展開することを推奨しています。®