- Microsoftが、ASCIIスマグリングを使ってスパムフィルターを回避するフィッシングキャンペーンを報告
- 攻撃者はキーワード内に見えない文字を挿入し、フィルターやAIエージェントを欺く
- 防御側はUnicodeタグを正規化し、想定外の不可視コードポイントを不審なものとしてフラグ付けすべき
サイバー犯罪者たちが、フィッシングメールをセキュリティフィルターの網をくぐらせて受信箱に届けるために「ASCIIスマグリング」という手法を使っていると、専門家が警告しています。
ASCIIとは、人間が読める文字や単語をコンピューターが理解できる数値に変換する文字エンコード規格です。この仕組みを使うと、画面上には表示されない、つまり実質的に「見えない」文字を作り出すこともできますが、それでも機械側では読み取ることが可能です。
Microsoftのセキュリティ研究者らによる新たな報告書によると、犯罪者たちがこの仕組みを悪用してフィッシングメールを配信していることが判明しました。多くのメールプロバイダーはスパムメールを除去する対策を提供しており、こうしたフィルターは「funding(資金)」「credit(信用)」「loan(融資)」といった特定のキーワードやフレーズを検出し、該当するメールを自動的に迷惑メールフォルダーへ振り分けます。
継続中のキャンペーン
攻撃者はこうしたキーワードの途中に一連の見えない文字を挿入することで、単語を分断し、フィルターを「混乱」させることができます。
人間の目にはメール本文に「funding」という単語が見えていても、セキュリティソリューション側には「fun[長い文字列]ding」のようなものとして認識されます。この手法はプロンプトインジェクション攻撃から取り入れられたもので、そちらでは犯罪者がASCIIスマグリングを使い、悪意のある見えないプロンプトをメールに仕込んでいました。
そのため、被害者がAIエージェントにメールの要約を依頼すると、AIエージェントは結果的に、機密データの抽出からマルウェアの展開まで、あらゆる内容になり得るプロンプトを処理してしまうことになります。
Microsoftによると、このキャンペーンは数か月にわたって継続しており、2026年2月には1日あたり230万通を超えるメールでピークを迎えました。その後は減少傾向にあるものの、現在も活動を続けているといいます。2月初旬には、いずれも金融をテーマとした約150の送信ドメインからなるクラスターをMicrosoftが観測しました。これらのドメインは、Defender for Office 365がASCIIスマグリングとしてフラグを付けたスパムメール全体のほぼすべて(96%)を占めていました。
ただし、対策自体は比較的シンプルです。ITチームは、キーワード検出を行う前にUnicodeタグ文字やその他の不可視コードポイントを正規化すべきです。また、想定外のタグブロック文字はすべて不審なものとみなすことも検討すべきでしょう。