セキュリティ支出は増加傾向、しかし典型的なCISOには恩恵なし

AIが新規セキュリティ予算の最大の投下先になりつつありますが、支出には依然としてばらつきがあり、AIガバナンスが成熟した組織ほど支出が手厚くなっています。

セキュリティ予算は表向きには増加しているように見えますが、大多数のCISOにとっては、資金の流れが必ずしもそれと同じ方向を向いているわけではありません。

予算は2026年に平均で5%増加し、昨年の4%から上昇しました。しかしこの平均値は、実態を大きく覆い隠しています。中央値で見た予算の伸びは0%のままだったのです。また、今回のサイクルで64%のCISOが予算増額を要求したものの、実際に増額を認められたのはわずか45%にとどまり、55%のCISOは予算が横ばいか削減という結果に終わりました。

この調査結果は、IANSとArtico Searchによる「2026 Security Budget report」によるもので、2026年4月から8月にかけて実施された500名を超えるセキュリティ幹部への調査に基づいています。

誰が予算を使えるかは、事業の健全性や組織構造に大きく左右されるようです。収益目標を5%以上上回った企業は、目標をちょうど達成した企業と比べて、セキュリティ予算が2桁増となる確率が2倍以上高く、それぞれ41%対15%という結果になりました。一方、大幅に目標未達だった企業のうち22%はセキュリティ予算を削減していました。

資本構成も影響していました。VC出資企業の71%がセキュリティ予算を増額したのに対し、上場企業では52%にとどまりました。また、政府機関や非営利団体は予算が増加する頻度が最も低く、増加幅も最小でした。

そして、CISOが実際に予算を増やしてもらえる場合でも、重大な侵害がその決め手になるとは限りません。予算増額の理由として最も多く挙げられたのは事業リスクや業務リスクで、予算が増加したCISOの48%がこれを理由に挙げました。一方、新たな規制強化や取締役会・経営陣の意識の高まりを理由に挙げたケースでは、それぞれ平均22%、23%という最大の増加幅が見られました。

一方、重大な侵害が予算獲得の理由として挙げられたのはわずか3%にとどまりました。

AIは明細には現れないが、確実に資金を得ている

新規セキュリティ予算の大半はAIに向けられており、CISOの69%がAIを最優先の純新規投資先として挙げています。

「セキュリティは、AIや広範なテクノロジーへの他の投資から追い風を受けています。つまり一部のセキュリティ機能は、別部門の予算から特に手厚く資金提供を受けているのです」と、IANSファカルティでありArtico Searchのサイバー部門パートナーを務めるスティーブ・マルタノ氏は述べています。

AIをセキュリティ予算の独立した項目やサブカテゴリーとして追跡している組織はわずか24%にとどまり、38%はAIをセキュリティ予算に組み込む形で管理し、さらに別の38%はIT予算やデータ予算、イノベーション予算を通じて資金を確保しています。

この会計の分断により、セキュリティ予算はAIの安全対策に振り向けられている資金の実態を過小評価する結果になっています。調査によると、AI関連予算を正式に追跡している組織では約70%の割合で増加が報告されたのに対し、AIが一般的なセキュリティ予算に組み込まれている組織では42%、別部門で資金提供されている組織では31%にとどまりました。

もっとも、AIがセキュリティ支出に占める割合が大きくなっても、それが直接的な人員削減につながっているわけではないようです。CISOの81%は、AIが新たな職種やスキルへの需要を生み出すと予想しており、69%は既存の人員が削減されることはないと見込んでいます。

「セキュリティのワークフローに組み込まれたAIと自動化は、チームメンバーの役割の再配置と、採用・リソース配分の変化をもたらしています」とマルタノ氏は述べ、CISOたちは今、AIシステムには対応できない脅威の処理や判断業務をこなせる人材を求めていると付け加えました。

AI関連セキュリティ支出を10%超増額する計画を持つ組織(積極的なAI投資組織)と、AI特化の支出計画を全く持たない組織との間では、AIセキュリティに関する計画や経営陣の姿勢に顕著な違いが見られました。ただし、これが原因なのか結果なのかについては、IANSは言及していません。積極的なAI投資組織は、その投資を支えるために必要な組織的基盤を備えている可能性が大幅に高く、そうした組織の回答者の79%が「経営陣はAIリスクについて少なくともある程度理解している」と回答したのに対し、AI特化の支出計画がない組織では33%にとどまりました。また、AIガバナンスの所管が明確に定められていると回答した割合は、積極的なAI投資組織では70%だったのに対し、非投資グループでは34%でした。

同様に、成熟したAIセキュリティプログラムを持つと回答した割合は、積極的なAI投資組織では50%だったのに対し、AI非投資組織ではわずか17%でした。

AIセキュリティへの支出増加は、組織全体としてセキュリティへの支出を増やしている場合に起きています。積極的なAI投資組織のうち45%が全体のセキュリティ予算を5%超増額しており、51%は来年も同様に増額する見込みだとしています。一方、AI非投資組織で全体予算を5%超増額したのはわずか12%にとどまり、来年もそうする見込みだと答えたのはわずか9%でした。

ペースについていこうとするCISOに対し、レポートが助言しているのは、AIに専用の予算項目を設けることと、次の予算サイクルが始まる前に実際にかかっているコストを把握し始めることです。

翻訳元: https://www.csoonline.com/article/4223455/security-spending-is-growing-except-for-the-typical-ciso.html

本記事は csoonline.com の記事を翻訳・要約したものです。