アイルランドのデータ保護委員会(DPC)はグーグルに対し、欧州のプライバシー法に違反したとして4億300万ユーロ(4億5,900万ドル)の制裁金を科しました。今回の処分は、2018年5月から2020年2月にかけてのグーグルによるユーザー位置情報の管理をめぐる6年間の調査の結果です。
この期間、グーグルはユーザーの位置情報を収集していながら、それがユーザーの興味関心を推測し、表示する広告を調整するために利用され得ることを明確に説明していませんでした。
グーグルの「ロケーション履歴」は、ユーザーがデバイスを使用した際の位置情報を記録する機能です。これはオプトイン方式のサービスで、訪れた場所を示す非公開の地図を表示する「タイムライン」機能も含まれます。また、Androidには「位置情報の精度」という別の機能があり、GPS単体よりも正確にデバイスの位置を特定するのに役立ちます。
グーグルはユーザーに対し、この設定をオフにすればロケーション履歴の追跡を止められると説明していました。しかし、AP通信が2018年に行った報道によると、実際にはその設定をオフにしただけでは、グーグルが一部の位置情報を保存し続けることを止められないことが判明しました。この結果は、その後プリンストン大学の研究者らによっても裏付けられています。
その原因の一つが、グーグルアカウントの別の設定である「ウェブとアプリのアクティビティ」でした。これは、アカウント保有者がウェブで閲覧した内容やアプリでの操作内容を記録できる設定ですが、このサービスも位置情報を収集していたのです。ロケーション履歴をオフにしても、ウェブとアプリのアクティビティはオフになりませんでした。
この問題は、米国の複数の司法管轄区で賠償金の支払いにつながりました。グーグルは2022年10月にアリゾナ州に8,500万ドルを支払うことに合意し、同年11月には40州に対して3億9,200万ドル、翌月にはコロンビア特別区に950万ドルを支払っています。さらに、2023年にはワシントン州に3,990万ドル、2025年5月には2件の訴訟をまとめた和解としてテキサス州に13億8,000万ドルを支払うことに合意しました。さらに昨年9月には、別の集団訴訟で陪審団が4億2,500万ドルの支払いを命じています。
DPCは2018年、AP通信の調査報道を受けてこの問題を最初に調査し、2020年2月に正式な法定調査を開始しました。今回の制裁金に加え、DPCはグーグルに対し、6カ月以内に位置情報の処理を法令に準拠させるよう命じています。DPCは、決定内容の全文を追って公表するとしています。
グーグルはブルームバーグの取材に対し、2019年以降に運用を見直し、位置情報を管理しやすくするツールを導入したと説明しています。グーグルは2023年12月、タイムライン機能を変更し、データをユーザーのデバイス上に保存するようにすると発表しました。また、初めてロケーション履歴をオンにするユーザーについては、データが自動削除されるまでの初期設定の保存期間を18カ月から3カ月に短縮するとも説明しています。
DPCが手がけているグーグル関連の調査は、これだけではありません。2年前にはグーグルのAIモデルにおけるEU居住者データの処理に関する調査を開始しており、2019年にはオンライン広告取引所(Ad Exchange)向けの個人データ処理に関する調査も開始しています。
グーグルの位置情報設定を確認しよう
タイムラインをオフにしても、他の設定を通じてグーグルが位置情報を保存することは止まりません。ウェブとアプリのアクティビティを確認し、表示される場合は検索サービス履歴も併せて確認してください。
これらの設定はオフにできるほか、すでにアカウントに保存されているアクティビティ履歴を削除することも可能です。